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本当の俺は   作者: i
6/13

第6話 【身体の変化そして退院】

去年は大変な1年だったなぁ……

まさか女の子になるなんてこれっぽっちも思わなかったよ


本当は2ヶ月で退院出来る予定が出血がなかなか治まらなくて入院が1ヶ月延びてしまった……

結局手術してから3ヶ月も経ってしまったけど、お陰でだいぶ身体にも慣れてきたしお腹の痛みも無くなって、身体の症状も完治したから身体が充実してる気がするな


今日はこれから、今朝受けた検診の結果を聞いて、終わればようやく退院だ


「誠~ 先生が診察室に来る前に30分だけならシャワールーム使って良いってよ、行ってくる?」


病院ではほとんどタオルで身体を拭くくらいだったから、さすがに臭いし身体を洗ってスッキリしたい……


無理を承知で母さんに聞いてきてもらったのだ


「母さんありがとう、俺行ってくるね」


「誠1人で大丈夫? 看護師さん忙しいみたいだから母さん変わりに付き添っても良いってさ」


「いいよ、俺1人で入れるから」


「駄目よ、病院なんだから一応付き添いがいないと、決まりなんだから」


「わかったよ…… すぐそこまで行くだけなのに……」


病院って面倒臭い決まりが多いな

まぁ他にも患者さんがいるから仕方がない事なんだろうけど……


俺は病室を出て、母さんとナースステーション横にあるシャワールームに向かった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シャワールームに入ると病院だけあって必要な物以外は何もない

タイル張りで洗面室とシャワールームがカーテンで仕切られてるだけの簡単な作りだ


母さんに見られてると服、脱ぎづらいな……

でも脱がなきゃシャワー浴びれないし…… 仕方がない


俺は意を決して服を脱ぎ始めた


「それにしても誠、ホントに身体細くなったわね、男の子だった時の面影全然ないね」


「まぁ…… ほとんどむくみで大きくなってたみたいだからね、俺だってこんなに細くなるとは思わなかったよ」


顔も身体もむくんでパンパンだったからな

ここまでスマートになるとは予想してなかった……


「誠はもともと食が細いから、身体が大きくなるのもおかしいって思った事もあったけど…… もっと前に身体の事気付いてあげられたら良かったね……」


「誰のせいでもないし、治ったんだから良いじゃん」


「そうね、心配もなくなったし誠も可愛くなったし言うこと無いね!」

なっ…… 何をいきなり……

俺が可愛い訳ないじゃん!

急に可愛いなんて言われたから顔が熱くなってきたし……


「かっ…… 可愛いって…… 母さん冗談はやめてよ、俺細くなっただけで可愛くなんかないし、しかももともと男の子だよ?」


「あらっ?今の誠は凄く可愛いわよ? 誠は気付いてないかも知れないけど、その顔とスタイル見たら男の子はほっとかないんじゃないかしら? 女の私が言うんだから間違いないわ」


よくこんなところで恥ずかしい事言えるな!なんか冷や汗かいてきた…!


「どうしたの? 誠、顔真っ赤よ?」


「可愛いなんて突然言うから……!」


「誠は男の子だったから言われる事に馴れてないのね…… 大丈夫よ、女の子にとって可愛いは誉め言葉なんだから」


「そうかもしれないけど…… やっぱり恥ずかしい……」


「少しずつそう言う事にも馴れていかないとね、外に出たら誠の事、みんな女の子として見るんだからそんな事で動揺しちゃ駄目よ」


そうだよな……

俺、女の子になったんだからそう言われる事にも馴れなきゃいけないな……

考え方も少しづつ改善出来るように意識しなきゃ……!


「う~ん…… 努力してみるよ」


下着で話してたから寒くなっちゃったよ

早いとこシャワー浴びよう!


俺はカーテンを閉めて母さんに見られないように下着を脱いでシャワーを出した


久々のお湯の感触が気持ちいいな……


髪を濡らすと前よりずっと髪の毛が重たく感じる


病院に来て4ヶ月も伸びっぱなしだからな……だいぶ髪が長くなった……

肩くらいまであってなんか違和感あるよ……


俺は備え付けのシャンプーで髪を洗って洗い流す


顔を上げてふと鏡に映った自分を見る……


相変わらずつり目だけど顔がシャープになって整った顔立ちになったな……

可愛いかは分からないけど濡れた髪の俺はちょっと色っぽく見える……


なんか自分じゃないみたいだ……


そっ…… そうだっ…… !時間限られてるから早く身体も洗わなきゃ!


石鹸をつけて俺は身体を洗い始めた……


むくんでた時は気づかなかったけど、俺おっぱいあったんだな……

むくみがとれたのに胸だけ出てたから最初はビックリしたよ……

大きいか小さいかは自分じゃよく分からないけど、服を着てる時よりなんだか大きく見えるな……?

手足も細いしくびれもあるよ……

今まで気にして自分の身体見た事なかったからな……


あまりの変わり様に洗う手が止まってしまった……


「誠~? そろそろ時間だよ?」


「わっ…… わかってるよっ!」

慌てて身体を洗い流し、母さんにバスタオルを渡してもらう

下着を付けてカーテンを開けた


「誠? 顔まだ赤いよ? 大丈夫?」


「大丈夫っ……!何でもないから……!」


自分の身体に見とれてたなんて恥ずかしくて言えないよ!


「ふふっ 今日は退院だから服持ってきたからね、そこに置いておいたの着なさいね」


「何…… これ?」


「何って女の子用の服よ? 誠細くなって男の子の時の服合わなくなっちゃったから買ってきたのよ」


「でも…… これ上だけだよね? ズボンないの?」


「それはワンピースだから上も下も一緒なのよ、ニットだから暖かいわよ?首元もタートルネックになってるし、下はまだ外寒いからそこのタイツ履きなさいね」


こんなの着た事ないけど仕方がないな……


黒いタイツを履いて頭からグレーのワンピースを通した……


股がスースーするな……

膝上までしかこの服丈がないから脚見えちゃうし……

タイツがなかったら恥ずかしくて着れないな……

これで人前に出るの……?


「誠、次は髪の毛ね」


「いいよ…… 自分でやるから……」


「駄目よ! 女の子はただ乾かすだけじゃボサボサになっちゃうから!今日は母さんがやってあげるからよく見てなさいね」

俺は洗面室の鏡の前に座った


母さんは手際よくドライヤーを当てながら櫛で髪を伸ばしていく……

乾いてストレートになった髪を整え、左目の上辺りで前髪の分け目を作ってセットしてくれた……


「伸びっぱなしだったからとりあえずね、今度、美容院でちゃんと整えてもらおうね

可愛く見えると思うけどいい感じでしょ?」


「よくわかんないけど…… たぶん…… 」


「わからないじゃなくて、これが可愛いって言うのよ、本当に誠は父さんに似て固いわね…… 少しは軟らかくならなくちゃね!」


「物事ははっきり区別したいだけだよ…… わかんないからわからないって言っただけだし……」


「そう言うところがソックリよね…… 可愛いって言われたらありがとうって言えばいいのよ?」


「う…… ん…… あ……ありがとぅ……」


「それでよし! それじゃ靴はこれ履いてってね」

母さんはバックから茶色のミドルブーツを出して俺に渡した


「なんか触り心地いいね…… !なんか暖かそう!」


「生地がムートンなのよ、女の子なんだからお洒落には気を遣わないとね!」


まぁ服はちょっと恥ずかしいけど靴は気に入ったな!

少しテンションが上がるよ!


「それじゃ準備も出来たし中西先生のところに行きましょう」


俺はシャワールームを出て1階の診察室に向かった……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



午前中の外来の診察が終わったからエントランスはいつもより静かだな……

こんな格好だから人が居ないのは好都合だけど……


廊下を歩き一番奥にある小児科の診察室に着いた


そのまま診察室に入って良いって先生は言ってたけど、やっぱりノックはちゃんとしないとな……


“トントン”


「どうぞ」

先生の声がする

俺はドアを開けて診察室に入った


「おや? 綺麗な子が来たかと思ったら誠君だったか、いやいや見違えたね~! すっかり女の子だね~」


先生までそんな事言うし…… でも先生って冗談とか言わなそうだしな、俺って綺麗なのかな?

でも母さんは可愛いって言うし…… どっちなんだよ……

まぁどちらにしても恥ずかしい事にはかわりないけど


「いかんいかん…… いつもなら口に出して言わないんだがつい……ね」

ちょっと照れながら先生は言った


「早速だけど今朝の検診の結果だけど、すべて身体の数値も正常だね、もう安心だ」


「今後は月経の症状が出るかもしれないから、その時はお母さんに聞いて対処してもらえばいいからね」


「はい、わかりました」


そうか俺生理が来るかもしれないのか……

もうお腹痛くなるのは嫌だなぁ


「報告は以上だよ、退院おめでとう誠君

後、記念になるかわからないけどこれをあげるよ」

先生は俺に何か書いてある書面を渡した


「先生、これって身体の測定結果…… ですよね?」


「そうだよ、これから色々準備しなくちゃならないだろうから参考にするといいよ」


俺、伸長3センチも伸びてるよ……

体重もかなり減ったな……

それにしても字が細かくて見えづらい……


俺が目を細めて見ていると


「誠? もしかして目悪いの?」


しまった…… そう言えば母さん達には目が悪い事言ってないんだった……


無意識に目を細める癖がついてるから勘のいい母さんにはすぐ判ったみたいだ


「母さんごめん…… 面倒臭くて目悪いの黙ってた……」


「いつから?」


「中学入ってすぐ……」


「信じられない! あんたよく勉学ついていけたわね!日頃から何かあったらちゃんと相談するように言ってるでしょ!」


やっぱり怒られた……


「ごめんなさい…… これからはちゃんと相談するようにするから……… 」


「わかったわ、でも目が悪いなら眼鏡かコンタクトレンズが必要ね、病院出たら買いにいくわよ」


「えっ……? 久し振りにうちでゆっくりしたいのに……」


「そんなしかめっ面してたら折角の顔も台無しよ? これからの生活にも支障が出ると困るから直ぐに準備しないとね」


「わかったよ……」


面倒臭がって黙ってた俺がいけないんだし仕方がない……


「身体検査で誠君の目が悪い事が判ったので眼科医の先生に処方箋出しておくように頼んでおいたから帰りに受付で貰っていくといいよ」


「先生、何から何までありがとうございます」

母さんは申し訳なさそうに頭を下げてお礼をしている


「そうだ、忘れるところだったがうちの娘には近いうちに誠君の自宅に連絡するように話してあるからその時はよろしく頼むね」


「はい、わかりました」

俺と母さんは先生に深々とお辞儀をして診察室を後にした……



受付で処方箋を貰い、俺は母さんとエントランスを外に続く出口へと歩く


女の子になって初めての外だな、なんだか少しドキドキしてるよ……

ここを抜けたら女の子として本当の意味でのスタートだ!



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