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本当の俺は   作者: i
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第2話 【病院の診断】

俺…… 死んだのかな……?

確か学校で倒れて……

その後はよくわからないな……


パッとしない人生だったなぁ……

まぁ生きてても俺の見た目じゃこの先もたかがしれてるか……


「はぁ」

自分の声が聞こえて俺は目が覚めた


「あれ? 俺生きてるし……」

視界がボヤけてよく見えなかったが、しばらくすると目が少しなれてきたのか天井が見える、俺は寝てたのか……

確か学校で倒れたんだよな、俺……


「よいしょ……」

俺はベッドに肘をついて上体を起こした


外もう暗いし…… だいぶ寝てたみたいだな……

ところで今何時なんだ?


壁をみると正面に時計が掛かっていた

20時3分…… 俺は半日近く寝てたのか


回りを見渡すと以外と大きな部屋みたいだ

他にはベッドもないし個室かな?右の奥にドアがあるのが見える

それにしても置かれた状況がよくわからないな…… てかここどこなんだ??


“カチャッ”


「おっ 目覚めたみたいね」

ドアを開けて入ってくる俺の知ってる顔の女性が言った


「あっ…… 母さん」

俺の母親の稲垣陽子いながきようこ

口は悪いけど優しい母親だ

母さんは市内で雑貨店をやっている

仕事の内容は詳しく俺も聞いたことないけど忙しいらしい

いつもならこの時間うちにはいないから今日は早く帰ってきたのかな?


「あんまり顔色よくないねー 全然起きないから心配したよ!」

俺の顔を見ながら母さんはベッドの横のイスに座った

母さんの顔を見て少し落ち着いたけど状況がイマイチわからないな……


「母さん!ここどこ?」


「あら?あんた覚えてないの?学校から救急車で病院運んでもらったのよ?」


そうか…… でも俺は気を失ってたんだから覚えている訳がない……


「ここ病院なんだ…… 俺どっか悪いの?」


たしか血が出たんだよな?少なからずどこか悪いんだとおもうんだけど……

なんか不安な気持ちが湧いてくる……


「まだわからないけど…… あなたが出血したのは病院の先生から聞いてるよ、先生お父さんと話してるからもうじきこっちに来るんじゃない?」


俺が不安な顔をしているからか 母さんの口調はいつもり優しく感じた……

てか父さんも来てるんだ……


「父さんも来てるの?」

父さんも仕事のはずなのになんか悪いことしたな……

なんかますます不安になるよ……


「そりゃそうでしょ?息子が倒れて病院運ばれたなんて聞いたら!」


まぁそれもそうか…… 息子が病院運ばれたら普通は心配するよな

そう言えば忠志も病院来てるのかな?


「忠志は?」

今日はあいつにも迷惑もかけたし……


「家で留守番してもらってるよ 病院だからみんなできても他の患者さんに迷惑でしょ?」


そりゃそうだな、俺は個室にいるけど夜だしうるさいとほかの患者さんに迷惑だよな

そんなことを思っているとドアがまた開いた


知っている顔だ、どうやら父さんのようだ


「誠、目覚めたか 具合はどうだ?」


稲垣洋平いながきようへい俺の父さんだ

真面目で頑固だけどいざというときは頼りになるすごく家族思いな人だ

父さんは外国の血が入っているので見た目はなかなか格好いい

縦浜市で消防署に勤めている


「微妙かな…… まだ少しお腹痛いし……」


腹の痛みは少しは和らいだけどまだ痛いな……


「そうか…… 父さんも今先生から容態は聞いたよ 先生がこれからもう少し詳しく話をしてくれるみたいだ」


そんなに俺の身体は悪いのかと思ってしまった、何だか不安で心臓の音がいつもよりよく聞こえる…… みんなに迷惑かけて俺の人生最悪の日だな……


しばらく両親と話していると白衣姿のおじさんが部屋に入ってきた

ようやく先生が来たようだ


「誠君、目が覚めたようだね 気分はどうだい?」

少し白髪混じりで父さんよりも少し年上にみえる、ちょっとふくよかな見た目で優しそうな先生だな


「挨拶がまだだったね、私は縦浜総合病院内科医の中西です、よろしく さて誠君少し私の話しは聞けそうかな?」


先生はベッドの前に来てほほえみなが話してくれた

俺もなんだか緊張がほぐれた気がする


「大丈夫です」


「では早速で申し訳ないけど診察室のほうで話をしよう、 ご両親も御一緒に来てください」


俺は歩けたが車椅子に乗るように先生に言われ、両親と一緒に診察室へ向かった……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



先生はナースステーションの前にある部屋に案内してくれた、臨時で使う診察室らしい、同じ階にあって俺達が出てきた部屋がここから見える


診察室に入ると先生はパソコンの置いてあるテーブルの横に腰掛けた

俺は車椅子のまま先生の座るイスの前に停まった

両親も俺の両脇に用意したイスに腰掛ける

みんなの息が整うと先生は俺に話し始めた


「誠君、君は今日の出血の原因になにか心当たりはあるかい?」


「いや…… 特に思い付かないです……」


唐突に聞かれたから焦ってしまっただけど俺はただ学校へ行ってただけなんだ、心当たりなんかあるわけがない


「ご両親は?」


「うちで見ていた限り心当たりは……」

「ここ1週間位、腹が痛いって騒ぐくらいで……」

両親も困った顔をしている

腹が痛い以外は普通に生活していたのだからわかるわけがない


「なるほど、では心当たりはないと言うことかな」


先生は続けて検査の結果について話し始めた


「詳しい検査ではないが判ったことが1つ、

誠君のお腹の中での出血だが、下腹部から出ているようだ、今も少しづつ出血しているからそれが尿道を通って出血したようだね。しかもかなり前からお腹に少しづつ血が溜まっていたようだね」


お腹が痛かったのは出血を繰り返していたからみたいだ

かなり前っていつからなのかな?

やっぱり俺は病気だったのか……


「悪い病気なんです……か?」


先生は首を横にふる


「いや…病気ではないよ 少しわかりづらいがこれをみてくれるかい?」


先生はテーブルにあるパソコンをいじりはじめて画面に写真を映し出した


「これは誠君のCT画像だよ、ちょっと解りにくいだろうがここに映るのがお腹にまだ溜まっている血だね、そしてここが尿道……」


画面を指しながら説明している

俺には少しわかりずらかったけど、親切に先生は説明してくれた

自分の身体の中が見えるのは不思議な感じがする、俺は食い入るように写真を見ていた


「問題はここの部分、これが何だか解るかい?」


先生が写真のお腹のところを指差している

俺は正直よくわからなかったが母さんが何か気付いたみたいだ


「えっ?? 先生…… これって……」


「お母さんは解ったみたいだね」


「なっ なんなの……?」

俺は訳がわからなくて隣にいる母さんの顔をみた

かなり驚いてるみたいだ、なんなんだよ……

父さんもわかったらしく隣で“うん?”とか言ってるし

俺が戸惑っていると先生が話し始めた


「まだ写真だからなんとも言えないが、これは女性が持っている器官の子宮に私はみえるね。左右に卵巣らしいものもみえるからね」


「??」

先生何いってるんだ?俺は男なのに……

冗談で言ってるのかと思ったが先生の顔は真面目だ


「先生! うちの誠は男の子ですけど!」

母さんが俺の思ってた事を言っている

急に大きな声で話すからビクついてしまった


「まぁそう言われるのは当然です、誠君にはちゃんと男の子のものがついていますから。 ですがお母さん、人間の身体は不思議なものでね、こういう症例は稀にあるんですよ。多くはないが珍しい事ではないんです、まぁ症状は人それぞれなんだけどね」


両親も言葉がでないみたいだ

俺も頭の中がまっしろだ どういうこと??


「おっ…… 俺が女の子……?」

うそだろ…… 15年間男として生きてきたのにいきなり女の子かもしれないなんて言われても……

俺はたしかに見た目は男っぽく見えないかも知れないけど俺は男だ!


「もっと詳しく検査してみないとちゃんとしたことは言えないが、出血の様子から誠君は女の子の生理のような症状に近いかな?」


「どっ……どうしたらいいんですか?」


「明日詳しい身体全体の検査をやってみよう染色体の検査もね、本当の性別もしっかり調べてみないとね」


「わかりました……」

俺はもう何がなんだわからなくなってしまった


「出血もまだ止まっていないし身体の事もあるから、このまま検査入院してもらえるかな?経過も観たいので、ご両親も了解いただけますかな?」


「詳しくわかるのであればお願いします……」

仕方がないという表情の父さんと母さん

俺どうなるんだ?


男なのに女の子?まったく訳が分からない

でも原因がはっきりするなら……

入院ってことは学校も行けない、嫌な奴らに会わないのは嬉しいけど、こんなことになるなんて考えもしなかった……

自分が情けなくなってなんだかわからないけど涙が出てきた……


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