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本当の俺は   作者: i
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第1話 【学校で倒れた】


俺は稲垣誠いながきまこと15歳

縦浜市立縦浜中学の三年生だ

ここ1週間ほど俺は原因不明の腹の痛みに苦しんでいる


「うぅ…… いたいな……」

こんなに腹が痛いのに学校行けとか母さんマジ鬼だろ?

頭の中で母さんに文句を言う


今日も腹を押さえながらいつも通学路を学校へ向かって歩く

途中縁石に座り休みながら30分以上かけてやっとの思いで学校に来ていた


昇降口へ何とか着き爪先が赤い上履きに履き替えると3階にある3年2組に向かう


どうも学校の雰囲気は好きになれないなぁ……

嫌々ながら毎日来てる俺も俺だけど……


この中学校は3階建てで将来少子化で通う学生がいなくなった後の用途を考えて作ってあり各階に行く階段も昇降口からみて西側にあるが反対の東側にもスロープで3階に行けるようになっているのだ


今日も右から上がるか……


普段から面倒臭さがり屋な俺は決まって毎回スロープのほうから3階に上がるようにしている

腹が痛いからスロープで上に上がれるのはありがたい


「どけどけぇ~」

3階に上がるまでに何人か走り回ってふざけている生徒とすれ違う


あぶねぇなばか野郎!

自分は常識人だと勝手に思っている

思わず心の中で叫んでしまった


「ガキばっかだな」

俺はいつでも妙に冷静で人の言動や行動を分析してしまう

悪い癖だがやめられない

腹が痛いのに気をとられつつもバカな奴等だと思ってしまう


それにしても今日は今までで一番腹が痛い気がするなぁ……


手摺に掴まりながら中2階にまで上がったところで3階のスロープの踊り場にいる奴等が目に入った


またいるし……


いつも俺を待っている嫌な3人組だ!

俺は更に足取りが重くなった

3階に続くスロープをゆっくり上がって行く

そんな俺の姿を見ていた3人組はヘラヘラしながら俺に近付いてきた


「よう!稲垣ぃ~今日も相変わらずデブちびだな!」

こいつは伊達剛だてつよしクラスでは不良ぶっていて自分より立場が弱そうな奴をみると突っ掛かってくるウザイ奴だ

俺よりも10センチ位背が高く中学生の割にがたいがいい

ふざけ様に俺によく肩パンチをやってくる

痛いし止めてほしいが言ったところで止めるような奴ではない

見た目は普通の奴だが不良になりたいのか?

って感じの奴である


嫌な奴と思いながらもあいつが言うように俺の見た目は太っている

でもデブじゃない、ポッチャリだし

まぁちびってのは当たってるかな?俺は152センチしかないし……

でも納得はできない


「乙女チックなツラに女声が似合うな」

伊達の隣にいる奴が言った


たしかに俺の容姿は耳に掛かるサラサラのストレートで目付きはつり目、鼻筋も通っていて顔のパーツだけみたらそう見えなくもない

声も高めだが俺の下はちゃんと男のシンボルがついてる!小さいけど……

それにしても杉山隆弘すぎやまたかひろ腹立つ奴だな

お前なんか顔も体も相撲に出てきそうなキャラの癖にさ!

目付きも切れ長で丸っきり相撲取りじゃん!

でも見た目は半分本当の不良みたいなやつだし相手にしたくないな……


「……」

無視して3人組をかわそうとすると一番デカイ奴が俺の前に回り込んで行く手を阻む


「今日もしょうがねぇからかまってやるからよ~」

こいつは石橋達也いしばしたつや俺もかなりビビっていて身長は180位あると思う

完全に不良の風貌だ

短ランにボンタン姿で学校内でかなりの問題児だ


「あっち行ってろよ」

俺は聞こえないくらい小さい声で言った


「声が小さすぎて聞こえねー」

石橋がガムを噛みながら言う


地獄耳め…… よく聞き逃さなかったと嫌な奴だが感心する


「見れば見るほどムカつく顔しやがってよー」

杉山がニヤニヤしながら言い放つ


「俺みたいな奴かまってお前らって暇だよね」

俺は3人組に少し聞こえるくらいに思わず言い放ってしまった

俺は曲がったことが嫌いなので腹が立つと思わず声に出てしまう


それを聞き逃さなかった石橋が俺の胸ぐらを掴んできた


「根暗の癖に偉そうなこといってんじゃねえよ!」


言わなきゃ良かった……


後悔しても後の祭りである


なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ……

なんだかんだで中学1年の時から目をつけられていじめられてるなぁ……

たぶん俺の見た目や言動がいけないんだろうけど……


「てめぇ…… ガンたれてんのか!?」

キレた石橋が言い放つ


ガンを飛ばしてるわけじゃない、俺は目が悪いのだ

まぁ俺はクラスで殆ど会話しないし両親にも面倒臭いのでこの事は話していない

誰も俺が目が悪いとは思ってないのだ

だから物を見るときは眉間にシワを寄せて目を細める目付きがガンを飛ばしてるようにみえるらしい……

今にでも殴られそうな雰囲気だ…… やばい……


だがいつも言われるだけで済んでいる

理由は廊下から来るいつもの2人のおかげだ

2人は走ってきて3人組の後ろで止まった


「お前ら!いい加減に兄貴からかうの止めろよ!」

俺の双子の弟、稲垣忠志いながきただし

身長は170センチ、胸板が厚く外人のような恵まれた体つきをしている

髪型は短く切った黒髪をヘアワックスで無造作に立たせるスタイル

彫り深い顔立ちで男らしい顔つきだ

二卵性なので俺達は全く似ていない……


「今日もこの辺でお開きにしよ~ぜ!」

弟に続いて腕を胸の前で組ながら3人組に話している

いつも弟とつるんでいる奴で俺にも少しまともに話してくれる数少ない友達


いや知り合いだ俺からは殆ど話しかけたことないし……


名前は高梨力也たかなしりきや

身長も弟と同じ位ある黒目で目力が半端ない

スマートに見えるが前に体育の授業でみんなに見せびらかしていた筋肉がすごい

細マッチョってやつだな


高梨はクラスのムードメーカーで普通の奴にも不良にも普通に会話に入っていける凄い奴だ


俺には真似できないな……


「なんでお前らいつもくんの?」

伊達が忠志に言う弟には逆らえそうにない雰囲気だ


「今日も助けてもらってよかったでしゅねー」

杉山はヘラヘラしながら俺の顔を覗きこむ


気持ち悪い奴やっぱり相撲取りみたいな顔だな……


「ぶん殴りたいけど気が変わったから止めといてやるかー」

石橋が俺を睨みながら胸ぐらを離した


「いこうぜ」

石橋が合図をすると3人組はそれぞれの教室へ入っていった


「いつもありがとう」

律儀だと思うが俺は2人にお礼を言う


「当然だろ?俺の兄貴の危機だからな」

俺の背中を叩いて忠志が俺を見ている


「忠志の兄貴だからなー 当然!」

高梨も俺を見て笑顔を見せた


そう2人に言ってもらい安堵感を感じていたが俺の腹の痛みは増すばかりだ

なんだか更に酷くなってきたようだ……

足も何だか感覚が鈍い 頭もボーっとする


「兄貴?どうした?」

弟が俺に何か言っているがものすごく遠くで話しているようでよく聞こえない……


「稲垣…… お前ズボンから血たれてるぞ!」 高梨がそう言ったが俺は聞こえなかった

しかし脚を伝う何かを俺は微かに感じた

下を見ると俺の上履きが赤く染まっていた


「あっ……」

声を出そうとしたその瞬間


ドサッ


「やべぇ! 兄貴倒れた! 力也!先生早く呼んでこい!」


「マジかよ…… わかった!!」

遠退く意識の中で高梨が走っていくのが見えた……

俺どうしちまったんだろ?そう思ったところで完全に俺は意識を失った……

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