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エピローグ『とある道具屋の女主人』

「というわけよ」

「ぎゃははは。姉さん、冗談にしてもその話は無茶苦茶すぎ!!」

「いや、別に作り話じゃないんだけど……」


 とある大陸の、とある国の、とある街の、とある道具屋に街で評判の女主人がいた。

 彼女は道具屋の主人としては似つかわしくないほどの美しき容貌と、一流の武人をも凌ぐ強さを持っており、この街で知らぬ者がいないというほどの有名人になっていた。


 彼女は今日、常連の客である女冒険者の一団と歓談していたのだが、どうやら自分のした話を信じてもらえなかったようだ。


「姉さんは意外に照れ屋でかわいいところあるからな」

「だなぁ、旦那と馴れ初めぐらい教えてくれたっていいのに」


 姉さん、姉さんと慕う女冒険者達はからかうような口調で言った。


「だから作り話じゃないんだって……」

「はいはい。まぁでも、姉さんが実は悪魔ってところはちょっと真実味あって面白かったよ」

「確かに、無茶苦茶強いもんな。ゴル山に出た巨人も一人でやっちまうし」

「それに加えて滅茶美人!!」

「そりゃモテるよねぇ。噂じゃ貴族どころか、王族からも結婚を申し込まれた事もあるとか!!」


 わぁわぁと囃し立てる彼女達に女主人はムッとした表情を浮かべ口をつぐむ。


「そんな姉さんが選んだのが、あの旦那って……」

「ないよねぇ」

「ああ、もったいない」

「人類に対する犯罪だわ、これは」


 そう言って嘆く女達に女主人は言う。


「他人の旦那をどうこう言うより、あんた達自身はどうなのよ。いい加減そろそろ相手ぐらいみつけたら?」

「だってぜ~ん、ぜん。いいの見つからないんだもん!! 姉さんいい物件紹介してよ!!」

「ぎゃははは。あたしも紹介してもらおうっと。やっぱイケメンでお金持ちがいいな!!」

「爵位持ちが安定でしょ」

「ええ、貧乏貴族じゃ意味なしじゃん」

「私自分より弱い男は無理~」


 好き勝手言いたい放題の彼女らに女主人が呆れていると、店の扉が開く。

 そうして店の中へ入ってくる人物に、女冒険者達は挨拶する。


「おお、話題をしてたらなんとやらですなぁ~」

「ちっす!! お邪魔してます!!」

「姉さんお借りしてまっす!!」


 彼女達の視線の先にいたのは、女主人の旦那である男だった。

 冴えない容貌の男。


 彼女達の憧れでもある女主人とはまるで釣り合わない男だった。


「ああ、うん。いらっしゃい……」


 気弱にそう言って旦那の男は女主人の方へと歩み寄っていく。

 そして彼は彼女に手紙を渡す。


「これ……」


 そう言って渡された手紙の差出人の名を確認すると、少し驚いたような表情を女主人は見せた。


「あら、ほんと話題をしてたらなんとやらってやつね」

「誰からっすか?」

「友達からの手紙よ」

「へぇ、んっ? 私ら姉さんの友達の話なんて話題にしてたっけ?」

「してたじゃない。私の大親友ミレア」


 見せつけた差出人の名に女冒険者達が驚く。

 その顔を見て、道具屋の女主人イスティアは愉快そうに悪戯な笑みを浮かべていた。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 この作品は自分にとって初の完結作品という事もあって、印象深い作品になりそうです。


 まだまだ広げられる世界観でもあり、イスティアのキャラ自体も気に入ってるのでいつか機会があれば、また彼女の話を書いてみたいですね。

 エピローグの前日談や続き、あるいはパラレルで一から作り直すのも面白いかもしれません。


 至らぬ点も多々ありましょうが、とにもかくにも完結は完結。

 この作品を読み、多少なりともおもしろかったと思ってくれる人がいたら、作者としても嬉しいです。


 また執筆予定の新作や、毛色は少々違いますが既に連載中の作品の方も一読してもらえたらなと思います。


 それと本作品に関してのその他細かい感想などは活動報告の方に後日にでも書いておきますので、そちらも興味あればどうぞよろしくです。


 それではまた……。

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