表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/33

第16話『裸の付き合い』

「じゃ~ん!! どう? すごいでしょ!!」


 温泉を前にしてミレアは誇らしげな顔を浮かべながら言った。

 しかし彼女の期待に反し、イスティアの反応はいまいちだった。


「すごい?」

「えっ……、だって温泉だよ、温泉!! お湯が自然に沸いてるんだよ!! 毎日お風呂に入れちゃうんだよ!!」

「でもお風呂なら家にあるでしょ?」

「ないよ!! そんなの!!」


 この地方で自宅に風呂を持つ者など一部のお金持ちの家ぐらいだ。

 当然、ミレアの家にもありはしない。


「もしかして……、イスティアってお嬢様だったの?」

「そんな事ないと思うけど……」


 実は魔界で暮らしたお嬢様ですなどと、素直に告白するわけもいかず、てきとうに誤魔化すイスティア。


「むむむ、とにかく!! 入ってみたら絶対気に入るはずだよ!! だって、とっても気持ち良いんだから!!」


 ミレアは目の前の温泉を必死にアピールした。

 彼女は悔しかったのだ、小さな村の唯一の自慢と言える温泉を前にして、こんなにも興味を示されないなんて……。


「お風呂なんてどれも一緒じゃないの?」

「そんな事ないよ!!」


 そう言って衣服を脱ぎ捨てると、ミレアは温泉の中へと入っていく。


「ほら、イスティアも」


 彼女の誘いに従いイスティアも身につけていたボロ衣を脱ぎ、裸となる。

 その裸体を見つめながら、ミレアが言う。


「イスティアって、おっぱい大きいのね……」


 ゆるゆるのボロ衣を纏っていたせいで、彼女は気付けなかった。

 イスティアが己には無い、たわわに実った女の武器を所持していた事に。


「そうかな?」


 魔界で暮らす淫魔には、もっと胸が大きいのがいくらでもいる。

 イスティアはこれまで自分の胸が特別大きいなどと考えた事もなかったのだが……。


 村の栄養事情のせいもあるのだろうが、確かに見てみれば、ミレアの胸はずいぶんとつつましやかである。


「うぅ、えっち……。 あんまりじろじろ見ないでよ……」


 見比べられているのを察知したのか、顔を赤らめて胸を隠すミレア。


――えぇ……、さっきまで私の胸をまじまじと見つめていたのに……。勝手な子だなぁ。


 などと思いながら、イスティアはミレアと共に温泉に浸かるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ