第11話『第一人間発見』
「人間が見つからないわ!!」
人間界を旅して四百五十年、イスティアは今だ一人の人間とも出会う事が出来ずにいた。
四百五十年の間、北に南に西に東に、行けども行けども無人の地ばかり。
砂漠、荒野、沼地、雪山あらゆる場所をまわって魔界では見られない景色を楽しみはしたが、肝心要の人間が見つからない。
ときおり、誰かが住んでたような遺跡を発見する事もあったが、建物だけで中身はもぬけの殻か獣や魔物の巣窟になっていた。
そこで出会った魔物達に、人間について尋ねても皆知らないという。
「絶滅しちゃったのかな」
などと少々気落ちしながら空を飛びながらの旅を続けていると……。
「あ、あれは!!」
森の中を会話しながら二足歩行する生物を発見する。
オークなどの魔物とも違った貧弱そうな見た目の生き物。
間違いない『人間』だ。
「やっと見つけたわ!!」
ついに四百五十年目にして待望の生人間を発見したイスティア。
しばらくその様子を遠目から観察する事にしていたのだが、やはりそれだけでは物足りない。
「よしここは人間に化けて、接触してみよう。なんだかワクワクするわね」
そう言って魔法で自身の見た目を人間に化かすと、ボロ衣をまとって二人の人間の方に向かって歩いていく。
――こういうのは第一印象が大切よね……。なんて声を掛けようかしら。
と、考えながら近付いていったのだが……。
意外にも人間達の方がイスティアに気付くなり、声を掛けてきた。




