プロローグ『魔王が死んじゃった』
「俺達は負けない!! 必ずお前を倒してみせるぞ、魔王!!」
恐ろしき魔界の王を前にして勇敢なる青年が叫んだ。
「くるがよい勇者よ、我が暗黒の力で葬ってくれるわ!!」
「うおおおおおおおおお、いくぞおお!!」
魔王に向かって勇者とその仲間達が突撃する。
「必殺!! キガガ・ブレイク!!」
「超魔法!! ウルトラ・スーパー・ファイアー・アイス・カミナリ・ボール!!」
「射るべし!!」
大地を切り裂く剣技に、山をも吹き飛ばす魔術、そして矢。
勇者達の愛と勇気と正義の超攻撃の前に、魔王とて一溜まりもなかった。
「うぎゃああああああああ!!」
魔王の体が爆発、四散する。
こうして世界は救われたのである!!
やったね。
――……四十九日後。
平和になった人間界に対して、魔族の主柱たる魔王を失った魔界は荒れに荒れていた。
オークが、ミノタウロスが、ドラゴンが、デーモンが、魔界のあらゆる者達が争いに争っていた。
我こそは次なる魔王にならんとして!!
「かちこみじゃああああああ!!」
「上等じゃあああああ!!」
血で血を洗う争いの日々。凄惨を極めるその戦いに、魔界の長達は危機感を募らせた。
このままでは人間達との再戦を前に、内の争いで滅びかねない!!
そこで長達は考えに考えた。
どうにか別の方法で魔王を決める手立てはないか……。
これ以上の流血を避け、新体制を発足する方法はないかと。
そしてついに、彼らはそれを思いついた。
『MKI魔王選抜総選挙』の実施である!!