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第3話 天才魔術士?

 石造りの階段を上がればいよいよ外の世界だ!


 今まで城内散歩はある程度自由にさせてくれていたが流石に屋上は落ちたりしたら大変という理由から屋上への出入りは禁止されていたからな。

 まぁ今思えば勿論落下の危険性もあるけどさっき言ってた魔力の影響も考えての事だろう。


 窓から外を見ようにもこの世界ではまだ小さなお子ちゃまの俺には背が届かなかったしな。


 と言うよるも言葉の勉強に書庫に引き篭もっていたからあまり外の事気にもしなかったし。


 異世界ファンタジーの世界はどんな世界か楽しみだけど、待てよ?


 今日は窓からの光で天気がいいのは分かるが、俺達は魔族でこの中世ヨーロッパ的な石造りの城…。


 嫌な予感がする…。


 大体このシチュエーションだと魔族の住む世界っていうのは荒れた大地に枯れた木々、天気はどんよりヘタすれば雷なんかが鳴り響くって世界なんじゃあ……まぁ天気が良いのは分かるから暗雲がどんより雷バリバリは無いと思うけど……。


 期待と不安が入り混じりながらルーファスとミランダに手を繋がれ古い木製のドアから屋上テラスに足を踏み出せば!

 そこには!!



 何とも長閑な田舎の風景が広がっていた。


 それは遠くに山と森が見え、見渡す限りの草原に囲まれた長閑な田舎村といった感じで今にもオカリナとかエレクトーンのホンワカとしたスキップしそうなBGMが聞こえてきそうなのんびりした風景だ。


 村の1番端の川に囲まれた周りより少しだけ小高い丘に(うち)建っており、村には何件かの木と石で出来た家があった。


 荒れた大地や断崖絶壁、最悪荒波に囲まれた孤島の可能性まで考えてた俺にとっては良い意味で肩透かしを食らった感じだ。


 そんな事を考えながら初めての景色を眺めていると前世での社畜っぷりや出世に目を血走らせてた世界の方が夢の世界だったんじゃないかとさえ思わせる。


 ふと振り向けば悪魔両親改め魔族両親がにこやかに我が子を見つめていた。


 するとルーファスは得意げに

「ジェイク、初めて見る世界はどうだ?」

 とまるで自分がこの世界を作った本人の様なドヤ顔で聞いてくる。


「すごい綺麗な世界です!思っていた以上に素晴らしい世界です!」

 俺は素直に感じたままの感想を少しだけ興奮気味に言った。


「そうでしょう!!お父さんが作った世界は素晴らしいでしょう!?」

 これまたミランダは俺の感想に自分がやってのけたが如く喜んでいる。


「え?え!?、ちょちよ、今なんて???」

 今ルーファスが作った世界って言った???

 えぇ?俺の父親は悪魔でなく創造の全知全能の神!?


「ハハハハハ、俺が作った世界は言い過ぎだろ?確かにこの村は俺が切り開いて作ったが、この世界は作ってないぞ?」


 え??あ、そーゆー事??


「あら、でもここを切り開いてここから見える景色を作ったんだから、あなたがこの世界を作った事になるじゃない」

 ミランダまでドヤりながらルーファスに言った。


 何だぁ…ビックリしたぁ………

 新たなサクセスストーリー開幕かと期待しちゃったじゃないか。


「え?でも父様1人でこの村を開拓して作ったのですか?」


「ああ、まぁな。話せば長いが色々あって、ここの森を草原にして川を通し今住んでる城を作ったんだ」

 ミランダから言われた時は謙遜してたが自分で言う時は何だか嬉しそうに自慢気に話している。


「それはスゴイですね!父様は力持ちで器用なんですね!いや、力持ちで器用ってレベルじゃないですよ!1人で村を作るなんて!!」


 鼻の穴がピクピクしている。

 嬉しいのだろうか、そりゃ息子から凄い凄いと囃し立てられれば嬉しいわな。

 でも村一つを1人で作るなんてまさに神業だろう。


「いや〜まぁ、何、天から授かった才能?略するとテンサイっての?」


 いくら息子から褒めらて嬉しさ満点だからとは言え、照れながらスケベな事お願いしている亀の仙人みたいな顔になってんな。

 お調子者タイプか?


  「まぁそうは言っても一週間かかったじゃない?」

 やはり夫婦めおと浮かれ過ぎなダンナにすかさずツッコミ入れますな。


「バッカ、1週間もかかってねーよ。6日で完成しましたぁ」


 しましたぁって、子供か!


「1週間も6日も同じよ、それに徹夜作業で6日でしょ?実質は1週間以上じゃない」


 あー言えばこー言うって子供か!


「じゃあ、お前1週間で村作ってみるよぉ!」

 ルーファスは興奮してバスケ漫画の赤い髪の高校生みたいにフンヌーとか言いながら目を三角形にする勢いだし、ミランダはその冷静さが同じバスケ漫画の赤い髪の主人公にキツネとか言われている天才バスケプレイヤーの様に上から目線で今にもドアホウとか言いそうだ。


 いかん、夫婦ゲンカに発展しそうだ。

 子供のケンカみたいだけど…。


「でも!たった1週間でこれだけの城建てて森をここまで切り開いて草原にするなんてやっぱりスゴイですよ!」

 中身は大人な俺はナイスでスルドイカットインを決める。


「そ、そうだろう?スゴイだろう?」

 あ!また鼻がピクった。

 ホントにスゴイと思う、たった1人で1週間で森を切り開いて城を一つ建てるなんて。


「ホントにスゴイです!どうやって1人で森を切り開いて城を建てたのですか?」

 これは本気に聞いてみたい!


「ふふふ…。それはなぁ…」

「魔法で作ったのよ。お父さん魔力だけは異常にあるから寝ずに働けば6日もあればこれ位は作れるわ。」

 あ!ミランダ美味しいとこ取りした、ケンカを引きずってるんだな…。


「何でお前が言うんだよぉ!そこは俺が言いたいところだろう!それに魔力だけはとは何だ、魔力だけとは!」

 またフンヌー顔になってる。


「でもホントにスゴイです!尊敬します!」


 あ!またまた鼻がピクった。


 え!?


 泣いてる?


 俺に尊敬しますって言われて感動してるのか?

 でもホントに尊敬に値する神業だよ。


「父様!是非その素晴らしい魔法を僕にも教えて下さいっ!!」


「ふふん、良かろう!この天才魔術士ルーファスが直に教えてやろう!」


 ルーファスは魔王か何かの様な芝居掛かった口調ではあったが魔法を教えてくれるようだ。

 でもこんなスゴイ魔術士に教えてもらえるなんて願ったり叶ったりだ。


「あなた、魔術士じゃなくて魔法剣士でしょ?」


「ぐぬぬ…確かに魔法剣士だが、ここは天才魔術士でいいだろう」


「え?父様はあんなスゴイ魔法を使える上に剣も使えるのですか?」

 桜〇花〇っぽいキャラかと思ったが秘密兵器じゃなくてホントの天才だったのか!?


「そうよ、ジェイク。お父さんは魔法は王級、剣術も王級なのよ。スゴイでしょ?」


 王級がどれ位スゴイか分からないけど響きからしてスゴイんだろう。

「スゴイです!父様!」


 ルーファスは鼻をピクつかせながら口もニヤけたいを我慢してムニムニしてる。


「でも、どっちも神級にはなれないけどね」

 ミランダがまた、ダメ出しする、あ!あれか!?ルーファスばっかり息子に羨望の眼差しで見られてるからヤキモチ焼いてんのか?


「ふふん、何とでも言え」

 あ!バカ!そんな勝ち誇った顔したらまた夫婦めおと漫才、もとい、夫婦ゲンカに発展するだろ!


『ギャーッス!』


「っ!?」


 その時、外から獣のかな切り声の様な耳障りな叫び声が聞こえた!


 ルーファスが真っ先に声が聞こえた方角に走るや否やジャンプして飛び出した!!


 ウッソだろ!?この城4階建てだから屋上から飛び出すって実質5階から飛び降りるって事だぞ!?


 続いてミランダと俺がルーファスが蹴って飛び出した塀にぶつかる様に手を付き下を見た!


 するとルーファスは飛ぶ様に100mはあろうか先の民家に向け跳躍中だった!


 その先には短い両手で煙を噴いてる頭を押さえている緑の小さいズングリむっくりな人?みたいなのと同じく緑色の小さい人みたいなのが2人?2匹?いた。

 あれってもしかしてゴブリン??

 そのゴブリンらしき魔物の前には先に四角い石みたいなのが付いた杖を構えている少女がいる。


 そのゴブリン3匹と少女の間にルーファスが着地すると、いや、着地する前に砂煙が上がりルーファスは着地した!

 着地と同時に頭を押さえていたゴブリンを蹴り飛ばした。

 蹴られたゴブリンは2〜30mは吹き飛ばされただろうか?


 呆気に取られている2匹も続け様に右、左と蹴り飛ばされ3匹纏めて30m位離れた場所に集められると同時にルーファスが天向かって人差し指を指し、その指をゴブリン達に向ければ一閃の稲光が光った!!

 それと同時に激しい爆発音と共に雷が容赦無くゴブリン達を黒焦げの肉塊にしてしまった!



 ………………。



 当たり前だが前世を含め産まれて初めて見た魔物と魔法の闘いに度肝を抜かれ、ただただ呆然としてた…。


 ルーファスが膝をつき、杖を両手でしっかりと握り締めている少女の頭に右手を乗せ優しげな表情で何か話しかけているが、それすら夢の様に現実味を感じず俺はただボーッと見ていた…。


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