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ヒロイン=ヒーロー  作者: だっつ
4/17

第4話 蒼い魔法少女

なんやかんやで4話目ですね。見てる人は少ないかと思いますが、最終回までは行きますので、よろしくです

どうも、美冬です。

前回あかねさんは金銭欲と戦い、ボロボロになり負けかけました。

助けを求めてボクが叫んだら、目の前に黒い魔法少女が。

彼女の正体は三月パンの店主。小森杏子。そして、2人の力で金銭欲を倒しました。

・・・最近叫んでばっかな気が・・・


「あーあかんあかん。それじゃ意味がないで」

山の中でファンタジックな格好をした2人の少女が向かい合っていた。

「えー・・・あたしはこれでやってきたのにな」

そう、頭をぽりぽりかきながら少し不満そうな顔をしている少女。彼女は西園寺あかね。普通の女子高生『だった』

彼女はひょんなことから天使くんと契約をして、魔法少女をやっている。ただ、魔力が少ないので、姿形はとても幼くなるが。

そして、彼女にダメ出しをしたのは、あかねの師匠ことブラックローズ。正体はあかねたちがよく行くパン屋、三月パンの店主の小森杏子だ。

あかねはこの森で魔法少女の戦い方のレクチャーを杏子に受けている。

「あかねちゃんは、魔法で攻撃するときどうやっとる?」

と、杏子はあかねに質問をした。そう聞かれてあかねは右手を前に突き出して。

「どうって、ここに魔力を貯めてドーン。みたいな感じですけど・・・」

そう答えると、杏子はやれやれと言うように顔を振った。

「いい?魔力ってのはな、自然に流れるものなんや。それを自分の力で、ひとまとめにしたら魔力の質は落ちる。ほら、人工物のダイヤモンドより、自然でできたダイヤモンドの方がきれいやろ?」

と言うと、あかねはなるほどと言うようにてをポンと叩いた。だから、杏子はあんなにも魔力の弾丸を飛ばせたのだ。自然に逆らってないから。

ならば、あかねもそれをコントロールできるようになれば、もっとマモルコトガデキルノカ。

そんなことを考えてると杏子が、心配そうに顔を覗き込んで

「ま、無理をしない。それからや・・・ん?顔が怖いで。大丈夫か?」

と、優しく言った。

あかねはいつの間にか杏子に心配される顔を作ってたことに気づき慌てて、大丈夫だと言った。

杏子はそれを見て満足そうに頷いた後、袋からパンを一つ取り出し、あかねに渡す。

それをあかねは美味しそうに頬張り、杏子はそれをニコニコ見ている。

側から見たらコスプレした親子のようだった。

コスプレして、山の中でパンを食べる親子がいるかはわからないが。

すると、杏子がそうやと、思い出したかのようにあかねに

「そういや、もうすぐテストやない?大丈夫なん?」

と言った。

あかねは自分の胸をポンと叩いた。それは大丈夫だと言ってるようであった。

「大丈夫です。そもそもテストは


きょうじゃーん!!!」

「おーい、西園寺うるさいぞ」

無情にもチャイムが鳴り響き、あかねは思いっきり机に頭を叩きつけた。そう、テストが始まる。

自慢じゃないがあかねは頭はあまり良くない。今まで赤点ギリギリ回避ばかりだったような気がする・・・いや、赤点とったことは何度かあった。

そして、最近は妙にハードスケジュールだった。夜は増穂が帰ってくるまで街のパトロール。次の日の早朝から学校までブラックローズと特訓。勉強する時間などなかった。でも、これを理由にしてみたらどうなる?魔法少女が忙しいから勉強できませんでした。どう考えても頭が少しおかしい女の子になってしまう。

とりあえずペンを持ち問題に向き合う。一問一問落ち着いてとけば、赤点は免れるであろう。

しばらくなんとか解いていたが、ペンがピタリと止まった。

(やっべー・・・sin135てどれぐらいだっけ・・・てか、こんなの覚えて何の意味があるんだ・・・)

数学に対して何の意味があるのかという疑問はご法度。これを持ったら、途端に数学の問題を解く意味がわからなくなり、結果としてペンを走らすスピードが遅くなる。

あかねは問題を解きながら、なんで分解するのだとか、点P動くなとか、お兄ちゃん待ってやれよとか、なんで値段わからないのに商品買おうとしてるのだとか、全国の高校生が一度は必ず思ったことを考えてしまう。

空白は何個かあるが、赤点はギリギリ回避できそうなぐらい書いたら、テスト終了のチャイムが鳴った。

後ろからテストが回収されていくため、あかねは回収を始める。二、三人ぐらい集めてある一問に目が止まった。

(え・・・)

そこはあかねが一番自信があるところであるが、みんなとあかねの答えが違かった。四人と一人。この差は歴然であり、あかねは少し悲しみに包まれながらテストを回収していった。

先生にそのテストを渡す時に、どうやら暗い顔をしていたらしく、先生に心配されて声をかけられた。あかねはうつむきながら

「購買に暗記パン置いてください・・・」

と言ったらしい(ここでらしいというのは、あかね自信覚えてないからである。あまりにも気分が落ち込めば、何を言ったか忘れることもあるだろう。読者の諸君にもそういう経験はあるはずだ)

それに対する先生の答えはコンピューターペンシルのほうがいいと思う実用性を考えての一言だった。

この後現代社会やら古文やら地理やらで心がバキバキになりながらも、なんとか試験を乗り越えた。

今、教室には「俺はやりきったぞ!」という歓喜の顔と「もっとやっとけばよかった」という後悔の顔の二つに一つの表情しかなく、あかねはもちろん後者でありテストの存在を忘れてた過去の自分を殴りたい衝動にかられながら帰ろうとしている。

自己採点では赤点は一個もないから大丈夫なはずだ。と考えてるその時点でテストに自信がないのはわかるのだが。

すると後ろから何かが来る気配をあかねは感じた。恐る恐る後ろを振り向けば、まるで闘牛士に向かってくる牛の如く、一人の少女があかねに突進してきた。

「あーかーねーちゃーん!!お疲れ様のキスを私は所望するー!!」

そう、あかねの学友の千鶴である。彼女はなぜかあかねに好意を寄せており隙を見つければキスや抱擁を要求してきてその度にあかねは色々と災難な目にあってしまう。でも不思議と嫌ではないというのは本人の談。

千鶴の突進を右手で押さえ付けると、彼女は駄々っ子のように手をブンブン振り回す。

そんないつもの日常を何よりも愛するあかねは、千鶴だけには危険な目にあって欲しくないと、願っている。

「テスト終わりからお熱いね〜」

と声が聞こえたと思うと、千鶴の後ろから二人の男性が歩いてきた。ダサいTシャツがトレードマークの少年小峠春樹と、クールな雰囲気で女子人気が高い少年小野悟であった。

声をかけた春樹は少し笑いながら、近づいてくる。

「何がお熱いだ。なんで、千鶴と熱々な関係にならなきゃならん」

「お熱いなんて!!小峠くんいいこと言うね!!だからキスをしようあかねちゃん!!」

未だに諦めてない千鶴のキス攻撃をうまく避けて、あかねは廊下を走って逃げる。

あかねを追いかける千鶴達の足音と先生の罵声が廊下に響いた。



◇◇◇



場所は変わり、ここいつもの三月パン。四人はクロワッサンを食べて談笑をしていた。

試験後の学生の会話など、試験の内容がメインである。それは彼女達も同じであり、あかねがヤバいといえば、春樹が俺もというように親指で自分を指し、悟がやれやれと言いながらパンを食べ、千鶴が慰めのキスをしようとする。

危うく乙女の純潔を同じ乙女に奪われそうになるが、その前に千鶴の携帯が鳴り響く。

どうやらメールが来たらしく、その分をちらりと見たら少し悲しい顔をした。

「むぅ。お母さんから早く帰って来いとのメールが・・・私はここら辺で帰るね」

と言いながら席を立つ。背中には哀愁を漂わせながら。

千鶴が帰った後、この店の店主の杏子があかね達がいる席に近づいてくる。

その手にはメロンパンとカフェオレを持ってきており、千鶴がいなくなった席にストンと座った。そしてメロンパンをバクリと頬張る。

そして、あかねのバッグをみた杏子は何か懐かしいものを見たという顔をして、バッグに入っているいつも通りぐったりしているものをひょいと持ち上げた。

「うー?天使さんやないか。何しとん?」

「お、俺は天使くん・・・だ・・・」

天使くんと杏子が目と目を合わせていたらあかねが天使さんについて聞いた。

「・・・天使さんは、ウチが契約した天使や。契約したらすぐどっか行ったけどなぁ・・・もしかしてあんた、あかねちゃんが心配なん?」

そう言われたら天使くんは顔が少し赤くなり目を背ける。あかねは天使くんにも可愛いところがあると思うと、なぜか笑ってしまった。

後ろからかすみがお客さんを相手に奮闘している声が聞こえるが、杏子はマイペースにパン食べ、カフェオレを飲む。

「そうや、あかねちゃん。今日少しええか?特訓したいから、いつもの所でお願いするで」

そう言われて断る意味はない。むしろ、自分から言いたかったぐらいでもある。

「ママー!!変わってくれへんかー!!」

後ろからかすみの悲痛な叫び声が聞こえる。杏子はメロンパンとカフェオレを流し込んで、かすみのところに歩いていく。

「かすみちゃん堪忍やー今日の夕飯砂ずりにするから、それでええ?」

その声が聞こえたらそれにかぶせるようにかすみが大喜びする声が聞こえた。

それを微笑ましくあかね達は見ていると、かすみがトコトコとあかね達に近づいてきた。

そしてあかねを見上げながら少し手を振り耳を近づけろという。

あかねは耳を近づけるとかすみも耳に口を近づけ小声で囁いた。

「ママが、最近楽しそうなのはあかねちゃんのおかげやと思うけど・・・その・・・無理はせんどいてな?」

かすみはそういった後照れたように杏子のもとに走っていった。それを見つめるあかね。

そうか、と今更ながら確信した。

杏子にも守りたい日常があるのだと。



◇◇◇



山の中に一人の少女が正座で座っている。黒くて小さいシルクハットをかぶっている黒い魔法少女。名はブラックローズ。

穏やかな空気が周りを包んでいるが、ブラックローズの右の木から、鳥がバサバサと飛んで行った。

ブラックローズはそこをちらりと見る。

すると左側から少しの殺気を感じた

その殺気を発してるのは小さな女の子。彼女の名はマジカル☆アナザー。

右の拳でブラックローズを殴ろうとする。普通なら焦る状況だが、ブラックローズは落ち着いて指をパチンと鳴らす。

すると、アナザーの足元にあった枝がいきなり生え始めた!!

それに攻撃を阻まれ、アナザーは距離を取ろうと後ろに飛ぶ。が、目の前にいきなり生えた木を破壊しながら黒い弾丸がアナザーを襲う!!

アナザーはそれをもろに受けて後ろの木に叩きつけられる。

アナザーは横腹を押さえ、痛みが引くのを待ったが、それすら許さないというように今度は黒いレーザーがアナザーの右ほほをかする。

アナザーは慌てて走り出す。そして何故こうなったかを考え始めた。

時間は少し遡る。杏子があかねに魔力の使い方をレクチャーしていた。杏子はわかりやす説明しようとするが、あかねは余り理解できてなかった。

それを見てすぐに杏子が気づけたのは、人をよく見るからか。

じゃ、と一言置いて杏子はある提案をする。それこそが

(模擬戦って・・・杏子さん本気じゃないか!?)

実践の方が魔力の使い方をわかるといい、アナザーとブラックローズの戦いが始まった。

ブラックローズは急所こそ狙わないようにしてるが、それでも少し気を抜けば刈り取られる。刈られなくても当たれば痛い。

木に体を隠しながらどうするかを考える。

先程木がいきなり生えたのは、ブラックローズの能力で折れた枝を『修復した』

傷を治すだけでもなく、物を治せるというブラックローズの能力に驚きをかくせない。

それに気をつけようにも、四方八方から襲いかかる黒い弾丸にも襲われるため、思考を固める時間もほぼない。

ならばと、アナザーは相手に近づくために地面を蹴った。

遠距離が主体なら、近づけばこちらのもの。多少の痛みは耐えて、相手に一撃を叩き込む。

体を右に左に動かし、黒い弾丸を避け続け目測10〜15メートルぐらいまでブラックローズに近づいた。

ここでアナザーは一気に加速するーーー!!

黒い弾丸を体に受けながらもアナザーはブラックローズの顔に拳を当てようとする。

「うーん。やっぱり癖は簡単には抜けへんな。自然な流れやない」

ブラックローズは評論家のような一言をいうとアナザーの攻撃を両手で押さえた。

少し後ずさりするが、アナザーの攻撃を完全に押さえた。

アナザーは受け止められたことに驚く。そしてアナザーの体はブラックローズに引き寄せられる。そして

「ぐうっ!?」

ブラックローズが思い切り膝蹴りを鳩尾にいれ、空へと打ち上げた。口から何か出そうになるのを抑えるが、ふと気づくと、ブラックローズがいなくなっていた。

すると背後から、トン、と何かが押し付けられる音が聞こえた。

「残念。ガメオベラや」

と、ブラックローズの声が聞こえると同時に、アナザーの体が黒いレーザーに貫かれた。



◇◇◇



場所は変わり、アナザーの体がレーザーで貫かれる少し前。暗い路地に一人の男性が歌を口ずさみながら、座っていた。

かすかに聞こえるその歌声は、ベートーベンの歓喜の歌。それをとても気持ちよさそうに歌っていた。

するといきなりその歌声が止まった。スマートフォンに電話がかかってきたのだ。

イライラしながら、電話を取る。乱暴な声で電話をした主に声をかける。だが、一瞬のうちにイライラは喜びに変わり、笑顔で立ち上がる。

「エレンホス!!どうした?俺に何か用か?なんでも言ってくれ!!」

電話の主は、エレンホスであった。電話の向こうでは小さな笑い声が聞こえた。

「ふふふ、そう言ってくれると僕も嬉しいですよ。マタル」

「何言ってやがる。大好きな奴の言うことは聞くのが普通だろ?」

マタルがそう言うと、エレンホスはまたくすりと笑う。その声を聞くのはマタルはとても大好きであった。

「まぁ、頼み事といってと、野良犬を二匹片付けてもらいたいだけです」

その声にピクリと眉が動く。野良犬を二匹。つまり・・・

そのことを考えると口から自然と笑みがこぼれる。ちょうど退屈していたところだ。まぁ、エレンホスの頼みを断る気はなかったが。

「場所は、◯△山です。のちに護衛役がきますので、無理はしないでくださいね」

そして電話は切られる。

ツーツーと、電子音が聞こえるスマートフォンをポケットになおして、裏路地から出て行こうとする。

だが、思い出したかのように立ち止まり、ポケットの財布から十円硬貨を二枚取り出し先程まで座っていたところに投げる。

チャリンと音を立てず、何か、柔らかいものに当たった音が狭い路地に響く。

それは、赤い水を流している。よく見れば、顔や、手などがあるが、全てぐちゃぐちゃに潰れていた。

これは人間だったもの。それにマタルはお金を投げたのだ。

「お前の音楽につく価値はそれぐらいだ。来世ではもっといい声聞かせてくれ」

そう言いながらマタルは路地から出て行く。そしてその声に反応するかのように、人間だったものから、少しだけ肉片が赤い海に落ちてピチャリと音を鳴らした。



◇◇◇



山に二人の人間が座ってる。言うまでもなく我らがマジカル☆アナザーと、その師匠ブラックローズである。

二人はパンとコーヒーを飲んでちょっとしたピクニック気分を味わっていた。

アナザーは背中をさすっている。先程の模擬戦のダメージが残っているのだろう。痛みはだいたい引いたが、痛いものは痛い。ヒリヒリするというのだろうか。

「そういえば、師匠は何年くらい魔法少女やってるのですか?」

「うーん・・・うちは今25やから・・・そうやな、10年ぐらいかなぁ」

10年というのは、つまりはベテラン。そして、魔法少女になったのは、中学生ぐらいの時か。

アナザーは純粋に驚く。アナザーは魔法少女になってまだ二ヶ月。そりゃ、魔力の使い方を把握できるだろう。アナザーは、そう考えながら天使くんを優しく撫でる。天使くんは目をつむって眠ってるようだ。

「なにか、武勇伝とかないですか?」

時間つぶしに話を広げようとする。10年も戦っていれば、何か凄い話の一つや二つがあると思ったからだ。野次馬根性もあるのは秘密。

「そうやなぁ・・・一番すごかったのは、小さなコンサートホールの戦いやな。うちとかすみが、演奏家の演奏を聴いていたら、いきなりディザイアがやってきてな。観客みんな殺しよんねん。かすみはすぐ気を失ったから、うちはそいつと戦った。そいつはなぜか、殺した人間にお金を投げるんや。奇妙な奴やった。ウチはなんとかそいつを撃退した。けど倒すことはできんかったんや。片目しか潰せんかった。多分ニュースかなんかになったはずや。コンサートホール皆殺し事件」

確かに、アナザーも聞いたことがある。7年ほど前だったか。あまりに衝撃だったので、よく覚えてる。

そんな戦いを7年前に経験しているのだ。やはり杏子は凄い・・・待て。何かおかしい。

アナザーは頭を抱える。変なところがある。でも、それに触れてはいけない気がする。

すると、天使くんがいきなり起き上がった。森の奥を凝視している。

アナザーは考えることをやめて、そこを見ながら立ち上がる

「・・・!?な、なんだこのビリビリする殺気は・・・!!」

二人は身構える。すると、森から男性の声が聞こえてきた。そして少し聞こえる声でどこか聞いたことある歌を歌いながら歩いてきている

「ま、まさか、これは・・・歓喜の歌!?」

ブラックローズはガタガタ震え始める。

その声の主に怯えるように。

今から起こる悲劇が起こることをわかっている風に。

そして、木々の間から男性が現れた。赤いパーカーを着た彼はニヤリと笑った。

その笑顔をみて、アナザーは恐ろしさを感じて、思わず後ずさる。

「お前らが、野良犬二匹か・・・」

と、男性はぼそりと呟く。すると天使くんは慌てて何かを叫んだ。

「あいつは、エレンホスと同じ!!完全体のディザイアだ!!」

「あ?エレンホスを知ってんのかお前。まぁ、どうでもいいか。なんせお前らは今から俺らに・・・」

と、ここで声を切る。その隙をついてブラックローズは黒い弾丸を男性に当てようとした!!

男性はその攻撃をもろに受ける。そして、男性がいたところが爆発で草木が吹き飛ぶ。

爆風で相手の姿が隠れるが、それでもあんなに打ち込んだのだ。少しぐらいダーメジを与えたはずだ。

だが、その爆発の中から大きな笑い声が聞こえてきた。まるで戦いを楽しんでるように。

その笑い声がやんだと思うと、その爆風から男が一人突っ込んでくるーーー!!

アナザー達はいきなりのことに驚くが、とにかく攻撃をしようとアナザーは前に出て拳を突き出す。

だが、男はその拳をつかんで自分の方に寄せ付けた。いきなり引っ張られバランスを崩す。そして、その無防備になったアナザーの腹を思い切り蹴り上げる---!!

アナザーは空に打ち上げられる。ブラックローズはそれを見て、一瞬動きが止まる。が、男に向けてレーザーを発射した!!

そのレーザーを男は少し体をずらして避ける。そして、ブラックローズに一気に近づく。

ブラックローズは杖に魔力を込めて殴ろうとするが、その攻撃を片手で受け止めてもう片方の手で顔を殴る!!

吹き飛ばされそうになるが、男はいつの間にかブラックローズの腕を握っており、吹き飛ばされなかった。

そして男は手を離し、ブラックローズの足をはらった。そのはらった足をつかみ、未だに空に飛んでいたアナザーめがけて投げつけ、男も、そこに飛ぶ!!

そして二人を片手づつつかみ、地面に投げ飛ばした!!

先ほどのブラックローズの攻撃でできた爆風並みの砂埃を起こして二人は地面に激突する。

時間にして30秒ほどの出来事。それであの男は二人の魔法少女をここまでボロボロにした。

アナザーは身震いをした。力だけで言えば、おそらくエレンホスはよりか上の存在。

もし本気を出されたら・・・恐らく、何も出来ずに何度も殺される。

「お前ら、弱すぎるぞ・・・せめていい歌声聴かせてくれ。じゃなきゃつまらん・・・あ、そうだ。自己紹介がまだだったな」

男は呑気にそういう。友人と会話するかのように、リラックスをしながら。

「俺の名前はマタル。そして俺の欲は殺人欲・・・今から、お前らは俺の欲の解消相手になってもらう。だから、いい声で鳴いてくれよ?」

マタル。彼はそう名乗った。そして驚くことに彼の欲は『殺人欲』。人を殺すことで欲を解消するという、恐ろしい欲。

アナザーは、直感的に感じ取る。こいつはここで倒すべき相手だと。投げ飛ばされるとき気づいたが、マタルの左目は潰れている。そこの死角をつけばいい。

アナザーは震える体に鞭を打ち、マタルの左にむかい、一気に駆け出す。

「魔力をコントロールする!!」

マタルはイヤホンで音楽を聴いてるらしく、気づいてない。右手になるべく自然の魔力を込めて、相手を殴り飛ばそうとする。

「マジカル☆インパーーー!?」

だが、アナザーは殴ることができなかった。目の前からマタルが消えていたのだ。

「ーーーおせぇ」

後ろからそう聞こえたと思った瞬間、ドガッ、と音がしてアナザーが蹴り飛ばされる。

口から血を吐きながら、地面を転がる。魔力を込めてる手で勢いを止めるが、止まった瞬間、アナザーは腹を思い切り踏みつけられる。

「ガァッ!!」

「ほらほらほらほら!どーした!?もっといい音楽聞かせろよ!!なぁ!?おい!!」

笑い声をあげながらアナザーのはらを何度も何度も踏みつける。

そして、もう飽きたというように思い切り腹を蹴飛ばした。まるでサッカーボールのように。

木にぶつかり、そのまま下に落下する。アナザーのはらは少し、青く。そして赤くなっている。徐々に青色は引いていくが、口から漏れる荒い息遣いは、止まらない。

「弱点とかいうやつはよぉ・・・それを生かせば弱点じゃなくなるんだぜ。左目がつぶれてるなら、大体のやつは左を狙う。そして、油断しきったところを俺がつく・・・7年も戦えば、それぐらいわかる。そして俺はそれを生かす」

先ほどのように、友人と会話するかのような緊張感がない声でしゃべりながら、アナザーに近づいていく。

そしてアナザーの頭を鷲掴みにして自分の顔の高さに持ち上げる。アナザーは震える声で離せとつマタルに言い放つ。

「お前の声は、なかなかいいなぁ・・・もっと聞かせてくれよぉ!!痛みであげる声を!!痛みであげる鳴き声を!!」

と、言うや否や地面や木に叩きつける!!

1度目

アナザーは大きな叫び声を上げ、マタルは笑い声をあげる。

5度目

アナザーの声がだんだん小さくなり、それとは違い、マタルの笑い声はだんだん大きくなる

13回目

アナザーの声が聞こえなくなり、マタルが狂ったように笑い出す。

18回目

23回目

29回目

38回目

39回目

40回・・・



「やめろおおぉおおぉおぉおぉぉぉぉおおお!!!」



後ろから悲痛な叫び声が聞こえたかと思うと、背中に黒い弾丸が数多くあたり、爆発する。

それでもマタルは全く気にしてない。そんなことより、楽しみを邪魔されたことに対して怒りの表情を後ろに向けた。

そこに立ってたのは、震えながら立ち上がった、ブラックローズだった。

マタルはアナザーを乱暴に投げ捨て、ブラックローズに向き合う。マタルは少し屈み、落ちている石を拾った。

それをブラックローズに向かって投げる。その域は風を切りながらブラックローズにまっすぐ突っ込んでいくーーー!!

ブラックローズは間一髪でそれを避け、マタルに近づく。

ブラックローズとマタルは組み合いを始める。ブラックローズの杖の攻撃。マタルの攻撃。二人の攻撃は常人には見えないほどの速さであった。

すると、マタルがブラックローズの両手をつかんで、顔を覗く。

「・・・やっぱりなぁ・・・てめぇ、忘れたとは言わさねぇぞ・・・!!この左目の傷!!忘れたとは言わせねぇぞ!!」

「あんた、やっぱりあん時のディザイアなんやな。ええで。あん時の決着つけたる!!」

そう言い終わると、ブラックローズは、マタルの顔めがけて弾丸を飛ばす!!

顔面にもろに攻撃を受けて少し後ずさるマタル。その隙を逃さないブラックローズは、杖で思い切り殴る。

思わず、膝をつくマタル。

「さっきは少し油断したし、恐ろしさもあった・・・けどな!愛弟子が頑張っとるのに、うちが何もせんのはいやや!!」

そう叫び、ブラックローズは空を飛ぶ。そして空から無数の弾丸を降らせた!!

先ほどとは違い、迷いのない。自然に魔力を使った攻撃。威力は先程より格段に上がっている!!

舌打ちをしながら攻撃を腕でガードするマタル。いくら魔法少女といえど、魔力は有限。なくなるまで耐えるーーー

しばらくした後、攻撃がやんだ。マタルは少しダメージを受けたが、倒れるほどじゃない。爆風がはれ、ブラックローズは空に浮かんでいた。マタルは一気に近づこうと足を踏み込む。だが、思うように足が動かない。

「・・・ね、根っこ!?」

足を見たら、そこに根っこがありそれが複雑に絡んでいる。

「さっき取っ組み合いになったときに、あんたの足にちぎれた根っこをつけて、ゆっくり再生させたんや・・・!!」

根っこに足を取られたマタル。そして、ブラックローズは杖の先端をマタルに向ける。杖の先端。そこに魔力を込めるーーー!!

「これで、終わりや!!ローズ・・・バスターーー!!!」

黒くて極太のレーザーがマタルに向かって一直線に伸びていく!!

マタルは動くこともできず、守ることもできず、そのレーザーが当たるのを待つだけだった。

だが、マタルは最後まで笑っていた。

ぽよん

するとマタルの体に当たるとき、何かに当たったかのようにレーザーが弾かれた。

「は・・・?」

間抜けな声を上げるブラックローズをみて、マタルはニヤリと笑った。

何が起こったか、ブラックローズは目を凝らしてよく見てみる。そしたら、マタルの体の周りには薄い膜があるのに気づいた。それはシャボン玉のようだった。

それに気づいたとき、後ろから一人の少女がマタルのとこに歩いてくる。

「おせぇな。護衛役さんよ」

「これでも急ぎました。それよりも貴方、もっと真面目にやりなさい」

「けっ、だって久しぶりに骨がある相手だぜ。楽しまなきゃ損だろ」

そうマタルは答えながら足の根っこをちぎる。

その少女は頭をかかえため息をつく。そして、ブラックローズのほうを向く。

この少女は服装は青く、少し長くて、下のほうの髪の毛をつインテールにしている。その格好はまるで

「なんで・・・貴女が・・・!?」

「・・・自己紹介がまだでしたね。私は蒼い魔法少女。マジックブルーです。以後お見知り置きを」

そう言って蒼い少女は礼儀正しく頭を軽く下げる。

ブラックローズは、考えるよりも先に行動していた。二人に向かって黒いレーザーを放つ!!

それを見たマジックブルーが、少し息を吐き、杖を振る。

すると、無数のシャボンが現れた。それやレーザーがふれたらシャボンがわれ、小さな爆発が起き、爆風が広がった。

ブラックローズはレーザーを無数に放つが、だんだんと息が荒くなる。だが、相手の二人は涼しい顔をしていた。

さすがに疲れたのかもしれない。少し息が詰まり始める。いや、違う。

すると、レーザーの何本かが、跳ね返る!!

それをもろに受けるブラックローズ。おかしく思い場所を変えようとするが、何かが当たって動けない。

「はぁ・・・はぁ・・・なん・・・で・・・?」

そして、シャボンが割れるときに出た爆風が消えていくと、見える景色にブラックローズは目を見開く。

周りには大量のシャボンがばらまかれていて、そして今ブラックローズはシャボンの中にいた。

「これが、私の技。バブルワールド。そのまま、気を失いなさい」

その言葉を最後まで聞くことなく、いきなりシャボンが割れてブラックローズは下に落ちていく。

落ちるときに周りのシャボンに触れるブラックローズ。すると。

パァン!!

パァン!!パァン!!

パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!

シャボンが無数に割れて、下に落ちるときには、体がボロボロになっていた。

それをみたマタルはダメ押しという風にブラックローズに近づき、首根っこを掴みアナザーの近くの木に投げ飛ばした!!

ぶつかった木が折れて、そしてブラックローズは完全に気を失ってしまった。

その後、手をはたき退屈そうなマタルと一緒に、マジックブルーは、ブラックローズ達のところに歩いていく。

ブラックローズは変身が解けて、赤い髪が見えている。

だが

「・・・おい。あのちっこいのはどこいった?」

アナザーの姿がなくなっていた。二人は周りを見渡し、アナザーの姿を探す。しかし、見つからない。

「けっ、仲間置いて逃げたか?・・・おい、なんだ、ブルー。そんな顔で睨むな。なんか文句でもあるか?」

「・・・いや、文句はない。けど、あの子は逃げないと思います。そんな気がする」

マタルが意味がわからないというように、頭をかき、腰に手を当てて周りをまた見渡す。右を見て左を見て、もう一度右を見ると、マタルは少し驚いた声を上げた。

そこにいたのはあの少女であろうものであった。

「ウゥウウゥウゥウゥウゥウウゥゥッッッ!!!」

一人の少女が、唸り声をあげながら、マタルの顔を狙って拳を突き出していた。

その拳をマタルはつかみ、勢いを利用して、地面に叩きつける。そのとき異変に気付く。その少女は先程の魔法少女に近い雰囲気を持った、女子高生のような少女であった。まるで、先程の魔法少女をそのまま大きくしたような。

「・・・おいおい、こいつ何してんの?」

気を失ったであろう、その少女は地を這った移動したいた。

その目的地にいたのは、赤髪の女性。

気を失ってもなお、彼女は一人を守ろうとしている。

そして、少女は赤髪の女性を守るように多い重なり、動かなくなった。まるで、使命を守るロボットのように、あかねは動き、そして杏子を守る位置に気絶しながら移動した。

「ククッ・・・こいつ、面白い奴だ!!いいな、こいつ!!今殺すのは勿体ねぇ!エレンホスには申し訳ないが、こいつらは逃げたことにしよう!!俺の話に合われろよブルー!!」

心の底から楽しいように大声で歓喜の歌を笑いながら歌い山から下りていった。

一人残されたブルーは、気を失っている二人を一瞥した後、マタルを追いかけていった。



◇◇◇




「うぐっ・・・あ、あれ?あたしは・・・?」

「よかった!!目が覚めたか!!」

天使くんが心配そうな顔から、一転して大声で喜びを表した。しきりに大丈夫かと聞いている。

太陽が沈んでいく、夕暮れ時あかねは目を覚ました。

天使くんの声をバックミュージックにしながら、記憶を手繰り寄せ、何があったか思い出そうとする・・・そして、思い出した。

「そうか、あたし、マタルとかいうやつと、蒼い魔法少女に負けたんだ・・・」

そう呟き、改めて負けたことに気づき、そして頬を伝い涙が流れ落ちる。

もしかしたら、今頃杏子が殺されてたのかもしれない。そのことに対する後悔に、あかねは涙した。誰も失いたくないからこその、後悔。

その失いたくない物の中には自分を含んでないのは、無意識のうちであったか。それとも。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《次回予告!!》

「この欲を解放するの・・・?」

「お前は、ここで何をしてるんだ?」 「なぜ服を溶かすのです!?」

「うえぇ、ネチョネチョする・・・」

《第四話 その少女は彼に夢を見せるのか?》

お楽しみに!!


お疲れ様でした。

今回あかねさんたちは初めて敗北をしました。まぁ、あかねさんが負けなかったのは運がよかったのも大きいと思い・・・

新しい幹部のマタル。彼とブラックロープの因縁とは?次回もお楽しみください

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