五話
暑い日こそ暑いものが食べたくなる
きっとそんな感情
あつい。
私の感知範囲内ではないというのに。
まぁその星に近づくにつれて進行方向の宙域が明るくなっているのは感知していたが。
感知範囲内に入った私が捕らえたその姿はまさに炎の玉だった。
赤熱した火山が惑星のいたるところに見られ、火山活動が頻繁に行われている。
惑星の周囲は噴出した火山ガスとチリが惑星の重力に引かれ回転を引き起こし。
プラズマ化を起こしながらトーラス(環)を形成している。
「***!」
うむうまい。
現在の私は惑星からかなりの距離を取っていると言うのに惑星から噴出される火山ガスとチリに揉まれてかなり熱くなっている。
私へとぶつかる岩やチリをすべて吸収しているので体に傷がつくということはない。
岩盤欲をしながら暖かいチョコを食べているような感じか。
しばし吸収を続けていたがその惑星の内部は一体どうなっているかという好奇心が首をもたげてくる。
「・・・・・」
少し私の体は持つのだろうかと考えたが、本能が行けと言っている。
ならば行くしかない。死にはしないだろう。
だってあの星を見ても私はおいしそうとしか思えないのだから。
私の体を惑星へと少しずつ落としてゆく。
体へと吹き付けるガスがより激しさを増すが、私にとってはご馳走が自身から飛んでくるようなものだ。
そうして惑星の大気圏内へと入ることができた。
落ちるかと思ったのになんでか私の体は宙に浮いたままだ。不思議パワーでもかかっているのだろうか。宇宙だもんね不思議の一つや二つあるよね。
「・・・・」
大気を構成する成分は主に硫黄だ。
惑星自身が持つ熱と火山活動によって気体となった硫黄や他の物質によって地表面は感知できないほどに大気がよどんでいる。
「・・・・・****」
不便だ。何も見えない。
見えるというのは正しい表現ではないかもしれないが感知できない。
そもそも私がどうやって周りを感知しているのか私自身がよくわかっているわけでないのだ。
・・・・ザザ・・・・ザザザ
たまに起こるノイズを私は体内に感じると同時に私の感知範囲が大幅に広がり詳細に周りを感知することができるようになった。
「・・・!」
これはすごい、どうやらX線による感知機能の一部なのだろう。やるじゃないか私の体。
赤外線や、超音波なども感知機能としては備わっているようだがどうやらここでは役には立たないようだ。
触手を多方面へ伸ばしあらゆるものを吸収してみる。
岩:暖かい、宇宙で食べたものよりかなりの温度を持っているがそれはそれでいいスパイスだ
チリ:パウダー状で中々にうまい、たまにある小さめの塊がくせになりそうだ。
溶岩:触手で触れれるのか心配だったが問題なかった。粘性のあるジュースだ。
体を地表面へと横たえしばし吸収を続ける。
不思議に思っていたが私の体には満腹といったことがないようだ。
ただお腹がすいたとも思えない。入るだけ入るし。分解や分析も今まで滞ったことはなかった。
入った物質は一体何に変換されているのだろう、私が行動するエネルギーとなっているとも思えない。何故ならかなりの時間食べていなくとも体に変調が見られないからだ。
なぜなぜと詮無きことを考えていると体に違和感を覚える。
「???」
私の感知内どうやら今まで感じた事のない物体が存在しているらしい。
横たえた体を浮かせてそちらの方向へと進めてみる。
しばらくするとその違和感が何かわかった。
その物体は火山の火口近くに静かに存在していた。
火山から噴出されるガスをえさにしているのだろう、イソギンチャクのような触手と岩石に覆われた体をもったその物体は確かに生きていた。
私が私以外の生命体と初めて遭遇した瞬間であった。
わかりやすい表現がやはり食べ物を使った表現になってしまっているのがどうにも私の語彙の少なさを物語っていますね。
彼女はチョコやらオデンはしらないはずですので。
不思議ですね。
物体Xとの遭遇へ。