二話
きっと彼女は思考した結果
不思議な結論に行き着くのだろう
私が自我を持ったのは大よそ偶然なのだろう。
こんな宇宙のど真ん中で右も左も上も下もわからない漆黒の真っ只中ではどうやって私が発生したのか知る余地もない。
きっと凄い偶然と偶然と偶然が重なって大きな爆発が起こってこういう結果が起こったのだ。
起こってしまったのだ。
「***・・・・」
ああすみません当然発声器官などありませんし、言語など持ち合わせておりません。
まぁ軽く私の現在の外見を説明しておこうと思う。
不思議成分100%で作られたマルイ黒い玉
それが<私>だ
なんて簡潔で素晴らしい説明なのだ。
説明とはかくあるべきであると私は思考する。
ただ疑問にも思う、私は私が思考するために必要である<情報>を持っていない。
にも関わらず私は思考している。こうして宇宙を漂いながらなだらかに。
ここで言う情報とは所謂<言葉>だ。
赤ん坊が思考できないのは情報が与えられていないからだ
思考することによって発明につながり、発達に進行していくのだ。
考えても詮無きことなのだ。
我思う故に我在り。
ここが誰かが用意した偽りの世界で私に何らかの知識を与えて発生させたのだとしても
今それを確かめることなどできないし、私が私であるという意識は疑いようのない自我として存在しているのだ。ならばそれ以上に思考することに意味はない。
ご都合主義だろうがなんだろうが私は発生したのだ。ならば生命体として生きねばならぬ。
それは生命体としての意義だ。死ぬために生まれる生命体はいない。
だから私は生きよう。生命体として生まれ何かを成して死ぬべきなのだ。
著者は人類の最大の発明は火であり第二に言葉だと思います。