十二話
方針の決定と旅立ち
私達を拡散していく上で重要となるのが情報の共有だ。
今私がどこで活動し、何と接触、捕食し、獲得したのか。
私がどれほど多くの分体を宇宙へ探索させようが、分かることは極めて限定的だ。
すなわち私には捕食活動を通して、もしくは私の感知範囲内でのみの情報しか情報の獲得手段を有していない。
これは致命的だ。
いくら私間での情報が瞬時に共有されようが、その情報を得る速度が遅ければ結局は意味がないのだ。
宇宙を制するのに速度は重要だ。
探索速度の上昇に関する情報の搜索を現在の最重要事項とする。
(了解した。マザーよ。)
そして次に個体識別を行うべきだと思われる。
確かに私達は私であるが。
個々に自我を持っている生命体である。
私が生み出した子というべき存在である。
母は子に対して名を付けるものだ。
我がドウタよ。
(どうしたマザーよ。)
私から生まれた第一郡のドウタ達よ。
貴方にエルゴーの名を与える。
(頂戴したマザーよ。)
これから生まれる全ての子はエルゴー・**と名乗ることとする。
また名を持つことの意味は重要だ。
それは私以外の自我を持つ生命体と接触した場合に個体識別ができなければ不便であるからだ。
そろそろ行こう。
さようなら子供達よ。
(さようならマザーよ。)
とは言っても私たちはどこまでも繋がった存在である。
形式というものだ。
最後にもう一度確認をしておこう。
第一目標:情報獲得速度の上昇
第二目標:接触した存在との交流、捕食
第三目標:自身の機能の拡張
最後は未だよく分かっていない私の体の機能があわよくば分かれば幸運だなといった程度の認識ではあるが。
では行け私たちよ。
(ではな。)
私から黒い球体がどんどん放出されてゆく。
私はこれから獲得するであろう情報を、夢見ながら瞬く間に全方位へ進んでゆく我が子らをを眺めていたのだった。
前から何か物語が進んだのだろうか。
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あれ・・・おかしいなおっそいわこれ
次回から他視点描写が入ります。
同じ彼女なので他視点かと言われると微妙なのですが。