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第1話【第2部:王宮に浮かぶ、血塗られた貸借対照表】その聖剣、実質破綻につき差し押さえさせていただきます

一転して、腐敗したカビ臭さと豪華な金飾りが混ざり合う、王国・サンセリフの謁見の間。

「国王陛下! 魔王軍に対抗するには、我が騎士団の聖剣をさらに強化せねばなりません。至急、1億ゴールドの追加予算を!」

金ピカの鎧を鳴らし、ふんぞり返って声を荒らげるのは騎士団長レオポルドだ。

「しかしレオポルドよ、先月も1億出したばかりではないか。国民は重税にあえぎ、もはや蔵は空だぞ……」

「何を弱気な! 聖剣の輝きが鈍れば、この国は明日にも滅びるのですぞ! 早くサインを!」

困り果てる国王と、それを脅すように剣の柄を叩くレオポルド。その醜悪な「せびり」の最中に、黒いコートを翻したタクが、ルミエを引き連れて堂々と割って入った。

「誰だ貴様は! 儀式の最中だぞ。衛兵、この不審者を地下牢へ――」

「控えなさい!」

ルミエが叫び、懐からまばゆい光を放つ巻物――『天界広域監査執行権・認可状』をバサリと広げた。その瞬間、王宮内の空気が物理的な重圧へと変貌し、レオポルドや衛兵たちの動きを封じる。

「これは女神ゼノ様の神威が込められた公文書です! この国を救う条件として、本日より全予算、全資産の決定権はこの佐藤様に移譲されました! 抗う者は『神への反逆』とみなされますよ!」

「な、なんだ……体が動かん!?」

認可状から放たれる圧倒的な権威に、国王は震え、レオポルドも膝をつく。これこそが、天界がこの国と結んだ「救済の契約」の証だった。

タクは冷徹な手つきで電卓を叩き始めた。液晶には見慣れた数字ではなく、この世界の『事象』を演算する独自のOSが走っている。

(……なるほど。女神は言っていたな。『世界は神が管理する巨大な帳簿に過ぎない』と。この電卓は、その帳簿を直接操作するための管理端末か。ブラインドタッチで行けるな)

タクの指が残像を描いて動き、電卓が「ピピッ」と無機質な音を鳴らす。

「……これより実地監査を開始する。まずは、今あなたがねだった資産の『評価』からだ」

タクの入力に呼応し、王宮の空中に緻密な青いグリッドが展開された。レオポルドの頭上に浮かび上がったのは、異世界の住人が見たこともない、完璧な形式のホログラム**『貸借対照表バランスシート』**だった。

> 【王国騎士団:試算表(暫定)】

> 【資産(Assets)】

> 聖剣エクスカリバー(模造品): 300 G (※スクラップ価値)

> 隠し金庫(横領分): 12,000,000 G

>【負債・純資産(Liabilities / Equity)】

> 国庫からの借入金: 85,000,000 G

> 未払給与(下っ端騎士分): 2,000,000 G

> 国防費支出(魔王軍対策): 500,000,000 G(※使途不明・異常膨張)

> 架空経費・接待費(累積): 70,000,000 G

> 【判定:実質破綻デフォルト

>

「なっ……なんだ、このおぞましい表は!? なぜ私が隠している金庫の額まで……!」

「これが君の正体だ、騎士団長」

タクは感情の失せた声で告げた。

「その聖剣は、鑑定するまでもなく価値ゼロの**『粉飾資産』**だ。……こんなデタラメな帳簿、プロとして見過ごせないな」

「貴様ぁぁ! 殺してやる!」

神の束縛を怒りで強引に振り払い、レオポルドが光る偽物の聖剣を振り下ろす。

「佐藤様! 逃げてぇぇぇ!! 死んだら即リサイクル資産ですよぉぉ!!」

ルミエの悲鳴が、謁見の間に響き渡った。

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