きょうはねこちゃんのカゴ屋さん

　濃州関丸先生のくださったお題です。

　ありがとうございました。

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　たまには自転車でお出かけしようと

　さいきん停(と)めっぱなしだった愛車にむかえば

　サドルのうしろの荷台に香箱座りで

　近所でたまに見るねこちゃんが

　おにいさん ちょいとそこまで

　乗せてってくんな

　そんなふうにして目を細めるねこちゃんに

　乗車拒否なんてつれないまねはできないからと

　少し寒いかもとは思いながら

　上着をハンドルまえのカゴの底に敷(し)いてやる

　いくらなんでも

　サドルうしろの荷台に乗ってじゃ危ないし

　カゴの底にじかじゃあ痛そうだからと

　せめてもの気配り

　猫ちゃんんの両脇に手をやってもちあげて

　座席を移動ねがった

　サドルうしろの荷台よりましとはいえ

　突然 カゴから飛び降りようとでもされたら

　やっぱり安全じゃないからなぁ

　自転車にまたがって漕(こ)ぐのはあきらめて

　車体の左でハンドルをにぎりながら

　車輪をころがすように曳(ひ)いて歩くことにする

　移動手段に自転車を選んだ時点で

　べつにいそぐ用事があるわけでもないし

　きょうはねこちゃんのカゴ屋さんを

　つとめるってのも悪くない

　だからといって

　そういつもこうはいかないぞって

　たしなめるように軽くにらんでやるぼくに

　ねこちゃんは にゃあと鳴き声もあげずに

　かといってあくびというふうでもなく

　おおきくおくちをあけてみせた

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　私は自転車に乗らないので、実話ではありません。