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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様と英雄譚の裏側

―――その後、この事件で私が語ることはそう多くはない。



哀れな男を看取った私が見たのは、二人の勇者が黒の水竜を倒した瞬間。


そして、細菌に侵された者達を癒す二人の聖女と、彼女達を崇拝するような目で見る人々。


そして、ウチの騎士団がしっちゃかめっちゃか大暴れした後のボロボロになった王都だった。



幸い人的被害は少なく、ひょっこり異空間から戻った王を発見・捕獲して、一旦の終息宣言を出させた。



人々は事件解決の立役者である二人の若き騎士を褒め讃え、病魔に侵された人々を守った二人の幼き聖女に感謝する。


正に英雄譚、新たな伝説といった有様だ。



それでハッピーエンドで終わってくれたなら面倒がなくて良いのだが、残念ながら私の仕事はここからだ。


当然、怒涛の会議が待っている。


後はよしなに取り計らえとか言って丸投げしたいのだが、残念ながらこの国の予算管理責任者は私だ。


後、この国の流通網を握っているのも私。


何なら王都で戦闘を行ったのは私と私の子ども達、そして私の子飼いの戦闘部隊だ。


どう考えても私がいないと話が進まない。




まぁ事実関係のストーリーが明確なのがありがたい。


敵は魔族の残党。


そしてそれを倒す為に立ち上がった若き二人の勇者と二人の幼き聖女。


全員が公爵家(ウチ)の身内というのは今後のパワーバランス的にどうかと思うが、これは事実なので仕方ない。



彼等を中心によくある英雄譚を仕立て上げ、

大々的に流布する事が正式に決まった。


事実を多少調整するだけなので簡単だしな。


さっさと大本営発表をして事態の終息を図りたいのが我々首脳陣の本音だ。



原作ゲーム―――B・B(ブレイブ・ブレイド)の方の進行度だと、

中盤くらいだろうか?


勇者の存在が世間の目に触れ、これから本格的にオディマ達との始まる、みたいな感じだ。




「―――いやいやいや。もうホントお腹いっぱいなんですけど? 」



王都にある公爵家の屋敷。


その執務室でボヤく。

デスクの上は決済待ちの書類で山積み。


いや、決済待ちとか言って見栄を張った。

本当は請求書の山だ。


ウチの騎士団が王都内で好き勝手戦闘をやらかした後処理である。



「……これはあれだな。 お前が昔言っていた

保険業務とやらを開始する必要があるな。」


「うるさいぞ、役立たずキング。

お前が役立たずなせいでウチの息子と娘が英雄になってしまったじゃないか……。」


「それは申し開きもないが……。

オラだって大変……、違う。俺も大変だったんだ。真っ白な異空間に閉じ込められて洗脳された臣下達と延々と戦わされていたんだぞ?」


「うわっ。地味……。」


「地味とか言うな。リロイ来ねがったっきゃ

下手すれば死んでいた所だ。」


「……方言抜けてないぞ。 東北訛りは本気で何を言ってるか分からないからやめてくれ。」


リロイの方言は伝染るからな……。


「しかし、中々激戦だったようだな?

カール。」


身体中のいたる所に傷を作ったカーライル王が私の指摘に微妙な顔をする。


「何で俺がお前達公爵家騎士団の訓練に付き合わなきゃならんのだ。 余は王だぞ?」


「お前が創世の間の修理見積もりをウチに回して来たからだ。」



そう。この馬鹿キングは何を思ったのか、創世の間の修理費用をウチに捻出させようとして来たのだ。


当然、そんな馬鹿な目論見は早々に見破られ、

ウチのカミさんに呼び出しを食らい、騎士団の連中相手に無限組手をさせられていたという訳である。



「ふん。まぁいいさ。前から気になっていた

獅子と虎と手合わせ出来たしな。」


「感想は?」


「現時点では王国が担ぎ上げる英雄としては、

単独だと赤点ギリギリ。コンビなら及第点って感じだな。まぁ、年齢を加味するなら、養子に欲しいレベルだけどな。」


私と似たような感想だな。


あの二人は単独でも強いが、上の下くらいの

実力だ。確かに英雄クラスではあるが、まだまだ甘い所が多い。


しかし、まだ15歳なのだ。


どう考えても世代最強なのは間違いないし、

何なら私が15歳の時より強いかもしれない。



「あの二人はまぁ今の方針で良いだろう。

英雄なんて面倒な役割だが、幸い私も英雄なら昔ちょっと齧った事があるからな。アドバイスやフォロー位はできる。」


「大英雄がよく言うぜ……。

聖女サマ二人はどうするんだ? ある意味勇者より厄介なんだが……。」



そうなんだよなぁ。


英雄なんて掃いて捨てるほどいるし、勇者もまぁ良い。なんせアラン君はマジモンの勇者だ。


しかし、聖女はややこしい。


教会の認定があるので勝手に聖女を名乗ると

面倒くさい事になるし、今後の展開的にもややこしい事になる。



何故なら原作ゲームでは、ちゃんと聖女という役割が存在するのだ。


金髪ロングのグラマーな女の子。

キャラビルド的には防御と回復の支援系。

おっとりとした可愛い女の子だったはずだ。


実にオーソドックスな聖女様である。


間違っても服飾バカ一代でも、可愛い服が欲しいと言って他領地から300名の職人を引き抜いて村をつくらせるワガママ娘でもない。


あー、でもあのファッションモンスターは原作だと聖女ポジションとか言ってたな……。


光属性だし、辻褄は合うのか?


ジュリアの方はエルフの秘伝によるドーピングなので駄目だろうが……。



「王様パワーでなかった事にしてくれ。」


「無理だな。単純な人気だけなら双聖女の方が人気が高い。見目が良すぎるんだよな……。」


まぁそれは否定出来ない。

しかも、病気で弱ってる時に助けてくれたというシチュエーションもあるだろうな。


戦ってくれた野郎よりも、守ってくれた美少女にコロッとなるのは分かる。



最初に二人を聖女とか言い出したのはネビロスだったらしいが、ここまで読んだ上での発言だとしたら驚異的だな。


扱いをミスったら後々まで続く不和の種になるだろう。



「ウィリアムなんかジュリアの親衛隊を作るとか何とか言ってたぞ?」


「ぶん殴ってでも止めろよ!? 」


常識的に考えて、熱狂的なアイドルファンみたいな王太子とか国の恥過ぎるだろう……。



「ウィリアムの事はさて置き、教会に配慮して公式発表では聖女の名称は使わない方針で行くか。」


「そうだな……。それしないだろう。


―――さて、話は終わったな? これから約束があってな。私はそろそろ出掛けるぞ。」



チラリと部屋の隅に置いたバスケットを見る。

中身はアップルパイと紅茶の茶葉。


その横には剣が立て掛けられている。



「律儀なヤツめ。 お前が態々行く必要なんかないだろうに……。」


「死者との約束は破れんさ。」



戦友の訃報を家族に告げる。


これだけはどれだけやっても慣れないな……。


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