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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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その頃の白炎の勇者 アランの後悔

「―――ばぁか、10年早ぇ。」



ゴンっと俺の頭に衝撃が走る。


いってぇ!


思わず頭を抱えて蹲る。



「ったく、白炎の虎とか言われてるからどんな奴かと思ったら青くせぇガキじゃねぇか……。

おい、白猫小僧。とりあえず赤眼やめろ。

次は本気でぶん殴るぞ。」


涙目で後ろを見ると、オレンジの派手な髪を逆立てた粗野な男がオレを見下ろしていた。


F隊(フォックストロット)のトニー・エイブラム隊長だろう。


つい言われるがまま、赤眼をやめる。



「ふん。魔力操作自体は悪くねぇな。

……赤眼覚えるのに何日かかった?」


「えっと、あんまり覚えてないですけど、半日かからなかったんじゃないかと……。」


「ゴリゴリの感覚派だな。言いたかねぇが天才レベルの……。なるほどな。」



す、すげぇ。本物のトニー隊長だ……。

オレ、トニー隊長と話してるよ!


最強の炎使い。オレの憧れの1人だ。


思わぬ出会いにオレはさっきまでの反抗心をすっかり忘れてしまった。


チラリと赤熱したトニー隊長の拳が見える。

あれで殴られたのか。痛い訳だ……。



「白猫小僧。テメェ戦いたいって言ったな。

―――お前、命を賭けれるか?」


「賭けれます。」


「ハッ!口じゃあ何とも言えるわな?」


「レオナルドと常闇の森で1ヶ月生き延びた時も、御館様に逆らって戦いを挑んだ時も、いつだって命を賭けてました。」


「……はぁ!? 御館様に挑んだのか!?

バッカじゃねぇの?」


目を剥いて驚くトニー隊長。

思えばあの時ほど死を覚悟した時はないかもしれない……。


「赤眼武神でしたっけ? あれマジでヤバいッスよね……。」


「お、おう。お前、思った以上にヤベぇな。」



オレの言葉を信じてくれたのか、それとも呆れたのかは分からないが、トニー隊長は頭をガシガシと掻いてため息をつく。



「―――奥様。コイツを使いましょう。

この馬鹿を起点にすりゃあ問題は概ね解決すると思います。」


……問題?



「……光と炎の二重属性で聖剣持ちの剣士、

確かに彼が作戦に参加してくれるならやれるかも知れません。」


ゲラルド団長が、あれは笑っているのだろう。怖い顔を歪ませて頷く。



「しかし、それはあまりにも―――。」


何やら悩む奥様。

よく分からないが、これはチャンスだ。



「やらせて下さい。お願いします!」


オレは必死に頭を下げる。


このチャンスを逃すと絶対に戦わせて貰えない。口では全員倒すなんてさっきは言ったが、実際は勝負にすらならないだろう。



「……覚悟はあるのですね?」


「あります!」


永遠にすら感じる一瞬の間をあけて奥様が

ため息をつく。



「仕方ありません。貴方に任せます。」


「あ、ありがとうございます!」


望外の結果に勢いよく頭を下げるオレ。


……ところでオレは何をするのだろう?



「アラン君、家名はありますか?」


「家名? い、いえ。オレは戦災孤児なので。」



先程までの殺伐とした雰囲気は消え去り、以前会った時のような優しい雰囲気で奥様がオレに尋ねて来る。


なんで家名?



「ならば略式も略式ですが、私が与えます。

平民のままでは今後色々とややこしくなりますからね。」


ややこしくなる? 何がだろう?



「一番槍……は剣士の貴方には変よね。

炎? 光? んー、前線に立ってもらうのだし、

分かり易いほうが良いわよね。……よし。


―――サー・アラン・フロントライン。


今後はそう名乗りなさい。」



え? フロントライン(最前線)

ど、どういうこと?


奥様が直々に取り上げられていたオレの剣、

聖剣ブレイブ・ブレイドを手渡してくれる。


その顔にはさっきまでとは違い慈愛すら感じる微笑みを浮かべている。



「良かったなぁ、これでお前も公爵家の騎士って訳だ。しかも奥様から直々になんて滅多にないんだぜ?」


意味ありげに笑うトニー隊長。



「と、トニー隊長? オレ、どうなるんです?」


よく聞けよ? と好戦的に笑うトニー隊長。


「御館様達が創世の間ってホールに閉じ込められた。あそこのデカい施設だ。」


そう言ってトニー隊長はずんぐりむっくりした円形のホールを指さす。



「あそこを守る結界を破りたいんだが、闇属性のややこしい結界でな。 今の俺達の装備だとホールごとぶっ壊すしか出来ねぇ……。


あそこにゃ王様を始めVIPがわんさかいるから、どうしたもんかと悩んでたんだよ。」


確かにそれは不味いだろう。

頭の悪いオレにも理解出来るレベルだ。


「そこでお前の出番だ。サー・アラン。

同調魔法アライメント・マジックってのは知ってるか?

複数の魔法を混合する儀式魔法なんだが、その起点にお前を使う。」


段々難しくなって来たぞ……。

頭が理解を放棄して来るのが分かる。


「あー、つ、つまり?」


「……さてはテメェ馬鹿だな? いや、見たまんまか……。」


呆れるトニー隊長。

馬鹿ですみません……。



「簡単に言えば、俺の『爆炎纏う九尾の狐ナイン・バースト・フォックス』をぶち当ててお前の力にするって感じだな。

お前は光と炎属性。俺の魔法を上手く取り込めればお前ならあの結界だけをぶった斬れる。」



…………え?

何をぶち当てるって……? え、誰に……?



「最悪、失敗して上手く同調出来なくてもお前が死ぬだけだ。結界は吹っ飛ばせる。

後のことは気にせず突っ込んで来い。」



あ、ヤバい。これマジだ……。


マジでこの人、俺に超位魔法をぶち込む気だ。



狼狽えるオレに奥様が優しげに微笑む。

何だろう。その優しげな顔が怖い……。


「サー・アラン。準貴族の騎士伯とは言え貴方も貴族の末席。国の為、死力を尽くしなさい。

今後は我が騎士団の最前線(フロントライン)は全て貴方に任せましょう。」


有無を言わせぬ奥様のお言葉。


えっと、展開が早過ぎてついて行けません。

確かに戦わせてくれとは言いましたが、何でオレが常に最前線に行かされるんですか?



「アラン君と言ったな。いやぁ助かったよ。

実はさっきまで奥様がかなり焦れていてね。

あのままだと本当にホールに超位魔法を叩き込む所だったんだ……。」


「もう我々では奥様を止めれなくてな……。

アラン君が来てくれてホント助かった。

じゃあ後は頼んだぞ!」


申し訳そうな、でも肩の荷が降りたような顔をする団長とゴーウェンさん。


いや、なんか軽くないですか!?

オレ、今から超位魔法を叩き込まれるんですよね!?



「貴方は良い背筋をしてるから大丈夫よ!

これからよろしくね♡」


「最前線……。実に羨ましい話だ。

安心しろ、骨は拾ってやる。後、生き残ったら拙者と死合え。お前は中々面白そうだ。」


レディ・マキシマムとヴァーリ隊長の実に暖かいお言葉。


このノリに着いていけないのは、オレの頭が悪いからではないはずだ……。



「遅かれ早かれ、あの結界をぶち破る必要はあるんだ。お前が上手くやりゃあ問題ねぇし、失敗してもマヌケの死体が一つ増えるだけ。


―――死ぬ覚悟はあるんだろ? 白猫小僧。

根性見せて来い。 」



「結界破壊にF隊(フォックストロット)の『爆炎纏う九尾の狐ナイン・バースト・フォックス』にJ隊(ジュリエット)の超位殲滅魔法『戦乙女の爆撃槍ヴァルキリー・ジャベリン』を合わせるつもりでしたが、サー・アラン。

私を前にあそこまで吠えたのです。

―――やり遂げなさい。」



ニヤリと好戦的な笑みを浮かべるトニー隊長と奥様。



「え、あ、は、はい……。」



「よぉし。理解出来たらこっち来い。

お前に超位魔法をぶち込むJ隊(ジュリエット)のエレノアを紹介してやる。


その後は同調魔法アライメント・マジックの再調整やらなんやらお前には色々やってもらう事がある。


時間が押してんだ。早くしろ!」



レオ……。

生きてお前に会えるかな……?

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