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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様と生物兵器

「ちょ、ちょっ、何これ!? アンタいきなり何を―――!? って、これ魔族……?

うぷっ。……ご、ごめん。駄目! 私グロ耐性ないから無理!」


「お、お父様……! 一体何が……、うっ!?

す、すいません……。」


戦闘音を聞き付け、駆け寄った来たシャル君とジュリアが凄惨な現場から目を逸らして口元を抑える。


突然の私の蛮行に会場が騒がしくなる。



うん。ちょっとやり過ぎた……。


私のオリジナル魔法『黒の弾丸』の派生魔法、

回転銃身砲(ガトリング)タイプの『黒の弾雨』だ。


弾速の速さと弾丸の大きさによる威力がウリの対軍団用魔法なのだが、思ったより相手の防御力が低かったな……。


ステージの上が大惨事になっている。

臭いもキツいし、見た目もグロでゴアな18歳未満お断りな感じだ。




「気にしなくていい。それがまともな反応だ。

あー、2人とも駄目そうだな……。

すまないがユーリア君。2人をお手洗いに連れて行ってやってくれないか?

ステージの処理は警備兵に任せよう。」


「―――御館様。申し訳ございません。

私もちょっと駄目です。レオナルド様、お手を煩わせてしまうのですが、背中をさすって頂けませんか?」


何やら手を頬に当てたユーリア君がレオナルドにしなだれ掛かっている。



いや、絶対嘘だろ。


君はグロちょげな死体100体程度でどうこうなるタマじゃないだろう?


春先に実家でクーデター起こした時の様子は聞いているんだからな?


特にユーリア君のお姉さんにした事は拷問どころの騒ぎじゃない。


いくら真祖ではないとはいえ、吸血鬼が寝たきりになるレベルの暴力とか私には想像すら出来なかった。



「ゆ、ユーリア! だ、大丈夫か!?」


「も、申し訳ございません。 レオナルド様。

ハァハァ、この様な醜態をさらしてし、うっ!

ゴホッ! ゴホッ! 」


何やらハァハァと息を荒らげるユーリア君。



君さぁ? あんまり公衆の面前で猥褻な……。


―――ん? 咳?



チラリと2人の方を見ると、顔を真っ青にしたユーリア君が倒れ込んでいた。



「ど、どうした!? ユーリア―――凄い熱じゃないかっ!?」


驚くレオナルド。

熱だと……!?



辺りを見渡すと、周りの貴族連中も大なり小なり程度の差はあるが、全員が気分が悪そうにうずくまっている。


警備兵は―――駄目かっ!?


会場の要所に立っている警備兵も同じようにうずくまっていた。



これは……生物兵器!?



現世で言うところの細菌やウイルスをばら撒く大量破壊兵器の事だ。


サバイバルホラーでよく出てくる感染したらゾンビになる例のあれなんかが分かりやすい。



ちなみに化学由来の毒物が化学兵器、自然由来の毒物を用いる場合は生物兵器になる。


生物兵器は核兵器などに比べて簡単に入手が出来るし、ある程度の知識があれば培養も容易な安価な兵器。


テロリスト御用達の醜悪な兵器だ。



世界が変わっても人の営みは変わらない。

当然、この世界でも生物兵器は存在している。


なるほどね……。

ネビロスのあの不敵な笑みの理由はこれか。


あいつの目的は生物兵器発動までの時間稼ぎだったと言う訳か……。



「お父様……、こ、これって……。」


不安そうな顔のジュリアが話しかけて来た。


実際、本当に不安なのだろう。

ギュッと私の袖を握って来る。


努めて冷静に、私の袖を掴むジュリアの手を優しく包み笑いかける。



「安心しなさい。この程度の事、大戦の時は日常茶飯事だった。 ピンチの内にも入らんさ。」


「―――え、こんな大惨事が日常茶飯事って

お父様、どんな生活していたの?」


うん。ジュリア、本気でドン引きした顔はやめてくれないかな?


「……アナタ(公爵様)の荒んだ生活は兎も角として、気になるのは何で私達は平気なのかって事よ。

見て。皆うなされているけど、明らかに症状に差が出ているわ。」



確かにシャル君の言う通りだ。


会場にいる全員が辛そうにしているが、比較的軽症の者もいる。


完全に影響がないのは私、レオナルド、ジュリア、シャル君の4人だけだ。



「……もしかして、服じゃないかしら?

服と言うより素材ね。 私達の服には魔力をふんだんに使ったエルフ素材が使われているわ。

逆に重症化している人達の服は普通の生地が使われている。ファンタジー素材の割合が多ければ多い程、症状が軽いんじゃないかしら?」


ステージの方からは視線を逸らし、会場を見渡しながらシャル君が話す。



……有り得るな。


見た所、重症化しているのは普通の鎧を着た警備兵達やあまり爵位の高くない者達ばかり。


高そうなドレスを着ている高位貴族達は軽症な者がチラホラいる。


そうなるとこの生物兵器の菌は、前世であった様な炭疽菌やエボラウイルスではなく魔法生物の類という事になる。



「怪しいのは魔力喰い系の細菌やウイルスか。

魔喰菌辺りかな? 何にせよ魔力による防御結界で症状の改善が見込めるはずだ。」



原理的には、いつぞやカーミラ女史が嵌められていた首輪と同じだ。


体内の魔力が吸われて体調が悪くなり、風邪に近い症状を発症する。


但し、その効果は我々人間族(ヒューマン)にも効果があるレベルのえげつないヤツだ。


このまま放置しておくと当然死に至る。


確かにその手の細菌なら血統的には魔族であるユーリア君にも普通に効く。


むしろ生物として魔力への依存度が高いから他人種の方が効くだろう。



対策として、障壁を張れば魔法生物を遮断出来るからこれ以上の悪化は防げるはずだ。


理想を言えば、体内から体表に向けて障壁を展開すると魔法生物を追い出せるのだが、流石に体調が悪い中そんな細かな魔力操作をさせるのは無茶だろう。


幸い、魔喰菌の増殖率や感染力自体は大したことはないので、これ以上の感染を防げば放っておけば勝手に治る。


取り敢えず、手分けをして重症者から個別に体表に障壁を張るしかない。



「流石、公爵様! 詳しいわね?」


ざっと3人に私の予測を説明すると、感心したような顔でシャル君が驚く。



「当然だ。大戦時にこの手の兵器を発案したのは私だからな。」


「前言撤回。アンタ何やってんのよ……。

知識チートするにしてもちょっとは周りの影響考えなさいよ……。」


正直に言ったら眉をひそめ小声で批難された。


し、仕方ないだろ!?

この世界は種族差が酷いから基本的に人間より

他種族の方が強いんだよ!


赤眼とかの特殊技能なしで普通に戦うと逆立ちしたって人間は他種族には敵わない。


私やウチの騎士団連中が一撃必殺の高火力技ばかりなのも、まともに戦うと勝てないからだ。


一撃で確殺しなければ基本的に次の瞬間に殺られるのはこちらである。



「―――しかし、私達だけでこの人数を救う

結界を張るのも難しい。 ……頭数がいるな。

ウィンドブルム伯爵! 起きているな!?」


「―――は、はいぃっ!」



少し離れた所からウィンドブルム伯爵が起立して返事をする。


見た所、少し顔が青くはなっているが体調に大きな問題はなさそうだ。


やはりな……。


奴の服はエルフ達から搾取した魔力素材製。

今の状況でも比較的普通に動けるはずだ。



「テロリストの生物兵器だ! 魔喰菌の症状と酷似している! 重症者から順に障壁を張れ!

そうすればこれ以上の重症化は避けれるはずだ!」


お前も北部貴族なんだからそれくらい出来るだろうと言う想いを込めて指示を出す。



「ガッハッハッ! おいおい、公爵閣下!

俺達南部も忘れて貰っちゃあ ゲホッ!ゲホッ!

クソ! 咳がウザイな……!」


南部貴族の筆頭ヴァスコーニ侯爵が咳き込みながら名乗りを上げる。


「締まりませんね? うっ。ごほっ。ごほっ。

簡単な障壁程度なら私達でも張れます。任せて頂きましょう。」


「不謹慎だが、今日は良い日だ。貴殿と一緒に戦うという積年の願いが叶ってしまった。」


不敵に笑いながらグレカーレ侯爵とマークの2人が立ち上がる。


これは嬉しい誤算だ。


やはり上級貴族達は高級な魔力素材を使った服を着ているお陰で軽症者が多い様だ。


これで何とかなりそうな―――。



「……ねぇ。ちょっと良い?」


服の裾をちょいちょいと引っ張りシャル君が小声で話しかけて来た。


「何か気付いたのか?」


「ええ。今気付いたんだけどさ、今の状況ってゲームと全く展開は違うんだけど、少し似てる所があるのよ。」


ゲームと……?

確か、聞いていたのは指揮者なる魔族が王族を拉致するってやつだよな?


「……イベントの導入部分よ。

夜会の初め、王の演説があるでしょ?」


「ああ、毎年の恒例だ。」


嫌な予感がする……。



「ゲームだと演説の時間になっても王が来ない事からイベントが始まるわ。」



マジか……。


現在の時刻は19時30分。

王の演説予定時刻は大きく過ぎていた……。

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