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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様と王子

創世の間。


主に我々貴族達の社交や国の行事等で使われる王城の一角にある多目的ホールだ。


数百メートルは優にある大きなホールには、様々な料理の置かれたテーブルがいくつも並べられ、飲み物を乗せたトレイを持つ給仕が行き交っている。


既に会場入りした者達は各々グループに分かれ

会話を楽しんでいた。


もう少ししたら王の乾杯の挨拶だ。



1段高くなったステージでは交響楽団がBGMを流している。


確か今回は普通の楽団を使わず、傷痍騎士達による演奏会を行っている。


戦災復興のチャリティーとかだったはずだが、中々どうして本格的なオーケストラの様だ。


ホールに入るとジュリアはすぐに見つかった。




「ですから、ちゃんとタイツを履いております。ほら。見てください。」


「ちょっ!? 何をしているんだ! 見えてるっ! 足が透けて見えてるっ! こっちに来てっ!」



ジュリアが右足を軽く上げると、スカートのスリットから黒いタイツ包まれた足が見えた。


慌てて金髪の男の子が小声で叫びながら慌てて駆け寄る。


あぁ、なるほど。

大きな声を出すと周りの視線を集めてしまうから小声で叫んでるのか。


多分あれだ。ジュリアの足に視線が集まらない様にする気遣いだろうな。


ジュリアの手を引っ張って人の少ない所へ移動している。



あの金髪の子は……マジか。


ウィリアム王子だ。


私の甥っ子、つまりカーライル王の息子。

そしてこの国の王太子でもある。


ヴァリエント家の特徴である金髪と緑眼。

均整の取れたプロポーション。


正に絵に書いた様な王子様がいた。



「あれってウィリアム王子よね? 何か印象違うくない? ゲームだとあの子って最初はもっと周りに無関心な感じって言うかさ。無気力な感じだったと思うんだけど……。」


「あー、だなぁ。私も彼があんな風に声を張る所なんて見た事がない。」



シャル君の言う通り、ウィリアム王子は典型的な良い子ちゃんだ。


前にベスも言っていたが、王家や国の為に自分を殺しているタイプなので、あんな風に大きな声を出したり、ましてやジュリアに声を掛ける事もしないような子だったはずだ。



「少し分かる気がする……。」


ボソリとレオナルドが呟く。


え?分かるの?



「あぁ、いや。ああなった原因までは分かりませんけど、跡継ぎとして立派であろうと思えば思うほど心が固くなると言いますか……。

自分の考えや感情に蓋をして、自分はこうあるべきだと思い込むのは分かるなと……。」



正に少し前までのウィリアム君の状態だな。


「しかし、今の王子はその蓋が取れている様に見える。理由はなんだと思う?」



「―――多分、その蓋が壊れるくらいにジュリアが着ているドレスが衝撃的だったのでは?」


悩みながらレオナルドが思い付きを口にする。



……んー、あれ?


待て。待って欲しい。


レオナルドの思い付きが正しいとすれば、だ。


ウィリアム王子はもしかして重度の―――。



「そうか! 王子は重度の脚フェチ!」



……シャル君。声に出すんじゃない。

周りに聞こえるだろう。


「そうよ。確かあの王子ってちょいちょい脚に反応する描写があったわ! 水着回の時も胸より脚に反応していたはず! 確かにやれる……!

ジュリアの美脚ならあの無気力王太子の脳を揺らせるはずよ!」


うん。大声で王太子の性癖を暴露するのはやめてあげてくれる?



後、脳を揺らすとか言う奴って大概が拗らせた芸術家だからね?


いや、君は拗らせた芸術家だったわ。


歌声で人を操る犯罪者の歌姫だとか、異星人が住んでる時間と空間がねじ曲がったホラーな幽霊屋敷のオーナーとかと同種の人間だったわ。



まあシャル君がデザインする服は、この世界の人間からするとパンチの効いたデザインだからそう言う人も出てくるだろう。



……いや、これどうしたらいいんだ?



「か、肩や背中も出ているじゃないか!?

淑女としてそんなはしたない格好はすぐにやめるべきだ! ほら! これを着て!」



言い争っている2人に動きが出た。


ジュリアの肩や背中の布地が透ける素材で出来ている事に気付いた王子が自分の上着を脱いでジュリアに渡そうとしていた。



「え……、いや、キモ……。

ジュリアが困ってるじゃない……。」


それを見てドン引きした顔で呟くシャル君。


確かに差し出されたジャケットにジュリアも

困った顔をしている。


シャル君? 自国の王子だからね?

キモとか言わない。



「そ、そんなに駄目か? 女性の肌を隠す為に服を渡すのは紳士的だとは思うのだが……?」


シャル君の反応を見て少し困惑した顔で尋ねるレオナルド。


「状況の問題です。 女性が望まずに肌が見えてしまっている状況で服を渡せば紳士ですが、

今の状況では単なる勘違いクソ野郎です。」


「な、なるほど。」


何やらレオナルドは安堵した顔をしている。


あぁ、そう言えば私にズタボロにされたユーリア君に服を渡していたな。


まあユーリア君ならどんな状況でもレオナルドから服を渡されたら喜んで家に持って帰りそうな信頼感があるから大丈夫だろう。



「ジュリア! 僕は君の為を思って―――!」


「不要です。 これは私の大切な人達が私の為に作ってくれたドレスです。 貴方の勝手な思い込みで否定されたくありません。」


凛とした顔でジュリアはウィリアム王子を否定する。


「し、しかし……!」


尚も食い下がるウィリアム王子。


……なんだろう?

彼のこの必死さは性癖だけではなさそうな気がそこはかとなくするな……。



「もうこれ以上、貴方とお話する事はありません。ごめんあそばせ? ウィリアム王子。」


こちらに気付いていたのか、ウィリアム王子に背を向け私達の方に向かってくるジュリア。


取り敢えず終わったか……。



「……ねぇ、ご同郷。あのウィリアム王子の反応って現地貴族的にどうなの? 普通の反応?

やっぱり私のデザインって尖り過ぎ?」


ウィリアム王子の反応を見て心配になって来たのか、こそっと聞いて来るシャル君。


心配になるならあんな尖ったデザインするなよと言う話だ……。



「―――安心したまえ。君が考えた通り、この国では足を出したり肩や背中を出すデザインの服自体は普通にある。


君のデザインとはまた違うがね。

王立学園の制服はミニスカートだし、ビキニアーマーなんかも存在している。」


「あるの!? ビキニアーマー!」



そう。あるのだ。


服飾系は調べているだろうが、鎧とかの防具は流石のシャル君も未履修らしい。


魔法の存在が全ての原因だな。



そもそも論として、金属の全身鎧が魔法の前ではほぼ無力と言う前提がある。


ぶっちゃけ、どんな属性であれ金属鎧だと魔法を防げないのだ。


敵の攻撃は避けるか魔法で弾くしかないと言うのがこの世界の戦闘の常識なのだ。



「防具の防御力と機動力はトレードオフだ。

全身鎧は防御力はあるが動き難いし、裸は防御力皆無だが動き易いのは分かるだろ?


動きやすさ重視で防御は身体強化魔法で済ませて、ブーツと滑り止めの手袋だけってのは案外理にかなってるんだよ。」


まぁそこまで極端な奴は少ないが、機動性重視の女戦士とかはかなり薄着だった。


ベスとかThe姫騎士みたいな感じのミニスカートでニーハイだったし。



「……ならやっぱり王子のあの反応は性癖?」


「それもあるだろうが、世代差もあるんじゃないか? なぁ、レオナルド。」


「え、い、いや、俺は別に……。」


慌ててそっぽを向くレオナルド。


実はさっきからレオナルドは、シャル君の方に

一切目線を向けていない。


そっぽを向いたレオナルドの顔は真っ赤になっていた。



「戦場を知る我々大人からすると足が出てようが臍が見えてようが普通なのだが、若い世代は薄着の女性を見る機会がないからな。」


薄着の女性を見ても、あ、この子は高機動タイプの軽戦士なんだな位にしか思わない。



戦後すぐの頃、長いスカートや野暮ったい服装が流行した。


それは戦いを前提としない服装。

言わば平和の証なのだ。


逆に戦闘訓練なんかもある王立学園の制服は短めのスカートだ。


と言うか、レオナルドも大概初心な反応だな。

ちゃんと授業とか受けれてるんだろうな?



「……えい。」


レオナルドに向かってスカートをチラリと捲るシャル君。


君なにしてんの!?


反射的に高速で視線を逸らすレオナルド。

お前、赤眼を使ってまで……。


「ほんとだ! わっ!レオ様顔真っ赤! 可愛い!

あ、大丈夫ですよ? これレイヤードスリットのスカパンなんで! おっと、スカパンじゃ伝わらないか……。えっと、キュロット……は19世紀だっけ? 半ズボンなんですよ! ほら!」


そう言いながらスカートを再度捲るシャル君。


やめろレオナルド!

首はそれ以上回せない!


―――あっ!



「す、すぐにやめるんだ!シャル君!」


「え、あ、ご、ごめんなさい。調子に乗り過ぎたかしら。」


私の慌てぶりに謝罪するシャル君。


「あぁ、そうだな……。


―――何せ怖いお姉さんが見ている。」


「……え?」



シャル君のすぐ真後ろ。

その瞳を嫉妬の炎で真っ赤に燃やしたユーリア君が立っていた。



「オマエ、コロスゾ。」



よぉし、落ち着こう。ユーリア君。

対話は大事だ。取り敢えず話せば分かる。

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