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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様と娘達

「あぁ、良い! 良いわ! やっぱりこの世には思春期の少年からしか摂取出来ない栄養がある!

父親に認められたいと言う少年的でもあり、

どこか大人的でもある甘酸っぱい承認欲求!

私の心が満たされるわ! おかわり!」


「しー! シャル! 今いい所だから静かにっ!」



レオナルドとのぎこちない親子の会話が一段落した時、騒がしい奴等に見られている事に気付いた。


いや、本当は途中から気付いてはいたのだが、レオナルドとの会話を止められる雰囲気でもなかったからそのまま無視していたのだ。


柱の影からこちらを覗き見ている怪しいお子様達とばっちり目が合っている。



「あー、覗きとは淑女の趣味としては感心出来ませんな?リトルレディ。」



取り敢えずこのまま放置も出来ないので、2人に声を掛ける。


観念して柱の影から出て来る2人。



「覗きなんてとんでもありませんわ。私達、少し迷っていましたの。夜会の受付はこちらでよろしくて? ジェントル。」


「リトルレディ。 生憎とまだ開場には少し早いようです。 さっさとお帰りくださいやがれ。」


「おほほ。面白い冗談だこと。」



本人的には巫山戯ておほほと笑っているのだろうが、悔しいかなその姿が様になっている。



ホルターネックの大人びたドレスだ。

肩や背中が大きく露出したデザインなのだが、

不思議とまだ幼いはずの彼女に似合っている。


白と青のそのドレスは、まるで水や風をそのまま形にした様な流れるフリルで飾られている。


歩く度にスカートに大きく入ったスリットから見える白磁の様な足も、黄金を溶かした様な金髪も、その蒼玉(サファイア)の様な瞳も、まるで彼女が人ではない何か。


陳腐な言い方だが、まるで彼女が天使か何かの様に見えてしまう。



「あぁら、ジェントル? 褒めたいのなら素直に褒めてくれて良いのよ?」


「……悔しいが美しい以外に感想が出ないな。

よく似合っているよ。シャーロット嬢。」


「あら、恐縮ですわ。公爵閣下。

閣下もその赤の夜会服、よく似合っておいでですわよ?」


「恐悦至極。デザイナーの腕が良くてね。」



クスクスと笑うシャル君にやる気のない返しを

する私。



これも悔しい話だが、今日の私が着ている彼女がデザインした夜会服イブニングドレスコート


レオナルドやジュリアとお揃いのイメージでデザインされているのだが、これが非常に周りからのウケが良い。


最初は、いつも当たり障りのない礼服を着ている私が、こんなド派手な色の礼服を着ていると馬鹿にされるのでは? と思っていた。


しかし、存外ベスや子ども達、家臣達からの評判が非常に良かったのだ。


私の様な陰気な男をこうも見事に飾り付けれるとは、シャル君とエルフ達の腕の良さが分かる逸品だ。



「さて、次は本命の登場よ?」


そう言ってシャル君が横にズレると、そこにはジュリアが立っていた。



……え? ジュリアだよな?



ドレスはそれこそデザイン画の時から何度も見た煌めく赤と黒(ルージュ・ノワール)のファンタジードレス。


プリンセスラインと言うらしく、絵本のお姫様の様に上半身は身体にフィットしつつ、腰のラインからふわりと広がるスカート。


シャル君とは真逆で露出が少なく、せいぜい肩周りが黒の透ける生地と言うくらい。


しかし、そこにはどこか蠱惑的で、見る者の目と心を惹き付ける様なオーラがある。


照れたように動く、金糸で彩られた黒のタイツに包まれた細い足。


見る者を捉えて離さない大きな翡翠の瞳。


シャル君が施したであろう目尻や頬、唇を輝かせるグリッターメイク。


幼さや可愛さと、妖艶さや美しさ。

それらが矛盾せず同居する二律背反。



……自分の娘に対する言葉ではないかもしれんが、シャル君を天使と表現するなら、この子はきっと悪魔だな。



この世界にいる種族としての悪魔じゃなくて、前世の宗教的な方の悪魔だ。


人を虜にし、支配する悪魔。

しかし、虜にされた人はその事実さえも笑顔で受け入れてしまうだろう。



「ど、どうかな? 変じゃない? お父様。」


ジュリアの前で片膝をつきその手を取る。



「―――あぁ、綺麗だよ。ジュリア。

本当によく似合っている。」



「ねぇ。褒め言葉がジュリアと私でほぼ同じなのは突っ込んだ方がイイやつ?」


「大丈夫。コツは行間を読むのよ。

言葉数は少ないけど、実はお父様は色々と考えてるってお母様が言ってたわ。


―――ふふ。ありがとうお父様。」



母性的に、しかし殊更妖艶に微笑むジュリア。



……え? 今私の考え読まれたの!?

やめて! 地の文を読まないで!




「ゴホン。……しかし、シャル君の招待状はどうした? それにジュリアが来る時間はもっと後からのはずだろう。 ベスはどうした?」



招待状もそうだが、当初の予定ではジュリアは

ベスや他の子達と一緒に参加する予定だった。


ちょっとしたテロ対策として、時間も開演ギリギリを狙っての来場を予定していた。


送迎用の馬車も護衛をしやすくする為に、それ用の1台しか用意していなかったはずなのだが……?




「シャ、シャル? ど、どこだべー!

か、勝手に行っちゃあなんねぇだっ!」


聞き覚えのある間の抜けた声が聞こえる。


……なるほど。奴か。



「こっちこっち! もう! 勝手にはぐれたのは伯父さんでしょ? エスコート役なんだからちゃんと横を歩いてよ! 何で着いて早々はぐれれるのかしら!?」


あー、リロイの迷子癖は筋金入りだからな。


向こうから濃い紺色のイブニングドレスコートを着たリロイがドタドタと走って来る。


いわゆる燕尾服をファンタジー調に仕立て直したようなデザインだ。


確かに北部五大侯爵の一角であるリロイがいたら夜会の参加など何とでもなるだろう。



「全く。この夜会はテロリストに狙われていると言っているだろう……。」


「ジュリアがどうしても一緒にってね。

伯父さんが何とかしてくれるって言うし、まぁ私も興味はあったから、ね?」


あははと苦笑しながら頬をかくシャル君。

まぁ異世界貴族のパーティーなんて彼女には興味しかないだろう。



C・Cカーディナル・クライシスの原作知識を持つのは君だ。

君がいてくれるなら役に立つかもしれないし、リロイもいるから大丈夫だとは思うが……。」


「まっかせなさい! って言っても、前も言ったけど、原作が始まるのは今から5年後よ?

今回のパーティーが原作通りに動くかは微妙じゃない?」



そうなんだよなぁ。

その辺が今ひとつ煮え切らない所だ。



昼間に関してはB・B(ブレイブ・ブレイド)のストーリー通りに襲撃があった。


ゲームの流れで言うと、昼間のお祭りに好感度の高いヒロインと参加。


その間にオディマの襲撃があって、それを解決してヒロインと夜会を過ごすと言う流れだ。


当然、主人公のアラン君は平民なので、夜会の会場の外でヒロインと2人で過ごす感じになる。


つまり、B・B(ブレイブ・ブレイド)の流れで言うならばこの夜会は何もないはずなのだ。



「レオナルド。 ちなみにアラン君は今何を?」


「アルですか? 昼間は一緒に祭を回ってましたが、夜は孤児院の家族と過ごすと言って帰りました。―――呼び出しますか?」


「いや。 お前と同格のあの子は戦力になるが、家族団欒に水を差すのもな……。」



……ふむ。孤児院ね。

という事はシスタールートかな?


確か孤児院のシスターは20歳そこそこの母性的な女性で、隠し攻略キャラだったはずだ。


その辺は少し気になるが……。

いや、これはゲスの勘ぐりだな。



「少なくとも昼間の襲撃の事もあるし、警戒する事に越したことはない。 あの襲撃が妙にぬるかったのも気になるしな。」


爆弾3つと5人の襲撃者。

人数もさる事ながら、4月に狙撃を行ったあの魔族レベルの者はいなかった。



オディマ最高幹部『死四天』サルガタナス。

アイツと同格の幹部がまだどこかにいるはずなのだ。



B・B(ブレイブ・ブレイド)での建国祭襲撃の首謀者はネビロスと言う妖魔族の英雄だった。


そしてシャル君曰く、C・Cカーディナル・クライシスでは指揮者(コンダクター)と呼ばれた魔族が主犯だったそうだ―――。


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