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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様と長男

「お、囮ですか……。」


神妙な顔でレオナルドが呟く。


「詳しくは端折るが、テロリスト共の狙いは王家の血脈だ。 魔法触媒的な物だと考えてくれ。

しかし、単に王家の血が流れているだけでいいならその数は既に把握出来ないレベルだ。」



この護衛対象不明と言うのが本当に辛い。


王国成立から数百年。

王家の血は判別不明な程に広がってしまった。


私生児の可能性も考慮に入れると平民に王家の血が流れていても不思議ではない。



原作ゲームの設定が色々あったと思うのだが、残念ながら私もシャル君も、その辺は覚えてないんだよなぁ。


ストーリー展開通りなら、対象はレオナルドやウィリアム、ジュリアやキングなのだが……。



「なるほど。その為にお父様と俺を前面に出した囮作戦と言うわけですか!」


「作戦と言える程たいしたモノではないがな。

単なる思い付きの類だよ……。

本命は王城付近に展開させている未来予測のA隊(アルファ)と索敵能力のH隊(ホテル)だ。」


「攻勢防御の一種ですね! 理解しました!」


流石は我が息子。

すぐに今回の作戦を理解した様だ。


正解したからか何だか嬉しそうだな。



まぁ正直、どこまで効果があるかは不明だ。


ぶっちゃけ、昼間リロイが上手い事やったから同じ様にやれば夜も上手くいくんじゃね? と言うだけの話だ。


ゴーウェンとリロイに期待である。



「……すまないな。 本来ならお前達は不参加にする方が良いとは思うのだが、立場上そうもいかなくてな。 なるべくお前達の参加は最低限になる様に調整したから安心してくれ。」



可能なら子ども達は全員不参加にしたかったと言うのが父親としての本音だが、公人としてはそうはいかない。


我々はテロリストには屈しない!USA!USA!

と言うやつだな。



取り敢えずベス達が会場入りするのは出来るだけ遅く来るようにしている。


当然、護衛にウチの騎士団を付けてだ。


それにいざとなれば、ジュリアに嫌われようがシャル君に恨まれようが、私の責任で夜会は中止にするつもりだ。



「そ、そうですか。お父様は俺達の身の安全を

考えてくれているんですよね。」


「ああ。勿論だ。」


「………………。」


「………………。」



やばい。会話が止まった。


えっと、後は何か話す事はなかったっけ?

来期の予算会議? 新法案? 領地の運営状況?

いやいや、子どもに何を話そうと言うんだ。



「あー、が、学校はどうだ? 最近。」


色々と悩んだ挙句、私の口から出てきたのは、

普段会話のない無口な父親が言いそうな台詞ランキング1位(私調べ)の最近どうだ? だった。



「学校ですか? お陰様で楽しくやってます。

アルもいますし、退屈する暇もないですよ。

来年からはユーリアも入学するでしょうから輪をかけて騒がしくなりそうです。」


ははっと笑うレオナルド。



あ、ユーリア君は来年からか……。


……来年からの学園は大丈夫かな?

あんな恐ろしい子が入学するとか、普通に想定外だろう。



先日のウィンドブルムの件でも、ユーリア君の暴徒扇動が領地経営者的には1番ダメージが大きいと思う。


瞬間的な被害は確かにジュリア達の方が酷いだろうが、あれらは所詮一時的なものだ。



あの暴徒達はウィンドブルムの貧民層。


つまりあの子は貧富の差と言う潜在的にあった

不和の種を強制的に発芽させたのだ。


あの子がどこまで自覚していたかは知る由もないが、これは後々にも確実に尾を引く問題だ。


領地を経営する者としては、いっそウィンドブルム伯爵に同情するレベルである。



「……そうか。あの学園長も来年が最後かもしれないな。」


「……何とかフォローはしてみます。」


私の呟きに、死地に向かう戦士の顔でレオナルドが応えた。



「そこは期待している。 あー、他はどうだ?

新しい友達は出来たか?」


「友達ですか……。元々の知り合いもいますし、何人か知り合いは増えました。」


「う、うむ。あー、部活とかはしてるのか?」


「一応、アルと2人で生徒会に誘われております。」


「おぉ、優秀だな。 確か学業が優秀な生徒しか入れないんだろう?」


この世界の学校ってよく分からないんだよな。


何せ入学してからすぐに戦争が始まったから、私は殆ど学校には行っていないのだ。



「所詮は学生レベルです。」


「そ、そうか……。」


「………………。」


「………………。」



うぅ、気まずい……!

また会話が止まってしまった。


これがジュリアやシャル君なら勝手に服の話をしてくれるから楽なのに……。


趣味? 趣味の話をしたらいいのか?


レオナルドの趣味ってなんだ?

訓練? 勉強? くそ、分からない……。



そこで私は気付いてしまった。

父親だ何だと言いながら、結局私は息子の事を全く知らないのだ。


はは。何て無様な……。



「……レオナルド」


「お父様」



やべ。被ってしまった……!


咄嗟に手を向けてレオナルドの話を促す。

な、何を言われるんだろうか……。


内心ドキドキしながらレオナルドを見ていると、意を決した表情でレオナルドが口を開く。



「……お父様は俺を不甲斐ないとお思いでしょうか?」



……うん?

何を言っているんだお前は?



「俺がまだまだなのは分かっています。

俺と同じ歳の頃にはお父様は戦場で名を馳せておいででした。」


あー、まぁね。

戦場じゃあ戦わないと死ぬからね。


ぶっちゃけ15歳の子どもを開戦直後から戦場に放り込むとか殺す気だとしか思えない所業だ。


いや、実際に殺す気だったのかもしれない。

恐らく、私の父親が。



考えてもみて欲しい。

三男坊なんて本来はスペアのスペア。


そんな奴が好き勝手、現代知識チートで無双をしているとどうなるのか?


最悪命を狙われても不思議じゃない。

と言うより狙われた結果が、15歳での初陣だと思っている。


まぁあの頃の私は若かったし、反骨心やら何やらで色々やらかしていたから仕方ないと言えば仕方ないとは思う。


そうでもなければ、15歳の子どもに戦場を任せるなんて暴挙をするはずがないだろう。



「それに比べ、俺はアルと2人がかりにも関わらずドラゴン1匹倒す事も出来ない体たらく。

先日のウィンドブルムでもロクに役には立てなかった……。


これではお父様に不甲斐ないと思われても仕方ありません……!」



いやいや、充分やりたい放題やって―――。


あ、そうか。 そう言う事か……!



「……私はお前が不甲斐ないと思っていたり、実力が足りないと思っているから夜会に参加させたくない訳じゃないぞ。」



カァっと顔が赤くなるレオナルド。

よし。正解だったか!



レオナルドからすると、今回の囮作戦を伝えられた時は私に頼られた感じがして嬉しかった。


しかし、私が本当は夜会には参加させたくないと言ってしまったから、それは自分の実力が足りておらず、不甲斐なく思われているからだと感じたのだろう。


その結果、少し拗ねてしまったと言う事か。


1人で出来るもん!と言うヤツだな。



「い、いえ、その違っ、あぁ、いや違うくはないのですが……。」


しどろもどろと言い淀むレオナルド。


そんなレオナルドの頭を少し乱暴に撫でる。



「安心しろ。お前の実力は認めているよ。

―――背中は任せるぞ。」


「は、はい!」


この上なく嬉しそうに笑うレオナルド。

私に認められたのを実感出来たのだろう。


戦場を任せられるのが1人前の証なんて古い時代の騎士じゃなかろうに……。


時代錯誤も甚だ―――。



“この戦場はロベルト。お前に任せる”



ふと厳しい顔のクソ親父を思い出す。

無口で無愛想な、今の私にそっくりな父親だ。


あの人からの愛情なんて1度も感じた事はない。


ないのだが―――。



……まさか、そう言う事か?



もし本当にそうだとしたら、子どもの気持ちを分からないのは父親譲りなのかもしれないな。



「お父様……?」


「あぁ、すまん。 少し考え事をしていた。」



今度領地に帰った時は墓参りに行くか……。


私は頭のスケジュール帳に予定を書き入れた。

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