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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様とテロリスト

『|魔族の理想のための組織オディマ』。


奴等は魔王復活を狙うテロ組織だ。

そして魔王復活の鍵となるのが王族の血筋。



―――つまり、ヴァリエント王国の王族を拉致し魔王復活の儀式の生贄にする事が目的だ。


生贄を祭壇に捧げて殺す的な例のアレだな。



「ま、マジッスか? 王家の血筋って事は、あの王様や御館様が狙われ―――、いや、え……?

お二人を攫って生贄にするとかアイツらに出来るんですか?」


何やら失礼な事を言い出すトニー。


「……確かに。お二人をどうにか出来るなら、そもそもあの大戦でも魔族が負ける事はなかったと某は愚考します。」


お前もかヴァーリ。


「お二人はさて置き、奥方様や……いや、奥方様もまぁいいか。 あー、若達やウィリアム王子が狙われる可能性は危惧せねばならん。」


さらりとベスにも被弾させるガーランド団長。


言いたい事は分かるがもうちょいオブラートに包んでくれないだろうか?


「んー、レオナルド様とドミニク様も凄く良い筋肉をしているから大丈夫よ。特に御館様に似た良い背筋をしているわ。」


レディ? お前筋肉の話しかしてなくない?


「否定はしないが、過信は良くない。

俺も油断してウィンドブルムで下手を打ったばかりだ。」


なんてまともな意見だ! ゴーウェン!

私は信じていたぞ!

ウィンドブルムで殴ろうとしてごめん!


「……まぁ、想定しても無駄な事はあると思うがな。御館様とあの王を拉致するとか、むしろ

どうやるか興味がある。」


てめえゴーウェン……!

やっぱりあの時殴るべきだったか!



「……お前達の言い草に色々思う所はあるが、私達の事はいい。 問題は王家の血筋と言うのがどこまでの範囲なのかが分からない事だ。」


疲れた声で私は家臣達に応えた。



ちなみに原作ゲームであるB・B(ブレイブ・ブレイド)では、ユーリア君の手引きにより王国を裏切ったレオナルドが生贄だった。


C・Cカーディナル・クライシスでも、魔王が復活する場合は同じく王族が生贄にされる。


シャル君曰くはその対象はこの国の王子。


私の甥っ子であるウィリアム・アンドレア・ヴァリエントなのだそうだ。


ルート次第ではジュリアや王が生贄になるケースもあるらしいが、確率的にはウィリアムが1番高いらしい。



ちなみに、この世界では貴族の名前についてるフォンは王と王太子にはつかない。


フォンの意味としては英語のofとほぼ同じ。

~の、くらいの意味である。


つまり、タロウ・フォン・ヤマダだと

山田家の太郎くんになる。


王と王太子は家や国そのものであると言う割と傲慢な思想の元、奴らの名前からはフォンが省略されるのが慣例だ。


……話が逸れた。



ともあれ、原作ゲームでは分かりやすく王族が狙われていたのだが、ここは現実だ。


テロリスト共はもっと楽な所を狙うのではないだろうか?



「なるほどね。公式に王族が降嫁された家もあるし、非公式に愛人になった家もあるわねぇ?

噂レベルでなら先々代の王の愛人疑惑がある

セーデルホルム伯爵家なんてのもあるわ。」


そう。レディの言う通りなのだ。


仮に両親のうち片方が王族出と言う条件なら、そこまで多くはない。


しかし、3親等、4親等と増えればその数は一気に増える。



「―――そもそも論、現在王都は人手不足だ。

建国祭なんて国家規模のイベントの最中にテロリスト対策だけにそこまで人手が割けん。」



建国祭とは我が国の重要イベント。



まず人が沢山来る。

それはもう嫌という程来る。

数百万人規模で来る。


そんな民族大移動レベルの人が流れ込んで来るから当然王都は混乱する。


それを何とかする為には人手がいる訳だ。



さらに、このイベントの為に国内外から要人がどんどんやって来る。


当然、ホストである我々王国側がそいつ等を歓待したり警護をせねばならないのだが、その要人達に失礼のない態度で接する必要がある。


それらの中核となるのが、王都守護騎士団(ガーディアンナイツ)だ。



「既に王都守護騎士団(ガーディアンナイツ)の人的リソースはギリギリ。 いくら可能性が高かろうが、そこまで人を割けないと言うのが実情だ。」



勿論、犯罪者対策やテロ対策はしている。

しかし、オディマに特化した警備体制を新たに行う余裕がないのだ。


一応、数人の警備強化はするらしいが、ハッキリ言えば雀の涙だ。



そんな王都の懐事情をザクッと私が話すと、団長が話を引き継ぐ。



「そこで白羽の矢が立ったのが、王国最強戦力である我々と言う訳だ。」


ガーランド団長は更に言葉を続ける。


「奴等は大戦の亡霊。つまり尻の拭き残しだ。国は我々が自分の尻を自分で拭ける良い子だと証明出来る事を期待している。」


これは国の尻だとは思うのだが、残念ながら私はこの国の支配者の1人。


私の尻とも言えるだろう。



「安心しろ。 誰も我々に難しい事は期待していない。 いつも通りただ敵を探し出し、粉砕し、細切れにし、焼き払え!」


「「「「応!!」」」」



―――――――――

――――――

―――



「あの死神公爵が来ているらしい。

しかも配下の黒鍵共を引き連れて、だ。」



深夜。


太陽はおろか、月や星の光すら届かない真っ暗な深い夜の底。


王都の外れにある共同墓地で男が笑う。



「懐かしい。羨ましい。本当に。心の底から。

きっとあの公爵は変わらず死の匂いを振り撒いているのだろう。あぁ、羨ましい。

きっとまだ殺し殺されを続けているのだ。

まだ戦場にいるのだ。」



背の高い男だ。


薄汚れたフードを頭から被り、足を引きずり無軌道に歩くその様は幽鬼の類いにも見えた。


爪を噛みながらブツブツと理解し難い事を口早に叫ぶ。



「あぁ、ドク! こんな所にいた! 探したよ!

まぁた勝手に施設を抜け出して!」


墓地に入って来た背の低い男の子が安堵の声を響かせる。


清潔そうな白い服。

それはこの国の医療従事者達の制服だ。


そして胸にヴァリアント退役騎士療養所の紋章

が刻まれていた。




「もう消灯時間は過ぎているんだよ!?」


「おぉ、ミッシェル! わざわざこんな所まで探させてすまんなぁ。」


先程までの幽鬼の様な雰囲気とは打って代わり

まるで好々爺のような顔をする長身の男。



「見つかったら院長先生に怒られるのは僕なんだからね! 謝るくらいなら抜け出さないで欲しいんだけど!」


プリプリと怒るミッシェルと呼ばれた少年。

その言葉や態度とは裏腹に、長身の男への優しさが垣間見える。



「すまない。どうしても戦友達と話をしたかったんだ。」


「戦友……? あぁ、ここには大戦で亡くなった人達が共同で葬られているんだっけ。」


そう言いながらミッシェルは、一際大きな慰霊碑を見上げる。



「そうだ。 人間族(ヒューマン)魔族(デーモン)も関係なく、な。

死んだ後も殺し合いをさせるつもりにしか見えん外道の所業だ。」


「いや、そこは死んだら皆仲良くとかそういう意味じゃないかなぁ?」


困った顔をして笑うミッシェル。



「はっ! 殺し合った者達が死んだ程度で仲良く出来るものか! 何せ彼等は殺し殺され合った間柄なのだ。 彼奴らは何も忘れておらぬよ。

今でも彼奴らは儂に叫ぶのだ。 戦えと!」


「あー、う、うん。 処方箋の量は増やしといた方が良いかもね、ドク。」


話しているうちにその狂気が色濃く顔に出てきたドクに苦笑いをするミッシェル。


彼の務める退役騎士療養所には身体以外にも

心を病んだ者は多い。


彼の仕事は、そんな病める者達の介助だ。



「さ、帰ろう。 夏とは言え夜風は身体に良くないしね。 」


「あぁ、ありがとう。ミッシェル。

君は他種族だが、実に親切な若者だよ。君みたいな者ばかりだったのなら、きっと戦争なんて起こらないだろう。」



そうドクが言った時、重い雲の切れ目から月明かりが墓地を照らす。



それは小柄な少年のように見えた。


その肌は青く、目は薄らと赤く光っている。

優しげに笑うその口からはナイフのように鋭く

尖った歯が見えた。


上位魔族である一族。妖魔族(モンストラム)



「そうだね。そんな理想的な世界になれば

どんなに良いだろうね。」



どこまでも優しげにミッシェルは微笑んだ。

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