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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様と騒がしい日

建国祭。


文字通りこの国の建国を祝うお祭りである。

正確には初代国王の即位を祝うお祭りだ。


ちなみに毎年7月の後半に開催される。


基本的にこの世界のイベント事は前世の日本に準拠するのだが、この辺はオリジナル要素だ。


……いや、祭りだから夏祭りくらいの感覚で差し込んだのかもしれないな。


日中は街中で屋台とか出てるし。



貴族的にメインイベントとなるのは王城の大広間で行われる夜会である。


基本的に貴族は全員参加。

何なら一族総出で来る家も多い。



なので毎年公爵家(ウチ)もこの時期の王都屋敷(タウンハウス)は騒がしくなる。


そして、今年はいつもよりもずっと賑やかだ。




「んー、やっぱり夏祭りだし浴衣かなぁ。 日中のお祭りは平民の私も参加出来るし、無難だけど2人で白と黒とかで双子コーデする? レースとかフリルをたっぷり使った浴衣なら貴族っぽさも演出できると思うのよね? ジュリアの黒髪と和装の相性の良さはこの前の袴で証明されたと思うし、異国情緒溢れる感じでキャッチーな感じに纏まると思うのよ。」


「それはそれで良いと思うが、のぅ?シャル。

お前最近飛び道具に頼り過ぎてはおらんか?

今回は建国祭。祭だからこそ伝統に重きを置いたデザインにするべきではないかの?」


「くっ。さすがババア(年の功)……!

耳が痛いわ。 それに人の多い所で浴衣は歩き難いかもだし……。」


「誰がババアじゃ! ワシはまだ650歳じゃ!

自分で言うのは良いが、人に言われると何だか腹が立つ!」



五月蝿い(賑やかな)原因その1。

シャル君とエルフ職人達だ。



今回のメインイベントである夜会の為に付き添いで来ている。


流石にエルフ達全員ではなく代表として10名ほどだ。当然のごとくカーミラ女史がリーダー的なポジションである。



「伝統って大事よね? ねぇ、シャル。やっぱり夜会に着ていくドレスはやっぱり伝統を重んじた長いスカートのドレスにしない?」


「まだ言ってるの? ジュリア。むしろ足を出したスカートは伝統に回帰してるデザインよ?

まさにネオクラシック! エンパイアスタイル! いや、帝政(エンパイア)じゃなくてこの国は王政だけど。

それにジュリアにあんなハイウエストなドレス着せる気ないけどね。私、あのデザインて寝巻きっぽく見えるのよねぇ。」


「相変わらずシャル嬢ちゃんの言葉の意味は分からんが、あのドレスは着ておくれ。 折角素足を見せなくて済むよう、ワシらが苦労してタイツなる衣装も作ったんじゃ。お蔵入りされると本気で悲しくなる。」


「ホントそう。」

「めっちゃ苦労したもんねー。」

「何デニールって? どこのどいつよ?」

「デニールが憎い……!」

「ちょっと伸縮性の高い素敵な新素材を開発したからって絶対いい気になっているわよね。」

「きっとデニールは調子に乗っている。」

「デニール許すまじ!」


「うぅ。そう言われると否定し難い……。」



エルフ職人達のデニール氏への恨みが凄い。

いや、デニールは糸の太さとか重さの事で人名じゃなかったはずだけど……。


やはりジュリア的には足を出す事に恥ずかしさを覚える様だ。


試着したのを見て非常に似合っていると思ったのだが、それはそれと言うやつなのだろう。




「良い! 非常によろしくてよっ! 若っ!!

筋肉が喜んでいるのがお分かりになりますか!

大胸筋から三角筋、上腕三頭筋が喜びに震えておりますでしょう!?」


「う、うん! 」


「ノンノン! 若様。筋トレ中の我等I隊(インディア)の伝統的掛け声は―――?」


「い、YES! マッスル!」


「んー、エクセレント! さぁスパートを掛けて行きますわよっ! エビバディセイっ!」


「1、2、マッスル!」

「1、2、マッスル!」

「1、2、マッスル!」

「1、2、マッスル!」



中庭から筋肉の圧が凄い……。


紫髪の偉丈夫(レディ)の掛け声で私の愛息子と筋肉隆々の男達が、中庭で腕立て伏せをしているのが見えた。


通称、レディ・マキシマム。


彼女こそI隊(インディア)の隊長であり北部を代表する五大侯爵家が1つ、ファルニード家当主。


『紫電剛腕』マキシマム・ダニエル・フォン・ファルニードだ。


五月蝿い(賑やかな)原因その2。

筋肉伝道師の(サバト)である。



昨日ドミニクとその護衛としてI隊(インディア)が王都に着いたのだが、着くなりそうそうアイツらは中庭を占拠して筋トレ(サバト)を開催しだしたのだ。


ちなみにウチのかみさんであるベスと次男のエドワードは遅れてやって来る予定だ。


さすがに私とベスが揃って領地を空けすぎるのは不味いしな……。



「相変わらず筋トレに余念がないな……。

レディ、ドミニク。」


「お父様!」


「あら御館様!」


筋トレ(サバト)が一段落したのか、汗を拭いて水分補給をしている2人に声を掛ける。


「適度な所で切り上げて夜会衣装の確認をしておけよ? 建国祭はもうすぐだ。」


「はい!お父様!」


「衣装、衣装ねぇ。 御館様? この鍛え抜かれた筋肉を衣装なんて布切れで隠すのは無粋じゃないかしら?」


明るく素直な返事をするドミニクとは裏腹に何やら面倒臭い事を言い出すレディ。


……お前裸で夜会に出るつもりか?



「むしろ、この筋肉を民草に見せつけない方が罪! そう思いませんこと!?」


ビシっ!とポージングをして脳まで筋肉に侵された発言を堂々とのたまうレディ。


うちの法律に猥褻物陳列罪はあったっけ?



「あ、いたいた! 公爵様。明日の衣装の事で話が―――。え、筋肉すごっ!?めっちゃキレてるじゃん! あら貴方! レディ・マキシマム!?

それにドミニク様も! え、筋肉祭り!?

やっばぁ。私筋肉も結構ありなのよねー。

原作の2人が出て来る騎士団ルート、私好きだったなぁ。予定が合わなかったからお2人とは会う時間なかったけど、こんな事なら無理矢理にでも会いに行けば良かった! 」


何を口走ってるの!? シャル君!

皆がいる前で原作とか言わないでくれる?


え、でもレディやドミニクも出てくる騎士団ルートの話は気になる……!


テクテクとやって来て全開でぶちまけるシャル君。



「あら、流石は御館様が雇った仕立て屋ね。

中々筋肉を見る目がありそうだわ。

マキシマムよ。よろしくね? リトルレディ。」


「えっと、ちゃんと挨拶した事なかったよね?

はじめまして。ドミニク・キリアン・フォン・フィンスター=ヘレオールです。」


シャル君のエキセントリックな発言は我が家でも有名なので2人は聞き流してくれた様だ。


レディは筋肉しか聞いていなさそうだが……。



ちなみに、侯爵家当主のマキシマムが家名を名乗らないのはウチの騎士団の暗黙の了解故だ。


ウチの騎士団は元々はみ出し者の寄せ集め。

貴族もいれば平民や元奴隷、他種族もいる。


いちいち個人の家名や身分を気にしていると情報伝達がややこしくなるので皆基本的に名前だけで通しているのだ。



「シャーロット・ホプキンスです! ご高名なお2人にお目にかかれて光栄ですわ。 チラッと聞こえてしまったのですが、夜会の衣装の話をされていたのですか?」


「あぁそうだ。 マキシマムが鍛え抜いた筋肉を隠すのは罪だと言い出してね……。」


衣装狂いのシャル君ならこの筋肉狂いを何とかしてくれるんじゃないかと期待を込めて話を振ってみる。



「―――確かに! 仰る通り、この唆る筋肉を隠すのはむしろ罪だわ。」


あれ? 君がそんな事言うの?



「んー、そうね。社交ダンサーの衣装の様に胸元を大きく開けるのはどうかしら? 鎖骨の辺りからおヘソまでV字の切れ込みを入れて大胆に肌を見せるの! 周りはそうね……。 大胸筋と腹筋を飾り立てるようにフリルを添えて……あ、袖部分もチュール生地みたいな透ける素材を使って筋肉を見せるのはどうかしら? 基本的には身体のラインにフィットした―――いえ、筋肉のラインにフィットした服にするべきよ!」


OK。私が悪かった。

こうなる事は予想すべきだった。


何を言い出すんだこの衣装狂いめっ!

夜会を仮装パーティーにする気か!?



「な・る・ほ・ど。隠すのではなく筋肉を飾り立てるか。 私にはない発想だわ。流石、御館様が認めジュリアお嬢様が見込んだ仕立て屋ね。

今から依頼しても間に合うかしら?」


「お二人の師弟関係を考慮してデザインは共通、生地も手持ちで何とかなるとして、仮縫いは省略。型紙(パターン)は……気合いねっ!

1時間頂けますか!?」


「マーベラス! 貴方、公爵家の仕事がなくなったらウチに来なさい!」


「……え? 僕も着るの!?」



それは衣装狂いと筋肉狂いの異色のコラボが決定した瞬間だった。


やっべ。変な化学反応起こしちまった……。



「こ、こ、公爵様っ! お軍議のお時間なのでお会議室までお迎えしろと、お団長が!」


変な敬語でオドオドと話かけて来た小さいオッサン。


我が騎士団が誇る不思議情報魔法の担い手。

『小さきもの』『千里天眼』リロイ・ダミアン・フォン・スチュアートである。


「ああ、すまんな。 リロイ。わざわざ迎えに来てくれたのか。」


「い、い、いえ! 恐縮―――あ、あれ? 」


リロイがシャル君を見て驚いた顔をして固まっている。


ん? どうした……あっ!



「か、か、カトリーヌ!? カトリーヌじゃないかっ! あれ? で、でも何か若い……?」



あー、失敗したな……。


シャル君の話を元に色々調べて分かったのだがリロイの駆け落ちした妹がシャル君のお母さんだったのだ。


シャル君一家はもう貴族社会とは完全に縁を切っているし、家に戻る気もないらしい。


一応、公爵として話をしたのだが、シャル君のお母さんから、自分はスチュアート家の汚点。当主となった兄の足を引っ張る様なことはしたくないと口止めをされていたのだ。



「あー、いや、その、カトリーヌは私のお母さんで……。」


「は、は、母っ!? ムスメ!? 母……!?

は、はは、母、はは―――。」


ばたりとリロイが白目を剥いて倒れる。



「あ、あれ!? この人大丈夫なの!?」


「うむ。リロイは心の許容量が小さいからすぐにいっぱいいっぱいになるんだ。」


「なんと言うか、貴方。中々濃いメンツを集めてるのね……。」



うん。こいつは君の伯父さんだけどね?

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