表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵マイク  作者: 光翔
34/35

29 暁光

薄明かりが差し込む部屋で、ジェシーは静かに目を覚ました。隣には、穏やかな表情で眠るマイクの姿があった。彼の寝顔は、まるで子供のように無邪気で、ジェシーは思わず微笑んでしまう。

「マイク、起きて。もう朝よ。」

ジェシーは、そっとマイクの肩を揺さぶった。

「ん…。」

マイクは、目を覚まし、ジェシーに微笑みかけた。

「おはよう、ジェシー。よく眠れたかい?」

「うん。あなたと一緒にいると、いつも安心して眠れるわ。」

ジェシーは、マイクの腕の中に身を寄せ、彼の温もりに包まれた。

二人は、ゆっくりとベッドから起き上がり、窓の外を眺めた。

「今日は、いい天気ね。」

ジェシーは、空を見上げながら、そう言った。

「そうだな。今日は、どこかへ出かけようか。」

マイクは、ジェシーの手を取り、そう提案した。

「どこへ行く?」

「うーん…、君が行きたいところなら、どこでもいいよ。」

マイクは、ジェシーの顔を見つめながら、そう言った。

ジェシーは、少し考えた後、マイクの目をまっすぐに見つめ、言った。

「私、実は、ずっと気になっていた場所があるの。」

「どこ?」

「それは…、あなたの故郷のO市よ。」

ジェシーの言葉に、マイクは少し驚いた。

「O市? なぜ?」

「だって、O市は、あなたにとって大切な場所でしょう? それに、私は、T市で起こったことを全て忘れたいの。もう、カルル・ギャングに関わりたくない。」

ジェシーは、目を潤ませながら、そう言った。

マイクは、ジェシーの気持ちを理解した。

「ジェシー、君の気持ちはわかる。でも、カルル・ギャングは、君の父親が創設した組織なんだ。君は、今は、カルル・ギャングの代理会長なんだ。君は、カルル・ギャングの仲間たちを、本当に放っておけるのか?」

マイクは、ジェシーに問いかけた。

「もし、古市コイチ叔父様が生きていれば、カルル・ギャングを彼に託したわ。古市コイチ叔父様は、正直で有能な人だから、きっとカルル・ギャングをもっと良く導いてくれたでしょう。」

ジェシーは、目を閉じ、そう呟いた。

「悲しむな、ジェシー。古市コイチは、君が悲しむのを望んでいない。カルル・ギャングが、麻薬や武器取引のような違法行為を止める限り、カルル・ギャングの皆の生活は、平和で美しいものになる。」

マイクは、ジェシーの頭を優しく撫でながら、そう言った。

「私は、必ず、カイの癌を摘み取って、カルル・ギャングの闇ビジネスを合法的なビジネスに変えるわ。」

ジェシーは、強い意志を込めて、そう宣言した。

「心配するな。必ずカイを捕まえ、牢獄にぶち込む。」

マイクは、ジェシーに約束した。

二人は、未来の明るい生活を夢見て、互いに励まし合った。

その日の夜、二人は、静かな夜空を見上げながら、星空を眺めていた。

「ジェシー、君と出会えて、本当に良かった。」

マイクは、ジェシーの肩に手を置きながら、そう言った。

「私も、あなたと出会えて、本当に良かった。」

ジェシーは、マイクの腕の中に身を寄せ、そう答えた。

二人は、互いに愛情を確認し合い、静かに夜空を見つめ続けた。

しかし、彼らの静かな幸せは、永遠に続くものだろうか?

カイという影が、二人の心を悩ませる。

カイは、古市コイチを殺し、ジェシーの家族を危険にさらした。彼は、まだ自由を手に入れており、再び二人の前に現れる可能性も捨てきれない。

ある日、マイクは、ジェシーとユータがリビングで話し込んでいるのを見つけた。

「ジェシー、一体どうしたんだ?」

マイクは、二人の様子に不安を感じ、そう尋ねた。

「カイが、ついに動き出したわ。」

ジェシーは、表情を曇らせながら、そう答えた。

「何だと? 詳しく説明しろ!」

マイクは、一瞬にして意識が覚醒し、ジェシーに詰め寄った。

「明日午前4時、カイは、T市の南東郊外にあるミロ・パークで、麻薬ディーラーのニッキーと取引をするわ。」

ジェシーは、冷静に情報をつぶやいた。

「それは素晴らしい! 今回は、必ずカイを捕まえるぞ!」

マイクは、興奮を抑えきれずに、そう叫んだ。

「午後8時、カイは私に、ゼウス1号衛星を使ってミロ・パークを監視するよう頼んできた。だから、午後8時までにミロ・パークに待ち伏せする必要があるわ。」

ユウタが、静かに情報を提供した。

「ユウタ? なんだか、カイと親しいみたいだな。」

マイクは、ユウタの言葉に、疑問を呈した。

「カイとは、幼い頃から友達だったんだ。でも、カイは、多くの違法行為を行い、人を殺すまでになった。私は、長い間、彼に反対してきた。それに、カイは、ジェシーを傷つけようとしている。私は、カイを許せない。」

ユウタは、力強い言葉で、自分の思いを吐き出した。

「だったら、なぜ、以前、ゼウス1号衛星を使ってカイを見つけようとしなかったんだ?」

マイクは、ユウタの行動に疑問を抱いた。

「衛星監視機能は、まだテスト段階で、衛星の解像度も十分ではない。特定の人物を見つけるのは難しい。特に、その人物が動いている場合はなおさらだ。今のところ、固定されたエリアの一般的な状況しか監視できない。」

ユウタは、冷静に説明した。

「なるほど。では、カイが麻薬ディーラーのニッキーと取引する、その情報は確実か?」

マイクは、再びユウタに確認した。

「絶対に確実だ。彼らは、麻薬を売買するだけでなく、もっと重要なもの、衛星通信機を売買する。」

ユウタは、目を光らせながら、そう答えた。

「衛星通信機? なんだそれ?」

マイクは、聞き慣れない言葉に、首を傾げた。

「衛星通信機は、ゼウス1号から送られてくる情報を受信できる。衛星通信機があれば、悪党たちは警察の位置を監視し、警察の目を逃れることができるんだ。闇組織は、衛星通信機を必要としている。カイは、衛星通信機を交渉材料として、国内外の多くの闇組織と取引している。」

ユウタは、詳細を説明した。

「つまり、衛星通信機が、カイ最大の交渉材料ってことか。カイは、一体どこで衛星通信機を手に入れたんだ?」

マイクは、重要な情報を得て、興奮を抑えきれなかった。

「私が作ったんだ。今のところ、私が作った衛星通信機は、たった一つだけだ。午後6時に、カイに渡す予定だ。」

ユウタは、意外な事実を明かした。

「作った? お前、重要な人物だな。カイは、お前を監視していないのか?」

マイクは、ユウタの言葉に驚愕した。

「私が隠れる気になれば、誰も監視できない。表向きは、カイと私は協力関係にある。彼は、私に監視を付けることはしないだろう。」

ユウタは、自信満々にそう答えた。

「わかった。じゃあ、今すぐ警察署に戻って、署長と他の同僚に知らせる。」

マイクは、重要な情報を手に入れ、急いで警察署に戻ることを決めた。

「覚えておいて。午後8時までにミロ・パークに到着しないと、ゼウス1号衛星に発見されるぞ。」

ユウタは、マイクに警告した。

マイクは、再びユウタに感謝し、警察署へと急いだ。

ジェシーは、ユウタの言葉に、複雑な表情を浮かべた。

「ありがとう、ユータ。でも、危険なことをしているわ。もし、カイに裏切られたことがバレたら、殺されるわよ。」

「大丈夫だ。私は、カイを欺くためなら、どんな危険も厭わない。私は、ジェシーを守りたいんだ。」

ユウタは、ジェシーの言葉を遮り、そう答えた。

ジェシーは、ユータの強い意志を感じ、感動した。

「どうすればいいか、わからないわ。」

「気にしないで。喜んでやるよ。」

ユータはそう言うと、ジェシーの元を去った。

ジェシーは、ユータの背中に、複雑な感情を抱きながら見送った。

ユータは、ジェシーに恋心を抱いていた。

彼は、ジェシーを守りたい一心で、危険な行動に出た。

ジェシーは、ユータの行動に、心から感謝していた。

彼女は、ユータの優しさに、心を打たれていた。

しかし、彼女は、ユータの気持ちに気づくことはなかった。

彼女は、マイクしか見ていなかった。

彼女は、マイクへの愛を、胸に秘めていた。

マイクは、警察署に戻り、署長にカイの情報を伝えた。

マイクは、カイを逮捕し、ジェシーを救うために、必死だった。

彼は、正義を貫き、ジェシーを守るために、命をかけて戦うことを決意していた。

夕暮れの空が、茜色に染まり始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ