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探偵マイク  作者: 光翔
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10 カイの捜索: T市警察の挑戦②

午前中の会議で、有効な手掛かりを掴めなかったマイクは、じっと警察署で待機しているのも無意味だと感じ、午後、リンと剣持を相手に、

「…このまま署内にいても仕方ねぇ。午後、少し外で話を聞いてみるのはどうだ?」

警察署でじっと待つのは性に合わなかったようだ。

マイクの提案に、剣持は少し困った表情を浮かべた。

「…外に出るといっても、許可は必要だ。署長に話してみるか?」

マイクは、ため息をつきながら言った。

「…頼む」

剣持は、局長の部屋へ向かい、事情を説明した。

すると、局長はあっさりとした様子で、

「…特に計画はない。好きにしろ」

と、許可を出した。

カール・ギャングは、暴力団活動以外にも、表社会で幅広く合法的な事業を営んでいた。

印刷、建設、飲食、娯楽など、あらゆる業種に投資していたのだ。

組織の構成員の大半は、こうした合法企業に所属し、社会的には一般市民としての身分を有していた。

「…だったら、カジノやカラオケ、バーなんかはどうだろう?」

マイクは、ギャングがよく出没するような場所を提案した。

リンは、地図を広げながら、

「…確かに。それなら、このあたりにあるカジノと、このあたりのカラオケとバーを回ってみるか?」

と、効率的に回るための計画を立て始めた。

「…でも、なんでギャングの人たちは、そういう場所に行くんでしょうか?」

リンは、疑問を口にした。

「…合法的な企業もたくさんあるのに、わざわざ事務所にいないんですか?」

マイクは、肩をすくめて

「…事務所で何をする? 書類でも読むのか、小説でも書くのか?」

と、失笑気味に答えた。

「…ギャングの人たちって、あまり学がないんじゃないですか? 頭を使うような仕事はできないでしょうし」

剣持が、マイクの言葉を補足した。

「…事務所で働かせるなんて、殺すより難しいんじゃないか?」

と、冗談めかして言った。

リンは、楽しそうに笑って言った。

「…そうでもないですよ。昔、教師になった元・ギャングの組長がいたって聞いたことがあります。確か、鬼塚組長っていう方だったと思います。生徒に大人気だったそうですよ」

剣持は、苦笑いを浮かべて

「…鬼塚さんが教師になれたのは、学歴とは関係ないだろう」

と、リンの言葉を否定した。

リンは、

「鬼塚先生にお会いできなくて残念です」

と少し残念がっていました。

突然、リンがマイクに話しかけた。

「…そういえば、ジェシーさんって、有名大学を卒業したんですよね?」

マイクは、少し無意識に

「…だから何だ」

と、返してしまった。

リンは、含みのある笑みを浮かべて、何も答えない。

マイクは、リンが自分をからかっていることに気づいていた。

実は、マイク自身もジェシーに対して、好意を抱いていた。しかし、今は一刻も早くカイを逮捕したいという気持ちの方が強い。そして、ジェシーは、マイクにとって、カイを逮捕する際の障害になり得る存在だ。

マイクは、ジェシーと対立しなければならないかもしれないという想いを、できるだけ考えないようにしていた。

マイク、リン、そして剣持の三人は、T市内の有名娯楽施設をいくつも回った。

「…すいません、カイさんっていう人、最近見かけませんでしたか?」

と、用心棒のような屈強な男たちに、写真を見せながら、こっそり聞き込みを行った。

しかし、どの店でも

「…知らないな」

と、否定的な返答しか返ってこなかった。

さらに悪いことに、情報筋によると、ここ二日間、他のカール・ギャングの組員たちも、これらの娯楽施設に姿を現していないというのだ。

この情報に、マイクたちはすっかり当惑させられていた。

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