10 カイの捜索: T市警察の挑戦①
警備部に戻ってきたマイクとリンは、早速剣持に今後の捜査方針について話を聞きに行こうとした。
しかし、カール・ギャング本部での前回の一件以来、マイクに対する署長の態度はどこか冷淡なものになっていた。
業を煮やしたマイクは、リンを横目に剣持に話しかけた。
「…剣持さん、そろそろ今後のカイの捜査計画について話しましょうか?」
マイクの問いかけに、剣持は少し困ったような表情を浮かべた。
「…実は、今、カイの捜査計画っていうのは無いんだ」
剣持の言葉に、マイクとリンは同時に驚きの声を上げた。
「…え? 捜査計画が無いってどういうことですか? 剣持さん、前にあなたはカイの担当責任者だって言ってましたよね!」
マイクの抗議に、剣持は気まずそうな笑みを浮かべて答えた。
「…ああ、確かに… 以前はそうだったんだけどね。今はもう違うんだ」
「…なんでですか? 何かあったんですか?」
しつこく食い下がるマイクに対して、剣持は言葉を濁した。
マイクは、前回のカール・ギャング本部での自分の行動が、署長の機嫌を損ね、署長から剣持が責められているのではないかと推測した。
「…すいませんでした、剣持さん。 あの時のことで剣持さんが困ったんじゃないですよね?」
と、マイクは謝罪の言葉を口にした。
しかし、剣持は首を横に振り、
「…いや、それは関係ない」
と、否定した。
マイクは腑に落ちない様子で、
「…じゃあ、なんで急にカイの担当を外されたんですか?」
と、更に食い下がろうとしたが、剣持はそれを遮って
「…それは俺には話せないんだ」
と、渋々答えた。
沈黙が流れ、気まずい空気が張り詰める。
業を煮やしたマイクは、
「…ちっ、所詮、あの上司はケチくせえな。 少しの失敗で担当を外すなんて…」
と、ぼやき始めた。
剣持は、マイクの発言を遮るように、
「…署長が悪いわけじゃないんだ。 今回の件は仕方ないんだ」
と、マイクを諭すように話した。
「…じゃあ、今は誰がカイの担当なんですか?」
と、横で黙っていたリンが合流するように尋ねた。
「…今は署長自身がカイの担当をしている」
剣持は、少し肩を落としたように答えた。
「…局長自身が作戦を立てているんですか?」
マイクが確認するように尋ねると、剣持は
「…何も知らされていない」
と、肩を落とした。
「…カイの手下から情報を聞き出せないのか?」
マイクは、諦めずに粘った。
「…カイの元の手下は、刑務所に入っているか、表立って活動できない状況だ。簡単には見つけられない」
剣持は、現状の難しさを説明した。
「…さすがT市警官、優秀ですね。カイはすっかりあなた方に怯えて、姿をくらませているようです」
リンは、皮肉めいた笑みを浮かべて言った。
剣持は、
「…刑務所に入っているのは、大した役割のない小物ばかりだ。外の者たちも、口を割るような真似はしないだろう」
と、苛立ちを隠せない様子だった。
朝から話し合いを重ねたものの、結局、マイク、リン、そして剣持の三人は、有効な手掛かりを見つけることはできなかった。




