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探偵マイク  作者: 光翔
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9 カールギャングの遺言②

カルテル・ギャング本部。

組長の急逝に、組織内は悲しみに包まれていた… とも言い切れない空気が漂っていた。

リーダーを失った喪失感は大きかったが、中には、この混乱に乗じて野心を燃やす者もいた。

歴史上の偉人、シーザーの死後、後継者を巡って争いが起こったように、カルテル・ギャングでも、新たな組長候補をめぐって、権力闘争が始まろうとしていた。

幹部たちは、次期組長の選出を話し合う緊急会議を開こうとしていました。

そんな中、ジェシーは、組長候補の話などどうでもいい様子でした。

琢見の死の悲しみは癒えず、会議に出席する気にもなれませんでしたが、

「…今は、お嬢様が会議を取り仕切るしかいない。故組長の娘さんであるお嬢様だけが、候補者たちの意見を取りまとめることができる」

と、幹部たちに説得され、渋々会議室へと足を運びました。

会議室の主賓席に座らされたジェシー。

幹部たちは、左右に分かれて席に着いた。

ジェシーの右手、上位の席に座ったのはカイだった。

ユースケを殺害したことで、カイの組内での立場は向上しており、次期組長を狙う野心が隠せません。

真っ先に口を開いたのは、広志ヒロシだった。

「…次期組長候補として、カイを推します! カイはこれまで、組織に多大な貢献を果たし、莫大な利益をもたらしてきました!」

広志は、カイの功績を強調し、次期組長にふさわしい人物だと主張した。

しかし、古市はすぐさま反対の声を上げた。

「…カイは若すぎる。経験も浅く、物事を冷静に判断できるかどうか怪しい。組長には、カリスマ性だけでなく、組織をまとめる力が求められる」

古市は、カイの年齢と経験不足を理由に、次期組長候補としての適任性に疑問を投げかけた。

古市は、ジェシーを次期組長候補に推します。

「…故組長の娘であるお嬢様が、この組を継承するのは当然でしょう」

古市はカイに対してかなりの不満を抱いており、彼が会長候補になることを望んでいません。過去の会長への敬意を表して、古市はジェシーが次の会長候補になることを支持しています。

この提案に対し、他の幹部たちは曖昧な反応を示した。賛成も反対も明言せず、様子見の姿勢を取っていた。

カイ派とジェシー派に分かれた幹部たち。

会議室は、緊迫した空気に包まれていた。

人員比で言えば、カイ支持者が約4割、ジェシー支持者が約3割、残りが中立という構図だった。

組織の未来を左右する大事な会議は、緊迫した空気に包まれていた。

ジェシーは、この状況を冷静に観察していました。

彼女自身、次期組長の座を狙っているわけではありませんでしたが、自分がこの場に立たされることで、組織が分裂の危機に瀕していることを痛感させられました。

ジェシーは、ただ呆然と会議を見つめるのみだった。

そして、各幹部の思惑が渦巻く会議室の中で、決断を下さなければいけない立場にいる自分に、複雑な感情を抱いていました。

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