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23. Komm wieder

 仕事を終えたドミトリーが皇太子に報告を行った。

「抵抗が激しく、ほとんどの者が自害しました。わずかに生き残った者に尋問を行うと、雇い主は皇太子妃殿下と口を割りました。多額の金銭や宝石を払われて仕方なくと命乞いをしています」

「ドミトリー、どうすればいいかな?」

「殿下にお任せします」

 ドミトリーは顔を深々と下げた。

「殺すのが定石だろう。皇太子妃がやったということが公になれば、私も危うくなる。生き残った人間が有能ならば生かして使ったほうがいいと思うが、どうかな?」

「いいえ、彼らより有能な騎士が殿下には山ほどついております」

「そうか、では殺してくれ」

「はっ」

「ドミトリー、頼りしているよ。今も、これからも」

「身に余るお言葉です」

 失礼致しますとドミトリーは立ち去った。皇太子は重く息を吐いた。少し疲れているように感じた。

 翌朝、ラインハルトは先に帰ることとなった。

「皇太子妃と話すのであなたは後から来てください」

「わかった。余計なお世話かもしれないが、二人で話すより誰か間に入れた方がいいかもしれないよ」

「わかりました」

 ラインハルトはドミトリーでも間に挟もうかなと検討した。

「ソフィア、私に何か買ってきてくださいね」

「もちろん、ニッコロ君にも何か買いたいよ」

「そうですね」

 ソフィアはニッコロを随分気に入ったのかなとラインハルトは感じた。少々不満だ。

「ソフィア、あの答えをくださいね」

 そう言うと、ラインハルトはさっと馬車に乗り込んだ。

 ソフィアは見送り終えた後、部屋で寝ているニッコロ君に会いに行った。

「ニッコロ君大丈夫かい?」

「はっ!」

「あなたのおかげで助かった。ここの伝統衣装でもプレゼントしたいな。皇太子殿下の許可も取ったよ」

 ソフィアはイェーイとVサインをしている。ソフィアの中ではあの会話の中で許可を取ったことになっていた。

「えっと、その……」

「なーに?」

「あ、あの、妻に」

「へえ!じゃあ、奥方とお揃いにしようか。サーシャ、どれが良いか選びに行こう!」

 サーシャの趣味はとっても良いから安心してとソフィアは街に飛び出た。当然のように、別の護衛を付き添わされていた。ラインハルトは過保護だとソフィアは感じている。

「殿下に何か聞かれたんですか?」

「後輩としてしか見れないのかって言い逃げされた」

「はぁ」

「答えは帰ってから聞くってさ」

「早く帰りましょうよ」

「皇太子妃とゆっくり話したいんだろうよ。明後日には帰ろうか」

「ちゃんと答えてあげてくださいね」

「うん」

 ソフィアは何て言おうかと考える。後輩として思っているがそれだけじゃないということを何て伝えればいいのだろうか。相手に何かを伝えることはとても難しいものだ。

 その翌日、ドミトリーから急ぎの使いが来た。彼の手紙によると皇太子妃が皇太子を刺したようだった。皇太子の容態は書いていないが、至急帰りますようにとあった。

「サーシャ、帰ろう」

「何かあったのですか?」

「馬車の中で話す」

「わかりました。支度します」

「ニッコロ君、先に帰ることにしたよ、悪いね。あなたは少し休んでから来なさいな」

「申し訳ありません!」

「君のおかげで命が拾われたよ、ありがとう!」

 昨日買ったお土産の服はここに置いておくよとソフィアはニッコロ君に伝えた。

「ハザマブルク、大変良いところでした。次はもっとゆっくりしたいと思います」

「またお待ちしております」

 町長に挨拶を済ませると、ソフィアは急いで馬車に乗り込んだ。ソフィアとサーシャは行きと同じように馬車で一日かけて帰っていった。

「何があったんですか?」

「どうも刺されたらしい」

「誰が誰にです?」

「ハルがマリアナに」

「皇太子妃が?」

「理由はわからない。帰ってドミトリーにでも聞こう」

 ソフィアは落ち着いた様子でサーシャの質問に答えた。

「大丈夫ですか?」

「詳しい容態は書かれてなかった」

 サーシャは皇太子も心配ではあったが、それよりも目の前のソフィアが心配だった。

「ソフィア様は大丈夫ですか?」

「さぁね……」

 それっきり、ソフィアは黙ってしまった。行きとは違って静かな帰り道だった。






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