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死者と生者のスパイコンビ  作者: ノーム
7/12

6話 めるでーと

「なーんだ。寿命が延びましたねぇ。てっきり今日お亡くなりになるかと思ったのでデートに誘ったんですが」

「縁起が悪い縁起が」

 今、俺はメルと共にショッピングモールにて買い物をしていた。

 なんでも、今日俺が危険度MAXの任務行ってくるわとか言ったらデートに誘ってきた。

 その理由は今日で俺と会うのが最後だからと。

 …ひどくない?

「ああっごめんなさいっ!まさかそんなに悲しんじゃうとは思わなかったもので…」

「泣いてねーよっ!」

「いや別に泣いてるとか言った訳じゃ…」

 そんな事をくっちゃべりながら(ほんとに泣いてない)メルの洋服や化粧品などを買いあさっていた。

「金、いっぱいあんだな…」

「先輩みたいに3と0六個円のお墓とか買っていませんからね。それにしばらくサボってたからですよ」

「くっ…!」

 ぐうの音も出ない。

 なにせエステルを失ったしばらくは引きこもっており、メルから「今週中に来ないと死刑みたいですよー」とか言われたから強制的に復帰させられた。

 …せめて二週間ぐらいの休みはほしかった。

 「俺はともかくお前はまだ正式隊員じゃないのに何故そんな稼げる?スパイとしても人間としてもまだヒヨッコなくせに」

「ああー言いましたねカイロット!私もう十七歳ですっ!ファーレよりたったの二個下です!」

「お…お前。まさか呼び捨てで名前を呼ばれる日がくるとは思わなかったぞ!俺もう来週で二十歳だし!立派な大人ですけどぉ?」

「えっ…来週先輩誕生日ですか?来週ってエステルのお墓がたてられる日じゃ…」

「ああそうだ。俺の誕生日と被るな」

「わざとですか…?」

「んなわけねーだろ!」

 いくらエステルが好きだからって墓を自分の誕生日にたてる訳ないだろ…。

 縁起も悪すぎるだろ…。

 こいつ先輩様の事を舐め腐ってやがる…!

 そんなこんなのやり取りを周りの人達にチラチラ見られながらショッピングモールの道を歩く。


1時間後


「…長くないか?俺とエステルは服なんて店に入った瞬間に手前の服とって会計行くぞ?」

「いや二人がおかしいだけで普通一時間とか短い方ですからね?」

「まじか…」


2時間後


「おかしい…絶対におかしい。滞在時間と買っている量が反比例している…」

「世の女性は大体このくらい掛かりますよ。このくらい大きいショッピングモールは三時間掛かってもいい方です」

 ついさっきやっと買い物が終わり、ショッピングモールにあるコーヒー店にてコーヒーとクリームパンを買ってくっちゃっべっている。

「よくねぇよ…。主に俺が…。ああー!俺の休日があああああ!」

「うるさいですね。良いじゃないですか。美少女とデートだなんて世の男性達の夢ですよ。ていうか今日の夜一応仕事あるじゃないですか」

「情報屋だかんなー。別にそこまで疲れないからいいけど。ロットの奴大丈夫かなー?」

「大丈夫ですよ。あの人の方が先輩より強いです」

「お前って…結構ひどいよな?」

「あれ…?先輩って私に罵られたかったんじゃないんでしたっけ?」

「断じてない。一切言っていない」

「今日のデートの名前めるでーとにしませんか?」

「…何でもいいぞ…」

 今話し繋がってたか?

 それはともかくさっき店員がテーブルに置いたコーヒーを飲む。

 …苦い。

 エステルの前では常にカッコつけようと頑張ってコーヒーを飲んでいたので飲まなくはないが…。

 メルの前では別にカッコつけないかいいか…。

「はい。別にカッコつけなくてもいいですよ?もう先輩の威厳とかどっかに捨てちゃいましょうよカイロット」

「せめて形だけでもいいから俺の名前に先輩をつけてください後輩」

 そう言いながらメロンソーダを頼む。

 コーラ?

 今の時代はメロンソーダだ。

「あ、じゃあコーヒーもらいますね?」

「どうぞ」

 メルがコーヒーを飲む。

 美味しそうにしているのがなんかムカつく。

 …エステルもコーヒー美味しそうに飲んでたなぁ。

 何かあるたびエステルの事を自分が恥ずかしいが。

「おいしーです!」

「いつの間にショートケーキを頼んでいた…?」

 美味しそうにコーヒーを飲みながらショートケーキを食べるメル。

 …合うのだろうか?

 そんな事より…。

「早く帰って寝たいんでくけど」

 ガルーズさんを殺した奴を探すのは明日からにする。

 只今午後4時30分。

 俺、一昨日から寝ていないのである。

「そうでしたねそういえば。あ、じゃあばいばーい」

「軽くね?酷くない?今日頑張って付き合ったのに…」

 そんなこんないいながらショッピングモールを出る。

 …早く寝たい。

 タクシーで家の前のコンビニまで送ってもらい、家に向かう。

 あくびをしながら眠気を必死に抑える。

 人って二日も寝ないと脳が酒で酔っ払っている人と変わらないらしいぞ…。

 「5時だから…後6時間ぐらい寝れるか…」

 俺はそのまま家に入りすぐに寝た。

 

 *


「お前…何企んでんだ?」

「いんや。何にも」

 執務室にて、バジルとロットが睨み合っていた。

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