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死者と生者のスパイコンビ  作者: ノーム
11/12

9話 毒ガスかす

「完全に黒やん」

 もっかい言った。

 今、俺っちの後頭部に銃がある。

 これ日常。

 ほんとやよ。

 任務の度にポカやらかして絶対絶命になる。

 まあそこからが俺の本領発揮でさいきょーの力でドーンとできるんだけど。

 チックタックと天井近くの時計の音だけが響き、普段意識していなかったそれがやけに耳につく程の沈黙の中。

 執務室の中にスパイ4人が居た。

 1人は顔に笑みを貼り付け、1人は男に銃を突きつけており、1人は後頭部に銃口をつけられており、1人は銃を仲間に突きつけている男を警戒してじっとしている。

 そんな状況。

「…で、俺達はどうなる?」

「別に新しい仲間を紹介しただけだよ。特に意味はない…と言いたいところだけど含みとしては、これ以上踏み込むな、だ」

 ロットの質問にバジルが応答する。

「含みとしてはなんて言葉はない」

「言わないと気付かなそうだったからな」

「バジル!」

 ロットとバジルの間にリオ…ラオールの言葉が入り込む。

「…高くつくぞ?これは」

「知っとるがな」

「あるのか…?」

「ないさ。今はな」

「アテは?」

「稼ぐのさ。アテはないが」

 真剣な顔のラオール、顔に胡散臭い笑みを貼り付けるバジル。

「金の話しなら2人でやってんくね?」

 さっきから後頭部の銃が怖すぎる…。

 まぁ対処は出来る。

 たかが銃なんて。

 …だけどこいつはあの最強エステルを倒している。

 一緒に[異能力]者のカイロットも。

 多分、マーガレットもこいつに負けている。

 マーガレットは別だがエステルとカイロットは[異能力]者だ。

 ラオールは特別な武器を持っているとか…こいつ自身もか。

 とにかく。

「帰っていいか?」

「いいだろう。英気を養い、夜に励めよ」

「分かったよ」

 後頭部に突き付けられていた銃が降ろされた。

 ほっとしながら部屋を出ていく。

 扉に手をつけた瞬間。

「バン、だ」

 バンッ!

 静かな部屋に響く銃声。

 それは発射されてから一瞬で俺の頭をつけ抜けようと…。

「なっ!」

 すぐさま振り返る。

 そうして俺は能力を発動させ…。

 なかった。

「はっ!?」

 バジルはバン、と言った瞬間にすっとんきょんな声を上げる。

 …当たりだ。

 おそらく俺の能力を把握する為の攻撃なんだろう。

 だから俺が何も防御反撃不思議な力を使わないと…。

「つっ…」

 バンッ!

 俺の額に当たる寸前だった玉がバジルの銃撃と共に落とされる。

 俺の足元には玉が2つ転がっていた。

「…ラオール。次からは実力を試そうとしても仲間を打ってはいけない。分かったな?」

「…ああ」

 本人達も完全に意味がないやり取りだと分かっているようだったが念のためというか一応やっていた。

「ちっ。小芝居が」

 さっきから見ていただけのロットが舌打ちと共に執務室を出ていく。

「んじゃあ俺も今度こそ英気を養ってくるわ」

「…ああ、どうぞどうぞ」

 俺もそう言って執務室を出ていく。

 ラオールは相変わらず無表情だが…。

 バジルの顔は引きつっていた。

 

 

 それが9時間程度ぐらい前の出来事。

 


 現時刻、2時30分。

 たっぷり睡眠をとり、たっぷり女達と遊んだ後。

 俺はどこかしらの組織のアジトの一本道を歩いている。

 「しっかしここひっろいなー。俺達って王族の五本指の一つとか言われてっけどここの比じゃない程小さい…」

 俺達[王国宮廷スパイチーム]のアジトは執務室一室だけだからな…。

 ここは地下。

 まあデカくて目立たないっていったら地下しかない。

 しかも金さえ支払えば貴族の領内にだって作る事だって出来るし、業者と協力したりして隠れたりしていられる。

 月に莫大な金額がかかるだろうがその分盗んだりしているんだろう。

「でも人っ子1人居ない。どんな金持ちの人間でも、傲慢な奴でも、1人や数人で住むならこんなにでかい必要はない。…アタリ、だな」

 俺が歩いていると、扉があった。

 俺はなんも気にせずその前をあるくと。

 プシュー!

「わお…えげつな」

 急にドアが開いて誰かがガスを噴出しだした。

 恐らく毒だろう。

「すまんなバリッテット。お前は邪魔だ」

「ほう…」

 毒ガスを恐れ多くも俺に噴出しやがったのは、バジル・トラントフォードだった。

 もちろん、ガス対策の呼吸器をつけている。

「これは即効性かつ強力な毒ガスだ。いくら毒系の任務を何回もこなしているお前でも毒くらって平気な訳じゃないだろ?」

 バジルはほくそ笑みながら、自分の勝利を確信した小物みたいに言うが…。

「ついに俺の能力が舞台上にあがってきたか…。んー!考え深いっ!」

 俺は舞い上がっていた。


 



 

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