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死者と生者のスパイコンビ  作者: ノーム
1/12

プロローグ 終わり、そして始まり

「私は負けた事がないんだ。だから今回もきっと成功する!」

 それは、エステルが任務前に必ず言う口癖。

 俺は頭を掻く。

 どうしてこの女はいつも緊張感が一切全くこれっぽっちもないんだ…。

 危険度MAXの任務だってのに。

「あのなぁエステル。そう言って緊張感なく油断してるといつか死んじまうぞ?」

 エステルはその美しい金髪の髪を揺らし、その美しい顔で笑うと。

「大丈夫だよ。私は今まで死んだ事がないので」

「生きてる生物はみんなそうだよ」


 今思えば幸せだった。

 コイツと…エステルと一緒の日々が。

 …なのに、なんで。


「心配性だなぁ、カイは。大丈夫だよ、私は死なない。死ぬとしても、その時はカイと一緒に死んであげようじゃないか」

「やめてくれよ…。迷惑だ」

「迷惑で片付けられるカイもすごいよ」


 この瞬間がずっと続けばいいのに。

 エステルといる時はいつも思っていた。

 終わりが来るなんて思ってもいなかった。


「じゃあそろそろ行こうか。待ち合わせは此処でね」

「ああ、また後で」

「うん、また後で」


 俺とエステルの…最後に交わした言葉が。


 それぞれが行くべき場所へ移動しようとすると、急にエステルが。

「終わったら[デリシャス]行こうね!」

「うるせーよ!バレたらどうすんだ!?」


 レストラン[デリシャス]に行こうって、重大な任務中だってのに。

 …油断してたから。

 その任務でエステルは死んだ。

 その後の記憶は今となっては異様に曖昧で、所々抜けているような部分がいくつかある気がするが…。

 それだけ悲しかったって事か。

 思い出したくもないから別にいいが…。

 もう…、会えないんだよな。

 もう…、話せないんだよな。

 エステルの墓の前で、俺は手を合わせながら思い出していた。

 エステルとの日々を。

「もう…、一緒に[デリ]にも行けないんだよな…」

「じゃあ行こうか!」

 思わず呟いていた。

 墓に話しかけても返事は返ってこないって、分かっている…の…に…?

 …今幻聴が聞こえた気が。

 疲れてんのか俺?

 俺は思わず手を合わせたまま顔を上げると。

 エステルがいた。

「やれやれ。疲れているな俺。いくら好きだからといっていつまでも死人なんか…」

「ひどいなぁ、カイは。折角成仏せずにカイと一緒にまた冒険を始めようと思ったのに。ていうか早く[デリシャス]行こうよ。告白ならそこで聞くからさ」

 …幻覚にしてはやけに饒舌。

 俺はいつの間にか出ていた涙を拭う。

 そして目を擦る。

 そして目を開く。

 そこには…案の定エステルが居た。

 首を傾げて俺を不思議そうに見ていた。

 …嘘だろ?

「なあ…お前は………。エステル、エステルなのか!?」

 するとエステルは美しい金髪を揺らし、その美しい顔で笑うと。

「エステルだよ。エステル・レイフォード本人だよ」

 その後、エステルは泣きそうな顔になり。

「久しぶりだね、カイ!」

 美しい声で俺の名前を叫んだ。

「それは最初にいうセリフだろ?」

 俺も思わず、また目に涙がいっぱいになり。

「ああ。久しぶりだな、エステル!」

 目から涙をこぼしながら言った。

「うん!」

 エステルが俺に飛びついてきた。


 深夜の墓場に、2人の泣き声が響いた。






どうも初めましてこうろぎです。この[しせこん(死者と生者のスパイコンビ)]は僕の2作目の作品です。1作目はノベルバにて連載中の[超能力という名の呪い]です。この作品題名めっちゃ迷いました。最初は、なんかいい感じに[いつまでも、君と]という題名だったんですが、この作品に似合うのかなー?って事で[死者と生者のスパイコンビ]となりました。そんな事はともかく、読んでいただきありがとうございました。これからも何卒…っ!よろしくお願いします。

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