第23話 代理戦決着
まず体力切れまで粘るのは却下だ。あのシールドがある以上、安全に休憩されてしまう。
それでも生身である以上いつかはその時が訪れるだろうが、こちらの負担も大きい。
──それに何より非常に見栄えが悪い。
《そうですねー。配信されていますので、出来れば華麗に勝利してもらいたいですー》
──撮れ高があると何か良いことあるの?
《セレステがPVに使うって言ってますのでー》
──カナリーちゃんも編集チェックはしてよね。
つまりこの神様は、相手の神に自陣が負けた映像の編集をやらせる気であるのだ。けっこう鬼畜。
こちらの見栄えが悪くなるような編集をされない事を祈るばかりだ。
となればあまり無様な戦いは出来ないが、かと言って無茶してどうなるものでもない。
用意した特殊スキル、<銃撃魔法>はあのシールドと相性が悪い。点の攻撃であるため最小限の面積で防がれてしまう。
上位に<砲撃魔法>でもあればマシになるかも知れないが、大砲を扱った経験は無いので望み薄だ。
なんにせよ、動かなければ始まらない。攻撃を再開する。
「ってマジか! 無茶しやがる。この鎧に生身で殴りこんで来たのはお前が始めてだぜ!」
「ははっ! 案外生身なら素通りかも知れないのに、みんな勿体無いな!」
「んわけねぇだろ!」
まだ戦闘距離は至近のままだ。
魔法の銃撃を体の周囲から多数浴びせながら、僕自身も格闘でシールドに攻撃を加える。
当然、素通りとはいかずに弾かれる。
この瞬間、ユキと同じように<魔拳>も習得したが、それは使わない。あれはMPを使用した近距離用の攻撃魔法だ。
MPは銃撃のコストとして利用し、直接殴る事によってHPを打撃のコストにする。反動でどんどんこちらのHPが削れていくが、どうせ聖剣の一撃をまともに受ければHP最大値でも耐えられない。
ならばゼロになるまでは便利な資源だ。片方だけ使わないでいるのは勿体無い。
「ちっ、どうなってんだお前の体……!」
「聞いてないのか? 僕らの体は魔力製だ、補充が可能なんだよ!」
「このインチキ野郎めがっ!」
「お前が言うなッ!」
インチキ装備で身を固めている奴が何か言っている。
回復薬でHPを補充しながら連打を継続する。
王子も以前のように重心を乱されてはいない。シールドで守られたその身は常に安定した体制からの攻撃が可能だ。
しっかりと地に足を付け、落ち着いた構えからの剣閃を放ってくる。
故に読みやすい。
「ちょこまかと!」
「惜しかったけどねぇ!」
あえて紙一重で避け、次の攻撃を誘う。
勝負を急いで聖剣に魔力を乗せれば、それだけ敵のMPは削れる。
魔法の斬撃によって攻撃範囲を増やした所で、<精霊眼>によりその魔力量は事前に察知できる。
もう何度か聖剣から放たれる魔法は受けた。集まる魔力の量によっての攻撃範囲の差異は、拡大した認識力によって容易に計算可能だ。
僕はギリギリで回避しつつ、そして時にはその身に少しだけかすらせ、敵の無駄使いを誘発していく。
流石にこの距離で全方位攻撃されたら困るが、シールドの中も含む攻撃をしては自分もダメージを負うのだろう。自爆はしてこない。
横一文字に光の剣で薙ぎ払いを行ってくるが、こちらにも<飛行>がある。
<MP回復>のレベル上げの為に使い、無駄に育った<飛行>は役に立つ。横薙ぎを回避しつつ、その勢いで王子の頭上を飛び越え、スムーズに背後へと回り込む。
こちらの攻撃によって体制が崩れることは無いとはいえ、大技の直後だ。
しかも死角に回っている。遠慮無しの連続攻撃を叩き込んだ。
「ちっ」
肉体的なダメージは無いものの、流石にうっとおしそうに顔を歪める。
振り返って再び向き合う事はせず、王子は僕から距離を離した。
◇
HP347/347
MP1104/1713
「相変わらず曲芸じみてやがるな。鎧が無かったらと思うとゾッとしねぇ」
「ため息つきたいのはこっちだね。完全に死角に入られたんだ、大人しく終わっておくのが礼儀だよ」
この状況に嫌気がさしたか、回復につとめるのか、言いながら王子はバックステップで更に距離を取る。
僕も追わない。どうやら格闘でのダメージでは、削り切るのに相当の時間がかかる。
そろそろ王子も慎重になる頃だ。攻撃による消耗も減っていくので、その分また時間は増す。
HP回復薬は在庫も少ない。<神託>のために、備蓄はMP回復薬に優先して回していたからだ。
このままやっていてもダメージレース、つまり、お互いの消耗度合いの比率はこちらが不利だ。
回復薬はどんどん減っていくだろう。
「仕切り直しだ」
「いや仕切り直させはしない」
近接で削りきるのは廃案となったが、与えたMPダメージまで無かった事にしてやる義理はない。
時間を与えてしまっては、せっかく削ったダメージを回復されてしまう。
距離を取られたならば今度は遠距離魔法で攻める。
<銃撃魔法>で牽制し移動方向を誘導させつつ、コストに大量のMPを注ぎ込んだ<火魔法>で狙い撃ちにする。
巨大な火炎が王子を包み、シールドに満遍なくダメージを与えていく。
<精霊眼>で内部を観察すると、王子は炎の勢いに身を固めているようだ。そうしているとシールドが削られるだけだが、人間である以上、炎にひるむのは仕方ない。
が、そこは百戦錬磨の王子。すぐに気づき脱出する。
その予兆を<精霊眼>で読み取り、移動方向に向けて次の火炎を放つが、王子はもう意に介さずシールドに任せて駆け抜ける。
「多段ヒットしないと弱いね。単位時間あたりの効率は銃撃でガトリングした方が上か。つくづく優秀な防壁だね」
走って脱出されると、大量のMPをつぎ込んだにしては効率が悪い。
普通ならそんな事は難しいのだが、あのシールドがあれば炎威に脅かされる事なく機動力が発揮できる。
《でも、ハルさん。これなら走らせて体力を削れますよー。『ははは! 走れ走れ!』って言いましょうー。『走れ走れー!』って》
──悪役すぎるからヤダ。悪者として全国放送されちゃうよ。
楽しそうなカナリーの提案は却下するが、言う事は正しい。
防御を抜く事に固執せずとも勝利する方法はある。
今の提案がまず一つ。いかに王子が鍛えてるとはいえ、炎に巻かれるストレスを受けながらの全力疾走は急速に体力を奪っていくだろう。
《内部からの攻撃にはシールドは発動しないでしょう。地雷の設置を提案します》
《いいですねー》
──だめでしょ。死んじゃうよ。
《では、指向性の無い攻撃にはシールドは発動しないでしょう。毒殺を提案します》
《それもいいですねー》
──だめでしょ。やっぱり死んじゃうよ。毒殺って言っちゃってるし。
《ならば、ハル様は<光魔法>による大光量をご用意ください。私が調整を加え、視覚過敏症を引き起こします》
《だめですー。それは禁止させてください。か弱い子羊ちゃん達も倒れちゃいますー》
──カナリーちゃん、取って付けたように神様っぽい事言わないで、ユーザーって言って?
珍しくカナリーがこちらの行動を制限する。神様は現地の法だけでなく外の世界の法律も守らなければならないようだ。世知辛い。
──まあ目潰しくらいはするとして。
「うぉ! 何だぁ!?」
視界を封じ、更に炎で炙る。熱さを肌で感じられない王子は上手く抜け出せなくなる。
──しかしやっぱり威力が弱いね。HPもMPも大量にコストに使ってるのに。
《ハルさん攻撃魔法は鍛えてなかったのが仇になりましたねー》
《しかし<MP回復>の強化が無ければ、この状況に持ち込む事そのものが不可能だったと言えます》
そう、結局は時間が足りないのだ。
昨日の準備で少しだけ認識拡張を行ったが、成果は<精霊眼>と<銃撃魔法>の習得だけ。
それ以上は負担が大きく、今日の試合に障ると黒曜に止められた。
そして僕は思考が分割されている影響か、普段は新しいスキルを覚える事が出来ない。
このゲームのシステムは、統合されていない一部だけしかない僕では、正しく世界を認識していると判定してくれないようだった。
──ならばこの場で新しいスキルを覚えるしかない。
《<毒魔法>ですね。調合はお任せください》
──黒曜、毒殺から離れよう。
《どうするんですー? 新しく魔法を覚えたとしてもレベル1では威力は期待出来ませんよー》
《そこは我々の得意分野を活用します。我々は元々情報を扱う事が専門です。魔法であれ、それは情報の塊。そこに介入します》
その通りだ。……解っていて毒殺などと言っていたのだろうか。
今は<精霊眼>によって魔法を構成する情報が見えるようになっている。聖剣の張るシールドも、よく目を凝らせば複雑な魔法の構成式、プログラムで織られていることが分かる。
もう何度も、攻撃を加える事によってそのプログラムの発動をさせてきた。式の意味が解らなくても、どの部分が起動すれば、どの効果が発動するか逆算できる。
だがそれに介入する方法が無い。
無い訳ではないが、非常に難しい。プログラムも魔法だ。魔法で干渉すれば、触れる事は一応出来ない事もない。
が、それは電子回路を針でつついて制御しようとしているのと同じだ。望んだ効果はまず得られない。
──僕はその習得に意識を回す事にする。黒曜、収集した敵の癖のデータを送る。それを使って攻撃パターンを算出して回避を指示しろ。
《算出します。算出完了。ハル様、敵を通常のゲームのモンスターと同列に定義すれば、13手でループに持ち込めます。定義しますか?》
──……いや、人間として定義しろ。
《御意に》
アイリを人と認めるという事は彼も人と認めるという事だ。都合の良い認識はしない。
僕は炎による攻撃を止めて、意識を魔力の流れに集中させる。
◇
攻撃が止んだ事にしばらく警戒していた王子だが、これ以上今のを続けられてはかなわないと思ったのか、再び接近しての短期決戦を挑んでくるようだ。
「メチャクチャやるなお前……。だが体術と比べて魔法は未熟なようだな! 戦場に出ればお前以上の使い手なんぞ山ほど見てきた。この程度屁でも無いよ」
──うわちょっと傷ついた今の。黒曜、今手が離せないから僕の口使って何か煽り返しといて。
《御意に。この黒曜にお任せください》
《やる気ですねー。ハルさん大丈夫ですー?》
まあ、最も僕を知っていると言っても良い黒曜だ。滅多な事は言わないだろう。
僕の秘密が暴露される状況でもない。
「《ははっ! その割にはヘトヘトじゃあないか戦場自慢! どうせ戦場では友軍の魔法使いに守って貰ってたんだろ? 君一人じゃ未熟者一人御しきれないのが現実さ!》」
「ぬかしやがるぜ!」
楽しそうだ。なんだが僕より饒舌だ。
だが実際に僕も言いそうな内容である。任せておいても大丈夫だろう。
《突進で<飛行>を誘ってからの切り上げ。回避は右へ》
動きは最小限に。黒曜の指示に従いサイドステップで回避する。
攻撃しなければ不自然か。すれ違いざまに魔法の銃弾を高速で連射し、撃ち込む。
「ぬるい攻撃だな! もう諦めちまったかぁ!?」
「《諦めた方がいいのは君のほうだよ猪王子。がむしゃらに突っ込んだところで、君が僕に攻撃を当てる事は出来ない! 君はどう行動しようが消耗していくだけさ!》」
「忌々しいが、加護がある! どう行動しようが鎧を抜けないのはお前の方だ!」
鍛えられた体が巻き起こす風とは別に、エーテルの流れを感じ取る。
空気の流れとは別に、人の体の持つ魔力、そして聖剣が大きくそれをかき乱す。
銃撃を発動する様子をゆっくりと認識してみると、周囲のエーテルを寄り集めて固め、弾丸にしていく様子が観察出来た。
エーテルそのものは自分で動かない。そのものとは別に、エーテルを動かす力が存在する。
それを総合して魔力と呼ぶのだろうか。
──リアルの方と同じか。エーテル、つまりナノマシンそれ自体は自分では何もしない。ただ“情報を伝える”だけだ。集積され、増幅された情報が他の物質へ伝わり現象を起こす。ならば魔力は何を伝えているのか。
《重力のようなものですかねー。ハルさんには今視覚として見えていますが、実際にそこにある訳じゃありませんー》
──混乱するね。だが哲学的な方向で考えても解決する事じゃないだろう。実際に活用されてる力だ。そのための基準があるはずだ。……カナリー達はどうやって魔法を使ってるの?
《それは当然、リアルのネットを経由してプログラムを走らせているんですよー》
──そりゃそうだ。当たり前だったね。でも発想の転換にはなったかな。視点を変えて考えてみるか。
《ハル様。<魔力操作>のスキルが登録されました》
《ハルさんに与えちゃいけないスキルが出ちゃいましたねー》
──ええぇー……。
◇
それでいいのだろうか。いや、これはゲームなのだ、それこそが正しい考え方か。
この世界の物理法則ならぬ、魔法法則の事を考えるのに固執していたようだ。
よくよく考えてみれば、このキャラクターの体だって魔力。それは最初から何度も説明されている。僕らは最初から魔力操作を行っていたのだ。
僕は指先に視線を落として握りこむ。
拡張された認識力により、ミリ単位より更に正確に指は動作した。
その意識を体の外側まで拡大する。
指のその先にあるエーテルまでが“僕の体”だ。僕の体ならば僕が自由に動かせるのは当然。球状に固め、高速で射出してみた。
「またそれか。珍しい魔法だが、威力があるわけじゃ無い。いくらやっても無意味だぞ」
そういえば戦闘中だった。
弾丸は王子のシールドに阻まれて消滅する。
《ハル様。音声の制御をお返しします》
「……そうだね。じゃあ、無意味な事はそろそろ終わりにしよう!」
右手を振りかぶり、殴りかかる。
銃撃で牽制して避けるばかりだった僕がいきなりまた反撃に転じた事に王子は一瞬動揺するが、すぐにシールドへ目を向け、落ち着きを取り戻す。
彼の言うとおりどれだけ殴ろうと無意味。ただし、それはこれまで。
「ここで、破らせてもらう」
「何を……馬鹿な!」
右手が最初の薄膜を割り開き、シールドが消える。
本来は消えた所で問題ない。それを感知して次のシールドが同時に発生する。
その処理を書き換えた。
拳が触れる直前、シールドを構成する魔法の式へ干渉し、“次のシールドは問題なく発生した”という信号を先置きした。
“もう二枚目のシールドは発生している”のでシールドを作る処理は起こらない。
「ぐおぉぉおぉ!?」
何日前かの再現のように、王子は派手に吹っ飛んだ。
ただし今度は間を置かない。ここで蹴りを付ける。
感覚は掴んだ。ウイルスプログラムで包んだ<銃撃魔法>でシールドに穴を開け、吹き飛んでいる最中の王子に<飛行>で迫る。
そのまま地面に向かって蹴り落とした。
「がはっ!」
「そのまま寝ていろ!」
地に落ちた王子に、威力を抑えた銃撃で追撃する。
この体は打撃の威力が出ない。王子は頑丈だ。格闘だけでは前と同じく、意識を奪うまでもっていけないだろう。
つるべ撃ちにするが、すぐにシールドが再生して防がれてしまう。
干渉出来たのは発生しているシールド部分だけだ。発生源である鎧があるかぎり何度でも再起動される。
「うっとおしい!」
左手を突き出し、前方の空間全てを意識下に入れる。
シールドを一気に消し去り、内臓への衝撃を狙った打撃を入れる。
消してしまえばシールドは数秒は再生しないが、これを続けるのはスマートじゃない。良い方法は無いものか。
「くっそっ、何が……」
王子が混乱を振り払うように立ち上がる。
全幅の信頼を置いていたものが消失した直後で、大した精神力だ。
「君の負けだ。もはや防御は意味を成さない」
「ぬかすな! だったとしても大人しく降参する訳無いだろ!」
「降参しろ。僕らと違って君は負ければ死ぬんだ」
このまま眉間を<銃撃魔法>で打ち抜けば終わる。だがそれはしたくない。
覚悟が出来てない訳じゃない。甘いのは分かってる。だが殺せば全て解決するとは考えたくない。
「殺す覚悟も無いってか!? 尚更負ける訳にはいかねぇ、そんな理念の無い奴に!」
落ち着いて見えた王子だが、精神的ダメージがゼロではないようだ。
攻めの姿勢の時は、言葉に頼る事など無かった男だ。
──良い趣味とは言えないが、そこを突いて切り崩すか。しかし決め手が欲しいな。カナリー、聖剣を停止させる方法は無いの?
《MPが供給されなくなれば停止しますよー。本体の解析はハルさんでもまだ難しいんじゃないでしょうかねー》
──<魔力操作>でMPを操作して奪えればな。でもMPってイマイチ解らないんだよね。HPが魔力なんでしょ。じゃあMPは?
《MPも魔力ですよー。そうですねー、電流と電圧のような関係でしょうかー?》
《ハル様。<MP吸収>のスキルが発生しました》
説明が上手い神様だ。MPを動かす感覚を理解する。
それを<魔力操作>で周囲から奪い集めるイメージを続けると<MP吸収>のスキルを習得出来た。
「何が理念だ。理屈を語るなと言ったはずだ。その理念でやる事が女の子の家を奪う事か!」
わざと良心に訴えるような言葉を選んで煽る。
……いや、正直言うと、面と向かって言ってやりたかった。
シールドを破り、王子に拳を叩き込みながら続ける。MP吸収は今一歩だ。行動不能にする必要があるだろう。
「だが王族だ! 覚悟はしているだろう!」
「その覚悟は必要なくなるさ! お前がここで僕に負けるからな!」
「できるわけねぇだろうがぁ!」
激昂が隙を生む。
王子が事ある毎に、国や民と口にする理由も気になりはしたが、そこまで汲んでやる必要は無い。
ここで事情を聞いたりするのは、流石に甘さが過ぎる。
これ以上問答を重ねる事なく、生まれた隙に付け込む。今回は容赦無く顔に、アゴに打ち込み視界を揺らす。
興奮で上った血と合わさり前後不覚となっている所に、<MP吸収>で根こそぎ奪い取った。意識が防壁になっているとでもいうのか。うって変わって、それは一瞬で終わる。
聖剣が輝きを失い、鎧は剥がれ落ちて鞘へと戻った。
ここで手刀で意識を刈り取れればスマートなのだが、生憎そういう技能は持っていない。
亜神剣を取り出して首に添える。……何かの拍子に切れてしまわないように王子の動きには細心の注意を払った。
「君の負けだ。降参しろ」
「…………降参、する」
ここでまだ抵抗されたら流石にどうしようかと思ったが、機能を失った聖剣に心が折れたか、王子は敗北を認めてくれた。
《試合終了です。お疲れ様でした。カナリー側の勝利となります》
ふたつの声が響き渡り、僕らは別々に転送されていった。
※誤字修正を行いました。




