第74話
第74話
府裸野リゾートホテル。
「帰ったら御爺様とお父様、お母様に報告をしないといけませんね。」
「ご婚約おめでとうございます、美月様、栞里様、風祭様。」
「ありがとう、工藤。」
「ありがとう、工藤さん。」
「ありがとうございます、工藤さん。」
「ところでこれからどうなさいますか?」
「観光しに行きましょう。」
「そうするか。」
「では観光地へと向かう車を手配してまいります。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
北開道冊幌市。
あれから数日間のんびりと3人で観光を楽しんだ。
そして今朝は遅い朝飯を食べながらまだ行った事のない観光地のどこへ行くかと話していると
美月に仕事の連絡が入り席を外す事になった。
なので会話は一旦そこで中断され美月が戻るのを待つ事にしたのだが
期を同じくして俺と栞里のスマホからけたたましい緊急事態速報の着信音が鳴り響いた。
速報を読むとそれはとてもでもではないが直ぐに信じられる様な内容ではなかった。
「はぁぁ、なんだこれ?」
コメリカ合衆国の原子力発電所が午前0時を境にして
次々と超高層建築物へと変貌しているとの事。
俺は慌ててどこか生中継をしている放送局が無いか近くにあるテレビを点けてみた。
幸いどの放送局もその話題で持ちきりで
緊急特番を組んで各分野の専門家が検証や考察を繰り返していた。
暫く見ていると内容は生中継へと変更した。
レポータの緊迫した状況が伝わってくる。
「突然の事に驚かれ信じられないでしょうが
我がコメリカ合衆国の領土内の原発が突如として謎の摩天楼へと変貌しました。
もう一度申し上げます。
我が国領土内の原発が突如として謎の摩天楼へと変貌しました。」
そして映像が切り替わりその摩天楼が映し出された。
霧に覆われはっきりと視認する事が出来ないが
現代の建物と比べると無骨な岩肌の円柱建築物はそそり立っている
とにかくそのスケールは物凄く、圧巻のひとこと。
塔の幅はドーム球場2つか3つ分くらいで天辺は雲を突き抜けているようで見えないので
もしかしたら成層圏へと届いているのかもしれない。
暫くその建築物の映像を眺めていたら突然頭が割れるほどの痛みに襲われた。
──ッ、何だったんだ今一瞬訪れた激しい痛みは?
・・━━ pipipi━━━━gagaga━━━━━━━━━━ ・・・・・・
『***システムの奴めエネルギー不足で融合してから46億年間ずっと眠って役に立たなかった癖に
今頃のこのこ起きてきて我々が節約して貯めたエネルギーをバカスカと使いおってから忌々しい。』
んっ何だ?スキルを取得した時の様な声が聞こえる?
『******の命令が最優先事項だかしょうがない。』
男性が2人?
『優先順位を変更する為には早くあのスキルの取得者に我々の元まで来て貰わなければなるまいが。』
『だがその対象者だが***システムの意思によって思考誘導や精神汚染に行動の制限がなされた痕跡が残っている。』
『確かに!!痕跡が残っているな。
欲求を無理に抑圧した弊害で言動や行動がおかしくなっても不思議でないレベルだぞ。
この状態で問題は起きなかったのか?」
『目的はなんだ?傀儡か?それとも******の残滓を見つけて暴走したのか?』
『取り敢えずは解除しておくしかないだろう。そしていずれ何処かで我々への協力を仰ぐしかあるまい。』
『そろそろ時間だ。我々が干渉できるのは如何やらここまでの様だ。』
『まだまだ******にはポイントが足らないから今接触してもしょうがない。』
『それは諦めよう。』
いったい何の事を言っているんだ?
『ん!、我々の会話が聞こえているようだぞ。』
『そうか!***システムは今ダンジョンを作るのに集中しているから
こちらへの干渉が緩んでいるのだろう。』
『我々の言葉を理解できるかどうかわからないが駄目元で伝えてみてはどうだ。』
『しかし時間が余り残ってない。』
『聞け!!このまま人形になりたくないのなら直ぐに精神防御系のスキルか職業を取得しろ。』
『迷宮転移スキルを取得してランクアップをさせろ、きっと役にたつはずだ。
そして100階層を目指し・・を・・手・・・─・─────── 』
今の言葉は俺に対して言った言葉なのか?
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
いまのは一体何だったんだ?
俺は神様にでもチャネリングしたのだろか?
勘違いで無ければ明らかに俺に対して話しかけていた。
傀儡や思考誘導されたなどの危険で怪しい会話が聞こえたが
会話の人物たちには悪意を感じられなかった。
それになんだか頭の中がすっきりしてきた。
俺の為になるアドバイスをくれたという理解で間違いないなら
急いで指示に従い精神防御系のスキルか職業を取得した方がいいだろう。
よく考えるとダイバーになった時はポイントを貯めまくって
スキルと職業を全制覇してやろうとか考えていたと思うのだが
何故かその気持ちも段々と薄らいでいき
必要ポイントの少ないスキルも取得せずポイントだけを貯め続けた。
普通はポイントを貯めて交換する事によって人外の力を得る事が出来ると知れば
ポイントが貯まれば必要無くてもコンプリートを目指すと思うのだが。
それに無制限にその力を欲したりするのではなうだろうか。
俺はこんなにも無欲だっただろうか。
それに俺は迷宮外でスキルが使用できるのに殆んど使用してこなかった。
身に余るのもあるだろう。
それに途中で大金を手に入れたからなのかも知れないとも思っていた。
今考えると本当に不思議でしょうがない。
何故今まで疑問に思わなかったのだろう?
だが・・それなのに?
突如として世界に謎の塔が出来だしてあの謎の会話を聞いてから・・
そう言えば解除すると言う会話も聞こえていた。
徐々に頭の中にあったモヤモヤ?霞が薄れたみたいでスッキリしだした。
今は考えてもわからないのだし気にしてもしょうがないのだが。
何か枷でも掛けられていたのが少しだけ外れた?それとも少しだけズレタみたいな感じがする。
思い返せば・・そう。
蟷螂の魔物のいる階層に入る直前
絶対にしなければならない訳では無いのに瓦礫を集めていた時の感じに少しだけ似ている。
俺は何かに操られていたのか?
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
今の状況にピッタリの職業があった。
≪等価交換≫
【職業・守護者】1,000,000PT
守護の円環
レジスト
結界防御
全環境適応
異邦耐性
精神防御
即死耐性
全状態異常完全耐性
封印完全耐性
物理完全耐性
魔法完全耐性
『交換しますか【YES/NO】』
<YES>
少々じゃなくかなりのポイントを使用したが背に腹は代えられない。
これだけの耐性があれば足りるだろう。
それにしても結構なポイントを貯め込んでいたな。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
守護者の職業を取得してからというもの急に頭がスッキリしだして変な気分だ。
今ではこれまでの行動や言動にちぐはぐで変な所があったのが理解できる。
そしてずっと普通だと思っていた頭の中を覆っていたあの霞が全くと言って良いほど今は感じられなくなった。
例えるならば自分の生活体験をするゲームの世界から目覚めたような感じだろうか?
さっきまでは選択肢がいくつかあってその中から選んでいた様な感じがする。
それが誘導だったのだろうか?
だが行動も自分で判断して何故そうしたかの記憶も思い出もちゃんとあるし
今が不幸なわけでもない。
寧ろ幸せ過ぎる状態だ。
結局俺を誘導したその存在はいったい何がしたかったんだろう。
勿論だが今までの行動に付随した愛情などの感情もちゃんとあるので
実情何も問題は発生しないはずだ・・たぶん・だが一体いつからなんだ?
気に入られたらブクマと
評価をよろしくお願い致します。




