第73話
第73話
「これからは私の事も栞里と呼んで下さい。
美月さんが少し羨ましかったんです。」
「わかった。これからは栞里と呼ばせてもらうよ。」
「じゃぁ時間も余り無い事だし俊介さんの写真を見せて貰いましょう。」
「はい。」
「待ってくれ、先に言っておきたい事があるんだ。
婚約指輪は改めて2人に贈らせて貰えないだろうか。
それと今まで待たせてすまなかった。」
「何言ってるのよ。
待ち続けたのは私達2人の問題であって俊介さんには全く関係が無いわよ。
あと婚約指輪の件だけど嬉しいけど考えたらこれも凄い御値打ちものなのよ。」
「いや、確かに効果は凄いがいつかは砕け散る物だから
改めて贈らせて欲しい。」
「わかりました。美月さん俊介さんの御好意に甘えましょう。」
「わかったわ。ありがとう俊介さん。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「わぁ可愛いですね俊介さんの赤ちゃんの頃。」
「本当ねえ。」
「いや、赤ちゃんは大体みんな可愛いだろ。」
「いいえ、そう言う事じゃないのよ。
自分の知らない俊介さんを知れるのが嬉しいのよ。」
「そうなんです。
何て言うかその今まで会えていなかった時間を埋めていくと言うかそんな感じなんです。」
「ふぅん。そんなもんなのか?」
「俊介さんは私達の子供の頃に興味は無い?」
「そう聞かれると知りたくなってくるな。」
「今度見せてあげるわね。もちろん2人分よ。」
「あぁ、楽しみに待っているよ。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「姉さん、アイツが来てるんだって?
どの面下げてこの家にノコノコ顔を出してるのよ?」
「だけどぉまだ病院に行ってないから会ってはいないけどぉ
大輝さんを治療してくれたんでしょぉ。」
「そうよ。この家と畑なんかを引換えにしてね兄弟なのに・・あの業突く張りがっ。」
「それはぁ私も会った時に言ったわよぉ
弟さんなんだからぁお兄さんを支えてあげないといけないわって。」
「姉さんは甘いわよ。
アイツ今でも僻んでるのよ。姉さんと私が大輝さんと結婚したから。
あんな冴えない奴にいい人なんてできる訳が無いじゃない。
どうやって鷹宮に取り入ったのか知らないけど、すぐに化けの皮が剥がれるに決まってるわ。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「おふくろ。
俺の部屋の荷物は片づけてあるから後は好きにしてくれ。
もう二度とここには来るつもりは無いからな。」
「ああ。わかったよ。」
「お義母さんはアイツに文句は無いんですか?」
「いやぁ無理だって。今は債権者でその上、相手はあの鷹宮だよ。」
「家族同然とか絶対に嘘に決まってるわよ。
交渉を有利にする為に決まってる。
そうじゃなきゃおかしいじゃないアンナ奴に。」
はぁぁ騒がしいと思ったらアイツが帰って来てたのか。
それに何度言ったらアイツの頭は理解するんだ?
あの姉妹に俺は一度も好意を抱いた事ないと何度も言い聞かせて来たのに
未だにその脳内設定が書き換えられた兆しが無い。
アイツの頭の中はいったいどうなっているんだ。
「面白い事を言うのね貴女。」
「ああっ。あっあんた誰よ?」
「お止めったら夏美っ。」
「お義母さんは・・黙ってて。」
「私達2人は俊介さんの婚約者よ。貴女こそどなた。」
「わっ私はこの家の主の嫁の夏美よ。何か文句あるの?」
文句あるの?ってなに言ってんだ。
それに絡んでおきながら怯んでやがる。
絡まなければ良いのに。
二人が自分とは比べ物にならないという事は理解しているみたいだが。
「面白い事を言うじゃない?今この家の主は俊介さんのはずなんだけど、違ったかしら?」
「命を助けられた元お兄さんのお嫁さんなのですか?」
「不思議ね?感謝こそすれ喧嘩腰なんて」
「不思議じゃないさ。
こいつは兄貴に一番似ていると言うかその上位版の厄介な奴だ。兄貴は都合の悪いことは忘れてしまう奴だが
こいつはそれを人の所為にして自分が正しいとすり替えてしまうんだ。
そしてこいつのそれは覆える事は無い。
まぁどうでもいい事なんだが下手をすると
兄貴が病気になった事すら俺の所為になってる可能性がある。
だからこいつとの会話は永遠にかみ合う事は無いと考えてくれ。」
それに今回は自分たちを支える根本的プライドまで奪われたんだから
支えを失ったこの家族の有り様は更におかしな事になるだろう。
これは精神科医でもカウンセラーでもどうしようもないだろう。
自分たちが虐げる分には一向に構わない奴らなんだから
一度マイナスのどん底を味わって他人から見下されてみれば良いんじゃないかと思う。
「ふん。大輝さんが完治したんだから
すぐにでも盛り返してみせるわよ。」
借金が幾らあるかわかって言っているのだろうか?
それにこれからは給料制で生活費と借金返済分を同時に稼がないといけないのに?
今までみたいに採れた野菜を朝食になんてできなくなるってわかってるのか?
「根拠の無い自信だが頑張ってくれ。
それとお前が散々言っている自分を僻んでくれる相手なら一度じっくり鏡を見つめるといい。
そうすればその妄想癖が治るかもしれないぞ。」
「あぁぁふざけるんじゃないわよ
なっ何よその憐れむ者を見る目、わっ私を見下すんじゃないわよ。」
「行こうか。」
「はい。」
「お邪魔致しました。御機嫌よう。」
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