第59話
第59話
俺は、暫くぶりに地元の友人に連絡を取る事にした、
番号が変わってなければ良いんだが。
テゥルルルル♪・テゥルルルル♪・・
「はい、佐藤です。」
「わたくし高校時代、同級生だった風祭と言いますが、
順次さんは御在宅でしょうか?。」
「風祭さんと言うと、
隣の農場の風祭さんとこの弟さんよね。
この度は、お兄さんが大変な事になったから、
後を継がれる為に戻られるのかしら?」
「いっいえ、そういう訳では。」
「あっ、あら、ごめんなさいね。すぐに順次に変わりますね。」
「じゅうんじーあんたに電話よ。風祭さんとこの弟さぁん。」
「わぁかったぁーすぐ行くぅ。」
「もしもし。お電話変わりました順次です。」
「突然連絡してすまんな。」
「いや良いって。随分と久しぶりだな。」
「ああ。」
「お前の兄貴の事だろ。」
「良く分かったな。」
「今この近所で風祭家は話題の中心だからな。」
「やっぱ何かあるのか。」
「何も知らないのか?
てっきり帰ってくる前に身内以外からの客観的な情報も知りたくて
連絡してきたのかと思ったんだが。」
「いや。兄貴から手紙が来てたみたいでな
行き違いで昨日俺のもとに届いたんだ。
詳しい内容も何も書いて無くてな。
重要な話があるから帰ってこいって。
如何にも怪しい内容だから帰る前に情報収集をと思って
お前に連絡を取ったんだ。すまんな。」
「気にすんな。そんな内容なら誰でも怪しむって。
それに近所だから情報は嫌でも入ってくるしな。」
「で、何があったんだ?」
「お前の兄貴。末期の癌治療で冊幌第一病院に入院中だぞ。
俺も入院してすぐお見舞いに行った。
嫁の春奈さんと夏美ちゃんが交代で病院での付き添いと畑仕事をしているみたいだな。
それにしても春奈さんと夏美ちゃんの姉妹が2人とも大輝さんの嫁さんになるとは思わなかったけどな。」
「まぁ昔から2人とも兄貴にひっついてたからな。」
「すまん話が逸れたな。
でだ。今、風祭家の家計は大輝さんの治療費で火の車らしい。
情報源は農協の融資課なんだが
噂では農地が半分と耕作機械を担保に金を借りているみたいだな。」
「そうなのか?」
「お前が帰ってきて家を継ぐのか?」
「馬鹿な事言うなよな。それは絶対に無い。」
「じゃぁどうするんだ?。」
「そうだなぁ。
もう少し詳しく調べてみてから考えるわ。
ありがとな。
そっちに行くときは土産を忘れない様にするわ。じゃあな。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
家を飛び出してどうにか大学に入ったは良いが
その後大学を出てからはずっと社畜だったからな。
結局俺って
何にも良い事の無い人生を送って来たんだよな。
そう考えると癪だが
今の状況は馬鹿上司のおかげって事になるんだよな。
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