第56話
第56話
透明な壁を剣や鈍器で必死に殴りつけて壊そうとしている
中年男性達が一番詳しそうだったので
背中越しにだが話を聞く事にした。
「何があったんですか?。」
「話は後にしてくれ今は忙しいんだ。」
「あの娘達は何で閉じ込められたんですか?」
「うるさいな。あそこにある宝箱に近づいたら魔物部屋に閉じ込められたんだよ。」
大声で独り言を突然喚きだしたこの人物に周りの人達が訝し気な視線を向けている。
「じゃぁ次です。
あの娘達、今日は頼りになる大人の人達と潜っていたはずなのですが
何でこうなってるんですか?」
「あの娘達の知り合いなのか?。後で償いは何でもするから今は手伝ってくれないか。」
「質問の答えと違いますよ。」
「あがぁぁぁ俺たちが見栄はって
まだ良く知らない攻略中の階層に連れてきたんだよ、これで満足か?」
「わかりました。
今後は見栄を張らないで安全第一でお願いしますね。後は任せてください。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
≪影渡り≫ ≪威圧≫ ≪影縫い≫
お前たちは暫く大人しくしていろよ。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「なんだ?急にゴブリン達の動きが止まったぞ。」
「どうしたんだ?」
「急げ。」
「おいっ、今のうちに助けるんだ早くしろ。」
「早くしろ急げ今の内だ。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
ボロボロだ。
「はぁぁっ馬鹿じゃないのかお嬢ちゃん?
あれ程気をつけろと言ったじゃないか。」
「そっその声・・オッ、オジサンなの?姿が見えないんだけど?
そっそれに、どっどうやって、こっここに?」
「今は気にするな。だがまぁよく頑張ったなっ!!」
見えない訳じゃなくて認識できないんだけなんだけどな。
「うっうん。だっだってっ。」
「その娘は大丈夫なのか?」
「姿は見えませんがオジサンと言うと先ほどの方なのですか?
わっ私はかすり傷です。舞風がずっとかばってくれてましたから。」
「その怪我でよく気を失わなかったな?」
「だっだって。いっいたくて痛くてっひっしっううっうっ。」
「偉かったな。ちゃんと友達を守ってたんだからな。」
切り飛ばされた腕は既に回収している。
二人とも酷い顔だ血と涙と鼻水まみれ
それにお前ら盛大にお漏らししてるよな臭ってるぞ。
突き刺さった矢を回収して傷口の殺菌ついでに綺麗にする。
≪エリアピュアクリーン≫
腕の断面をつなぎ合わせる。
≪エクストラヒール≫
追加で
≪エリアハイヒール≫
≪エリアピュアクリーン≫
「これで大丈夫だ。お前ら大人しくそこで安静にしてろ。いいな。動くなよ。」
「えっなになに。どうなったの。」
「まっまっ舞風。うっ腕がうでうでがくっついてるよ。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「おっおいなんだ何だ。女の子の腕が突然つながったぞ。」
「それよりも何かおかしくないか?」
「ああ。何かいる気がする。」
「女の子たちが誰かと話してるみたいだが
周りがうるさくて良く聞こえないな。」
「なんだ幽霊?ゴーストとか?」
「それより女の子達元気になってないか?」
外ではやじ馬たちが騒いでいる。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
ここは新たな無限湧きの魔物部屋なんだが
ポイント稼ぎには使えそうにないな。
通路から丸見えとか本気で使えない。
取り敢えずお前らは1回死んどこうか。
縫い留めたゴブリンアサシンを切り飛ばし
アーチャーとメイジを回収した矢と魔法で殲滅していく。
ジェネラルとキングは魔刃撃を飛ばして粉々にして
最後に動かないナイトを一体ずつ仕留めていく。
そうだ。
この部屋が解除される前に言っとかないといけない事がある。
彼女たちに近づきこう伝えた。
「頼みがあるんだが、この事は誰にも内緒だ良いな。
それとこの後こう言ってくれ。
助けられたみたいだけど良く分からないって。
信じるかどうかはどうでもいいんだ。
取り敢えず記録にはそう残しといてくれ頼んだぞ。」
「「えっ、ええぇぇぇ。」」
「でっでもだけど、うっうんわかった。
助けてくれたオジサンのお願いだからちゃちゃんとするよ。」
まぁこんなおっさんをパーティーに誘ってくれるような女の子だ
早々酷い事にはならないだろう。
それに迷宮の中での事だし外でスキルを使うのとは訳が違うから
何があっても不思議じゃない。
冴えないオジサンに見えたけど
実は凄い人だったんだくらいで落ち着けばベストだろう。
「頼んだ、それと今日の事はちゃんと反省するんだぞ。じゃぁな。」
ラスト1体。これで終わりだ。
━パァリィィィィィィィッ━━━━━━ン━━パラパラッ━
透明な壁が壊れた。
これで安全だ。
編成紹介所を介して潜ってるって言っていたみたいだから
あの人達と一緒に関係者達からじっくり絞られると良い。
気に入られたらブクマと
評価をよろしくお願い致します。