第52話
第52話
「俊介さん貴重な体験をありがとう。
改めてお礼申し上げます。
それと栞里の事を気にかけてくれてありがとう。」
「ただの、アフターケアだから気にすんなよ。
それに、普通に言ったら遠慮しそうだったからな。」
「借りだけが“どんどん”増えていくわね。」
「栞里。貴方もわかってるんでしょ。
今のうちにお礼を言っとかないと
はぐらかされて言えなくなっちゃうわよ。」
「はい。
俊介様。命を救って頂いた上に
このような心遣いまでして頂きありがとうございます。」
「いいえ。どういたしまして。
それと様付けはやめてくれないかむず痒くなる。」
「えっっと。では俊介さんとお呼びしても宜しいでしょうか?」
「なんか恥ずかしいな。」
「私の時と随分態度が違うわよね。」
「そりゃあな。
同年代の女性と比べたらしょうがないさ。
こんな年下の女の子に下の名前で呼ばれた事なんか一度も無いからな。」
「そうなんだ。付き合ってる人とか
今気になってる人とかはいないわけ。」
「ああ。今のところはいないな。」
「だそうよ栞里っ、頑張りましょ。」
「はっはい。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「皆様。お飲み物をお持ちいたしました。」
「ありがとう工藤さん。」
「では報酬の話をするわね。」
「貰っても俺が困らないものにしてくれたんだよな。」
「ええ。貰っても何ひとつ困る事はないわ。」
「それなら聞こうか。」
「貴方への報酬はこれよ。」
渡されたのは1枚の銀白色の硬質のカード。
「これは?」
「鷹宮財閥系列の施設や乗り物が全て無料で使えて
私達がプライベートで保有する施設や乗り物の全てが使えるようになるカードよ。
私たちはファミリーカードって呼んでるわ。」
「ファミリーカードって事は。あんた達・・。」
「みつき。美月よ。」
「つまり美月達家族。鷹宮財閥の家族証明のカードって事だろ。」
「そうよ。私たちが満足して。
貴方が貰っても困らないものって言ったら
これ以外に思いつかないんだもの。
俊介さんは金や名誉を望むのかしら?」
「まったく。」
「それなら。これを受け取って頂戴。
持ってるだけなら何も困らないでしょ。」
あれ?確かに困らないものって言ったけど
確かにこれは持ってても困る物では無いな。
要は使わなければいいだけだ。
じゃぁ受け取るしかないか
条件を付けたのは俺の方だしな。
便利さにいつ負けるか知れないが
自重出来る間はなるべく使わないようにしよう。
「わかった。有難く受け取らせて貰うよ。」
「やったわ。」
美月が栞里ちゃんに囁いたが
何がやったなのだろう?
気に入られたらブクマと
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