第47話
第47話
「父さん。あの人を絶対に手放しちゃ駄目よ。
きっとこちらから関わらないと絶対に私たちに関わって来ようとしないから。」
「美月は随分と彼にご執心だな。最初に会った時はあんな態度を取っていたのに。」
「だってそれは。
ヨーロッパのダイバー達と同じだと思って危険視してたし
ここに来る前に病院に寄って栞里ちゃんに会ってきたんだけど
自分を助けてくれた見知らぬダイバーに恋しちゃってるみたいだったから。
つい警戒して。」
「わしが言うのも何だが。あの男は良い意味で得体が知れん。」
「そうですね貴方や孝典に美月を前にしても平然としていましたし
逆にこちらが従わなければいけなくなるような
妙な貫禄があの方にはありましたから。」
「私の勘が彼との縁を大事にしろって言うのよ。」
「美月の勘は良く当たるから
馬鹿に出来ないわね。」
「なぁ。彼が先ほど言っていた鷹宮系列で使えるサービスなんだが
彼に鷹宮財閥のファミリーカードを渡すのはどうだろうか?
これなら私達と同等のサービスが受けられるだろ?
私は彼の言う条件を満たしたうえで
私達が満足する条件をこれ以外には思いつかないんだが
どうだろうか?」
「義兄さんそれ良いわね。彼の功績に見合う報酬に相応しいわ。」
「あなた。私もそれが良いと思います。」
「本当に不思議な男じゃ。
本人はこれ以上の金も名誉もいらないと言いながら
逆に金と名誉を持った連中が繋いだ糸が切れないように必死になるなど
前代未聞の事じゃろうな。」
「ではそう言う事で
彼への報酬は鷹宮財閥のファミリーカードに決定しましょ。
ふふっ、親族でも無いのにおかしな話ですね。貴方。」
「そうじゃな。」
「準備が出来たら私に連絡して。私が直接渡しに行くわ。」
「仕事は大丈夫なのか?」
「うちはスタッフが優秀だから数日くらいは大丈夫よ。
それに昨日は無理させたから息抜きも必要でしょ。」
「美月にもやっと春が来たみたいね。」
「ちっ違うわよ母さん。変な事言わないでよ。
もう一度会ってキチンとお礼をしたいと思っただけよ。」
「そういう事にしときましょ。」
「ホントに違うってば。もぉ。」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「風祭様。本日はご足労いただき有難う御座いました。」
「いや。美味い昼食もご馳走になったし。
ジュースのレシピまで貰ってこちらこそって感じですよ。
そう言えば栞里ちゃんは今どうしてるんですか?」
「はい。栞里お嬢さまは元気にしておられますが
念の為あと数日入院して精密検査を受ける予定でございます。」
「そっか。途中で帰ったからあの後が少し気になってたんですよね。
良かったですね。」
「はい。風祭様のおかげでございます。」
「もう用事も終わったんですから様は止めませんか。」
「いや、むぅ、そうですね分かりました。
風祭さん何かお飲みになられますか。」
「じゃぁグレープフルーツジュースを使ったカクテルをお願いします。」
「かしこまりました。」
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