第37話
第37話
鷹宮財閥御前 鷹宮源蔵の視点
孫の栞里が事故に遭ったと
わしの下に連絡が入った。
病院に駆けつけると娘は号泣して取り乱し
総帥である義理の息子は憔悴しながらも医者達に指示を出しておった。
わしも孫の栞里の姿を確認したが生きているのが奇跡の様な状態じゃ。
医者の診断でも従来の延命措置では限界が直ぐに訪れるとの診断。
わしは家令の工藤に命じて、
金に糸目を付けずに
世界中からポーションを集めるように厳命した。
しかしランクが低いポーションとはいえ
未だ製造できない為思ったよりも数が集まらない。
そして取り寄せたポーションは
少しでも傷を癒し命を繋いでいくようにと
まさしく湯水のように孫の栞里の体にかけ続けられて消費されていく。
しかし今の状態を維持するのがやっとのようで
回復する兆しが全く見えない。
そして取り寄せたポーションが底をつき始めているとの連絡が入ってきた。
すぐさまわしは全世界の迷宮でポーションを探させるように工藤に指示を出した。
その後も延々とポーションをかけ続けどうにか命を繋ぎ止めていく。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
工藤は戸夜嶋支部から
依頼をしていたダイバーが戻ったようだとの報告を伝えてきた。
なので自分がポーションの搬送もかねて急いで確認をしに行くと言い出した。
工藤もじっとしていられないらしい。
わしと娘と婿は
栞里が回復する手段が見つかる事を只々祈り続け
世界中からの吉報の報告をひたすら待っていた。
そんな時にランク3のポーションが2本見つかったと
工藤から連絡が入った。
だが譲ってくれるのは依頼していたダイバーでは無く
全く関係のない人物だという。
これで孫の栞里が助かると思っていたら
但し売るには条件があると言う。
金か名誉かと思ったのだがどうやら違うらしい。
条件はランク3のポーションを使用する時
傍でその回復する状況を自分の目で見たいとの事。
理由は理解できるが断りたい。
しかし栞里の命には代えられず条件を飲む事にした。
後で栞里には謝ろう。
見知らぬ男に怪我をした姿を見せてしまった事を。
もし今の栞里の姿を誰かに漏らしたら
必ず息の根を止めてやると。
そう心に誓う。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
ランク3のポーションが病院へと届き
工藤が件の男を連れて来た。
冴えない風貌の男だ。
だが優秀なダイバーらしい。
今回提供されたポーションと
不足したランクのポーションも多量に保持していたらしい。
娘と婿が男に礼を言っている。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
もうすぐ治療が始まる。
この男に栞里の姿を見せなければならないが
絶対にわしに歯向かえぬよう脅しをかけておこう。
こんな若造がわしの威圧に耐えられる訳がない。
それに孫を溺愛する黒服達もおる。
萎縮して取りやめると言うかもしれない。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
だが結果は。
わしの威圧を物ともせず黒服達の威圧にも萎縮する気配もない。
わしと渡り合えるなど世界に数人しかおらん。
この男はいったい何者だ。
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継続して書き続けていく自信が欲しいので。




