第36話
第36話
「今からこの車で最寄りのビルへ行き屋上からヘリで病院へと向かいます。
それと遅くなりましたがワタクシ工藤と申します。」
「俺は風祭です。」
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たどり着いたのは世界を股にかける鷹宮財閥の超高層ビルの屋上。
そこには既にヘリコプターが待ち構えていた。
「これで病院まで、直接向かいます。」
まさかの展開についていけない。
人生初のヘリコプター体験だ。
飛び立つと5分程で着陸態勢に入った、
どうやら到着したようだ。
工藤さんは大事そうにジュラルミンのケースを抱えている。
1本で64億もするんだから当たり前だとは思うんだが
この人にとってはそれ以上の価値があるみたいだ。
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病院の屋上へと着陸したヘリから降りると
迎えに着ていた医師達にジュラルミンのケースを渡している。
受け取った医師たちは
黒服かSPみたいな人達に護衛されるようにして中へと入って行った。
俺も工藤さんに続きヘリから降りる。
工藤さんは幾つもの監視所と機械警備がある厳重なセキュリティを次々と通過していく。
俺はその後ろをついていくだけ。
時々止められそうになる時があるが
工藤さんが何処かへと連絡するとすんなり通してくれた。
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たどり着いたのは集中治療棟と書かれた扉。
工藤さんが何かを見せると黒服が扉を開けて中へと通してくれる。
中に入ると廊下をどんどん進んでいく。
そしてその途中に何度か
大量のポーションの空瓶を台車で運ぶ看護師とすれ違う事があった。
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治療室の廊下には巨大なガラス窓があり中の様子が見えるようになっているようだ。
そして廊下にあるソファーには3人の人物が腰かけていた。
そしてその周りを4人の黒服が護衛している。
工藤さんが近づくと3人が立ち上がり順番に労っていく。
「よくやった。工藤。」
「工藤さん、ありがとう。」
「工藤、ご苦労様。」
「いえ、お嬢さまの為ですから。」
それぞれ工藤さんに感謝を述べている。
「で、後ろにいるのが件のダイバーか?」
「はい。そうで御座います。御前。」
御前という事は
この袴の爺さんが鷹宮財閥のトップなのか。
「貴方がポーションを売って下さった方ですね
ありがとうございます。これで娘も助かります。」
着物姿の40位の綺麗な女性がお礼を言ってきた。
どうやら母親みたいだ。
「ありがとう。感謝している。」
こちらは如何にも出来る雰囲気のビジネスマンといった感じの男性。
たぶん父親だろう。
「いや。金も貰っているし条件も飲んでもらったから感謝なんてしなくていい。」
「そんな事は無い。大事な娘の命が救えるんだ幾ら感謝しても足りないくらいだ。」
「そうです。あの子の命が助かるなら私の命くらい・・。」
「えっと治療はいつ行われるんだ?」
「30分後です。」
「じゃぁ俺が中に入れるように手配をしてくれないか。」
「貴様。本当に治療に立ち会う気か。」
爺さんが俺に話しかけてきた。
「あぁそれが今回の条件だからな。」
「約束は約束だ条件は飲もう。
しかし今から見る事聞く事は一切無かった事として忘れてもらおう
もし誰かに漏らそうものなら命が無いと思え。良いな。」
流石の貫禄で脅しをかけてきた。
爺さんから危険察知と敵意感知が反応する。
それに続いで周りの黒服達からも敵意感知が反応する。
まぁ迷宮の魔物達に比べると可愛いもんなんだが。
どうやら俺の判断基準はおかしくなってきているらしい。
「あぁわかってるよ。じゃぁ準備を頼む。」
気に入られたらブクマ、評価をよろしくお願い致します。
継続して書き続けていく自信が欲しいので。




