第25話
第25話
戸夜嶋迷宮50階層。
転送広場を降りると
影狼たちが俺の影から飛び出てくるが
駈け出さないように指示をだす。
そして階段をギリギリまで降りていき
51階層を眺めようとしてみるが
そこから見えるのは昨日何も考えずに入ってしまったが為に死にかけた
両開きの重くて頑丈な扉だけだった。
とは言っても同じという訳ではなく
より巨大でより頑丈そうで絶対に開けたらヤバそうな造りの扉だった。
この時点で51階層はやめておく事にした。
確実に昨日以上のヤバい奴が必ずいる事がわかっている
なぜなら既に危険察知が激しく警鐘を鳴らしているからだ。
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しかし扉の向こうに何がいるのかは気になるので
影狼に少しだけでも扉の向こうを覗いてこれないか相談してみる。
すると2匹はそろそろと前後に連なり扉へ近づいていく。
そして先頭の影狼が両扉の隙間から顔をそっと差し込んでいくと。
「グゥグォオオオオオオオオオオオオオオオオォ、オオオ、オォ……」
安全地帯である階段が震える程の凄まじい魔物の咆哮に
俺は慌てて両耳を手で塞いだ。
ドゴォーン、ギィ、ドガァーン、バギッ、ドゴォーン、ドガァーン、ドゴォーン……
続いて響くこの轟音は
扉の向こうにいる魔物が迷宮を揺るがすほどに扉を殴り破壊しようとしている音。
敵意感知が物凄く反応している。
影狼は無事なのだろうかと扉の方を見てみると
影縛りでぐるぐる巻きにされ抱え挙げられている、
無事な影狼の姿があった。
どうやら元々間一髪で引っ張り出す手筈だったらしい。
無事でよかった。
抱えたまま階段へやってくると
俺の前へと影狼をゆっくりと降ろし影縛りは影の中へと戻っていく。
そして扉の向こうには何がいたのか
嫌、どんな化け物がいたのかと聞いてみる。
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ミノタウロス 牛頭の怪物。
何故あんなに怒っているのかというと
向こうを覗いた時に相手がどれ位強いのか確かめる為に
影を攻撃をしてみたのだそうだ。
結果はミノタウロスの影に影槍が刺さらなくて
かすり傷すらつけられずに
すぐさま持っていた巨大な棍棒で反撃にあってしまったとの事。
ただ扉の向こう側は部屋ではなく
道が続いているように見えたそうだ。
ありがとうと伝え無茶をしないようにとも注意をすると
無茶はお互い様だと伝えられる。
確かにそうだと今更思えてくる。
蟷螂の部屋に一人で入った時も思ったのだが、
俺はこんなに強気だっただろうかと考えさせられる事ばかりだ。
一つ考えられるのは、称号。
【龍を滅せし者】龍種を単独で倒した者へ与えられる称号:精神に補正ありだろうか。
しかしこれからも迷宮に潜り続けるなら
これくらいの強気が良いはずだ。
よし次は50階層を覗いてみる事にしよう。
気に入られたらブクマ、評価をよろしくお願い致します。
継続して書き続けていく自信が欲しいので。