第21話
第21話
あの鎌に捕まれたら一溜りも無い。
忙しく動くあの顎で生きたまま腹から貪り食われる事だろう。
先手必勝で<空間射出>
今回は石礫ではなく大量の五寸釘に数十本のノミを順番に射出する。
よし!!当たったと思ったら危険察知が働いたので慌てて影の中へと逃げ込んだ。
すると背中にあった頑丈な扉が凄い音をたて大きく表面を削られる。
そして打ち出した釘やノミは切り裂かれて床の上や壁に勢いよく散らばっていく。
━━━それにしても危なかった。
自分の飛ばした武器で全身穴だらけになるところだった。
それどころか上半身があの飛ぶ刃で粉微塵になっていた事だろう。
今さっきまでの武器が全く効かないと解り
慌てて瓦礫の山を全て、射出空間へ移し終えると
勢いよく影の中から飛び出し連続で大岩を打ち出していく。
1個目が切り裂かれるが
その後を同じくらいの大きさの大岩で次々に追いかけ
あの攻撃をさせないようにする。
そうしていくと徐々に蟷螂が直接大岩に触れ切り裂き始めた。
なので今度は前の大岩に後ろから
ビリヤードの要領でぶつけるようにして
どんどんと蟷螂を奥の壁へと押し込んでいく。
やっとの事で蟷螂の刃を2本とも弾くことに成功したので
蟷螂の体に当たった大岩ごと壁へと途切れることなく大岩を打ち込んでいく。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
何十発の大岩を打ち込んだのだろう。
ようやく聞きたかったアナウンスが流れてきた。
『 浅層迷宮ボスの初討伐を確認しました。
称号:浅層迷宮攻略者 迷宮ボスの職業・剣聖と所持スキル・
剣聖術/身体強化/精密補正/俊敏/鷹の目を継承します 』
そして目の前には通常とは形が異なる宝箱があらわれた。
蓋を開けると自動回収されてくる。
【大蟷螂の魔太刀×1】
【大蟷螂の魔鞘×1】
取り出して上級鑑定を掛けてみる。
【大蟷螂の魔太刀】
超振動刃・微細に超振動する刃で硬物も容易に切り裂く。
魔刃撃・超振動の魔刃を撃ち、離れた場所を攻撃する。
【大蟷螂の魔鞘】
自動修復・刀身/鞘の破損を時間経過で修復する。
形状は名前の通り剣ではなく太刀。
刀身は魔法の刀らしく
水晶やガラスでできたように薄く透き通り
エメラルドグリーンに輝いて結構派手なのに対し
逆に鞘は落ち着いた深い暗緑色で趣がある。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
後ろの扉が勝手に開いていく。
これ以上先は無いので帰れという事なのだろう。
今回も死ぬかと思った。
俺は馬鹿かと自分を罵る。
せめて影狼たちを連れてくれば良かったと後悔した。
そして蟻塚の瓦礫を回収していて良かったとも思っていた。
もし、すんなりと下の階層へ降りる事が出来ていたら
生きていなかった事だろう。
生き残れたのはきっと
【愚者】の称号:幸運値に補正のおかげでなのだろう。
なんだか情けない称号だけど有用には変わりない。
今日も最後が大変だった。
影狼たちと合流したら保留した迷宮転移を取得して
一気に出口へと向かおう。
気に入られたらブクマ、評価をよろしくお願い致します。
継続して書き続けていく自信が欲しいので。