第18話
第18話
広間型階層の中心部上空。
緩いカーブを描く天井付近は
巨大な蛾の魔物がまき散らす痺れ粉の鱗粉で
金色の霞がかかっている。
そして、その鱗粉は樹海の中心部へと降り注ぎ
呼吸をする生き物が中心部へと近づけば
瞬く間に全身が痺れて動けなくなり
すぐさま魔物の餌食となってしまう事だろう。
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今から俺が試す事は過去試した人が居たのだが失敗したのか
それともそんな物迷宮に持ち込んで試す物好きな奴がいるもんか
と言う類の物だろうと思う。
何しろ迷宮管理局の情報には載っていなかったのだから
もしかして失敗して恥ずかしくて公表したくなかったのかも知れない。
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俺は、空間収納内にあった非常食の袋を
空間射出空間へと移し替える。
そして、それを、蛾が飛び回る天井付近を出口として天井へと高速で打ち出した。
空間射出された紙製の袋は天井へとぶつかると盛大に破裂して中身をぶちまけていくと
鱗粉と混じり合って徐々にその密度をあげながら降り注いでいく。
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天井へぶつけた物の中身は
普通の小麦粉
ただ、少し量が多いだけ。
よく、買い忘れをして食べ物が無い時
ありものを混ぜ混ぜして焼いて食べる為
これだけは常時大容量の大袋をストックしてある。
その粉が金色の鱗粉と濃密に混ざり合い
森の中心部へと静かに降り注いでいく。
そして粉同士がいい具合に混ざり合い
そろそろ地上付近へと到達したかなと言うタイミングで
階層間の階段まで戻るとすぐ駆け込める用意をして
天井付近の粉の中心部へとそっと火の着いたロウソクを取り出した。
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ロウソクの火は小麦粉に引火すると
そこを中心として連鎖的に周囲の粉が燃え上がり爆発を引き起こして広がっていく。
爆発が更なる爆発を引き起こし更なる大爆発へとなっていく。
上空にいた蛾の魔物は最初の爆発で羽が燃え上がり墜落していき、
連鎖していく爆発に巻き込まれては、光の粒へと変わっていく。
そして爆発は地上へと連鎖していき
中心部にあった巨大な蟻塚は爆発で粉々になって崩れ落ちていく。
空間収納の中には、
影狼達が倒した魔物の魔石やドロップ品と共に
追加で大量の魔石やドロップ品が自動回収されてくる。
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大量の魔石とドロップ品を一度に得られたのは大変良い事なのだが
後で、宝箱を探し出すのは大変だなとつい考えてしまう。
などと、考えているとそろそろ爆発も落ち着いてきた様で
魔石とドロップ品の回収も終わりがやって来た。
なので、少し間を措いて階層に降り立ち
影狼の帰りを待つ事にした。
気に入られたらブクマ、評価をよろしくお願い致します。
継続して書き続けていく自信が欲しいので。