第13話
第13話
初めて入る普通の迷宮。
階段を降りていくと微かに湿り気を帯びて少しヒンヤリとしている。
そして、先の見えない仄暗い通路は海の底を彷彿とさせる。
実はこの根利間迷宮が不人気なのには
本命と言われている別の理由があって
その理由が今向こうからカサカサカサという音を響かせながらやってくる。
その正体はダンゴ虫。
ただし大型犬程の大きさがある。
この迷宮の魔物は虫だけで構成されており
低階層は鋳鉄、鋳銅、鋳銀の塊をドロップするらしい。
変わっていなければの話だが。
そして、ようやくその下の階層から
金、白金、各種宝石などの鉱物がドロップする事がわかっているのだが
ドロップ率がかなり悪いと最悪の評価をされていた。
その上、虫系モンスターの表皮は硬く倒すのに時間がかかるのに
時間をかけた割には儲からないと悪条件が揃っている為
嫌われているのである。
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俺はあと2mまで迫ったダンゴ虫に向け
<空間射出>
【空間収納】の収納空間内で加速した石を弾丸のように高速で打ち出す。
今日、ホームセンターで購入した石を弾丸にして高速で打ち出すと
ダンゴ虫は、光の粒となって消えていった。
この方法を思いついたのは
昨日色々と物を出し入れしていた時に
うっかり手を滑らせて卵を落とししまい
焦った俺が落下する卵をそのまま【空間収納】に収納してしまい
【空間収納】の項目を調べた時に
加速空間と他に幾つかのフォルダーが存在するのを発見したからだ。
そして、この方法を考え付いた時に
幾つかの欠点にも気付いたのだが
ペアでもらったボーナススキルがすべてを解決してくれていた。
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【自動回収】
初めて自分の意志で討伐した魔物の魔石と
先ほど弾丸として打ち出した石が
それぞれ別の空間へと自動で回収される。
弾丸となる石は壊れるまで無限に使えるうえ
ドロップ品は自動で回収されて勝手に仕分けされていく。
そして、経験値はといえば【制限解除】の恩恵で
いろいろな囲いが取り払われ
これ以上レベルを上げる必要性が無くなったので。
すべての経験値を自動でスキルポイントに【等価交換】して貰う事にした。
迷宮初心者にしては上出来ではないだろうか。
気に入られたらブクマ、評価をよろしくお願い致します。
継続して書き続けていく自信が欲しいので。