祝 婚約破棄…?
「聞いていないわよ、その話」
「言っていないのだから、当然だ」
親娘の会話は、こうして始まった。
ただし、結婚記念パーティの席でだ。
婚約相手は、
「真実の愛に目覚めた」とかで、
自らと違う女性とパーティに出席していたが、この応酬に「あれ?」と言う顔をしている。
「なんで、婚約を破棄したら、相手の家から大金を巻き上げることになるのよ!」
「なんでって、決まっているじゃないか。違約金だよ」
「そういう話じゃなくて、貴族だから政略結婚なのは分かるけれど、これはやり過ぎでしょ」
「いいじゃないか、婚約者の言動、真実の愛、婚約者の望む相手、婚約破棄の理由…、ここまで当たるとは思わなかったよ、ははは」
「…ここまで当てるとは、恐るべし」
そんな“恐るべし”と言ったのは、婚約相手の父親だ。
簡単に言えば、賭け事をしていたのだ。
どれか1つでも正解すれば、一定の資金援助という名の金銭解決…悪い言葉で配当(?)が出るのだとか。
「いや~、儲からせていただきましたよ。しかし、婚約破棄しか当たりませんでしたよ」
「真実の愛…これしか当たりませんでした。無難な線を言ったのが間違いでしたな」
「幼い頃の様子を見れば、このままいくと思ったのですがね。失敗した」
パーティに出席していた各家が、この結果に一喜一憂しているのが、よく分かる。
そう、パーティ出席者は全員、この婚約破棄などを中心とした賭け事をしていた。
しかも…
「あ~あ、ここまでしたのに見返りがほしいなぁ~」
真実の愛を目覚めさせたはずの女性が、婚約破棄するという相手の言葉の後に言ったのか、これ。
「まさか、お芝居?いやいや、刺客?」
「そんなんじゃないから、婚約破棄させるために、あの人から送り込まれただけよ。結構、大変だったのよ」
あの人…婚約破棄しか当たらなかった人物。
「…掛け金没収するよ」
「他の家も、結構アプローチがひどかったような」
「取り巻きになっていましたね」
「押しが足りなかったな」
結局、賭け事の対象となっていた当事者2人は、その言葉通りに、婚約破棄となり、賭け事に興じていた者たちから拍手喝采(?)を受けたという。
笑い事…でしょうね。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
*追伸 PV1,032 となりました。
投稿日時 2019年07月16日08時22分
確認日時 2019年07月17日23時30分頃
読んで、笑って頂けたら幸いです。