◆089◆マイナスになるかもしれない
はあ。もう一人にしてほしい。
「で、次は何だっけ?」
「血ラン!?」
ナットスさんが見る依頼書を覗き込んだミーレンさんは叫んだ。
叫ぶほど珍しい物なのかな?
えっと、確か毒花だったような……。
「ちょ。どうしてこんなの受けてるんだ!?」
「ここら辺では手に入らないものか?」
「入らないというか、採取の仕方を間違えると危険なモノだ。勿論手にいれづらい」
それを聞いたナットスさんが、じどっと僕を見た。
そしてひらっと僕に、依頼書を見せる。
「これ☆5つだけど、ちゃんと出来ると思って受けたんだよな?」
「……えっと」
僕は、目をそらす。
まさかそこまでのものがあるとは思っていなかった。
「適当に受けたんだろう? 凄い数をいっぺんに受けてるじゃん。本当に迷惑だよなぁ」
僕の代わりにエジンが答える。僕は、何も言い返せない。
「一つ言っておくが、依頼が引き受けられた連絡は、誰がまでは知らせないが依頼主に届く。いい加減な事をしてもらうと困るんだ! あとキャンセルするとペナルティとして経験値も減らされる。君はレベル1だろう? それ以下に落ちる事はないが、経験値はマイナスになるからな!」
「マイナス!?」
「レベル2に必要な経験値にそのマイナス分も必要になるって事だ! 俺達のレベルは信頼度だ。あともう一つ言うと、一年経ってもレベル1のままだと解雇だ!」
「うう。ごめんなさい……」
考えが甘かった!
そんな採取まであるなんて思わなかった!
「まあまあ。ナットスそんなに怒るなって。父さんに聞いてみるからさ。どうせ、そっちに回るはずだっただろうし」
そうミーレンさんが言って助けてくれた。
でも回るはずだったってどういう事だろう?
「まったく。君は本当に考え無しで行動するな。冒険者としてやっていくならもう少し慎重さを持ったほうがいい」
「……はい」
「向いてないんじゃねぇ?」
エジンが、辞めちまえと言う顔つきで言った。
僕も辞められるのなら辞めたい。
で、出来るなら商人になりたい!
「悪いな、ミーレン。頼めるか?」
「いいぜ。でもクテュール、君も一緒に来なよ。どうせだから紹介してやる」
「……はい」
「お前な。最悪の紹介の仕方だろう、それ」
あはは。とミーレンさんは軽く笑った。
イラーノさんの忠告を聞いて☆を見ておけばよかった。今更後悔しても遅い。
「すみません。ご迷惑をお掛けします」
そして僕は、ミーレンさん達に頭を下げて謝った。
うんと頷くミーレンさんの横で、ナットスさんは今回だけだからなと呟いた。
採取の依頼で、受けられる者がいない場合は、在庫がある人に譲ってもらうらしい。回すとはそういう意味だった。たぶん☆5つの薬草はいつも、ミーレンさんの父親に回っていたのかもしれない。
採取した薬草を持って僕達は、街へと戻る。そのまま採取した薬草を届け、僕とミーレンさんの二人でミーレンさんの父親に会いに行く事になった。




