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モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!  作者: すみ 小桜


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◇082◇現れた男

 ジーンは、僕の横に座り大人しくしている。尻尾だけがせわしなく動いていた。

 リリンは、驚く事に草を食べている! まるで兎だ! あぁ、かわいい!


 『食べづらいわ(ギャウギャウ)! でも(ギャウ)許してあげる(ギャウギャウ)!』


 「あ、ごめんね。ありがとう」


 ついかわいくて、撫でてしまった!

 そして、食べづらいと言いながらまるで頭を撫でろと言う様に、頭を下げている。撫でてやると、また草を食べ始めた。

 うん。兎のツンデレはかわいい!

 イラーノさんが、クスッと笑う声が聞こえる。


 「えっと……」


 「あ、ごめん。何か微笑ましいなって。モンスターを相手に、お話ししているとは思えないね」


 微笑ましいって……。

 イラーノさんも変わっている。まあ、リリンは兎ではあり得ない色だけど、行動は兎だよな。


 『誰かが近づいてくる(ギャウギャウ)!」


 「え……」


 ジーンは、立ち上がった。僕もリリンを抱き上げて、立ち上がる。


 「どうしたの?」


 「誰かが近づいて来ているらしい」


 僕がそう答えると、イラーノさんも立ち上がり、僕の方に近寄った。

 逃げた藍色の髪の男かもしれない!

 ジーンがジッと見つめる先を僕達も見つめていた。


 現れたのは、思った通り藍色の髪の男だった!


 「のこのこと森に来るなんてな」


 「それ、こっちの台詞!」


 僕が言い返すもニヤッと男は笑った。


 「お前達二人で来たのはわかってるんだ」


 男がイラーノさんを見て言うと、イラーノさんがビクッと体を震わす。


 「イラーノさんは、逃げて」


 「逃がさねぇよ!」


 僕は、イラーノさんの前に立った。

 ジーンが、男に威嚇する。


 『気を付けろ(ギャウギャウ)奥にまだいるみたいだ(ギャウギャウギャウ)


 え? あいつの仲間が隠れているの?


 「まずは、そのヒーラーは始末しないとな。そのモンスターをまた回復されたら厄介だ!」


 「え!?」


 男の言葉に、イラーノさんが驚く。

 イラーノさんは、事情を知らない。驚くのも無理はない。

 けどここは、男の勘違いは訂正しないでおく!

 僕が特別なテイマーだとばれない為に。ごめんね。イラーノさん。


 「ねえ、何で村を襲ったの?」


 「襲った? あぁ、ゴブリンの襲撃か? あれは俺達じゃないなぁ。そもそもそんな事が出来るならモンスターをここに連れて来ているだろう?」


 剣を抜きながら男は答えた。

 そう言われると、男の言う通りかも知れない。

 でも少なくとも目の前の男の仲間は、ゴブリンによって殺された様に見せかけて殺されている!

 この男は、何も知らされていないのか? それとも嘘をついている?


 「この人、ゴブリンで街を襲わせた仲間なの?」


 震える声でイラーノさんは、僕に聞いた。

 たぶんそうだと、僕は頷く。

 だが僕が本当に知りたいのは、それじゃない。父さんの事だ!

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