◆077◆僕は剣士になる
「心臓に悪いな。おい……」
ダイドさんは、安堵したように言った。
「あ、ごめんなさい。帰る様に言うの忘れていました」
「そう言えば、レッドアイの森も襲われたんだったな」
思い出したと唐突にダイドさんは言った。僕は頷く。
「森も?」
ロドリゴさんは、呟くとジーン達をちらっと見た。
「クテュール。テイマーから接触がなかったか聞いてみてくれないか?」
「うん。いいけど……」
二人は、僕の眷属になったからないとは思うけどなぁ。
「ねえ、僕以外のテイマーに……うんと、お友達に誘われた事ってある?」
『ないな』
ジーンは速攻ないと答えたけど、サトンはもじもじしている。うん。そう見える。
「サトン、もしかしてあった?」
『ちゃんと断った!』
「大丈夫。責めてないから。教えてくれてありがとう」
「あったのか?」
ロドリゴさんが、もどかしそうに聞いて来たので、頷いた。
「特徴を聞いてくれ」
うーん。通訳ってめんどいな。
「えっと、その人の特徴わかる? 性別とかあと、髪の色とか」
『男だった。髪は黒かった』
「黒髪の男だって」
「黒髪か……」
特徴を聞いたロドリゴさんは、考え込んでいた。
「黒髪の冒険者は、何人かいるな。取りあえず、内偵をしよう。それとクテュール。君のメインジョブを変えておこう」
「え? でも、僕はテイマー以外何も取得してないけど……」
「そんなの適当でいい。魔法使いとかは困るが、剣士なら大丈夫だ」
「じゃ、薬剤師とかは?」
「資格を持っているのか?」
驚いて、ダイドさんが聞いた。僕は、首を横に振る。これから取るつもり。
「これから取得するからさ」
「いや、今日中に変えて置く。取りあえずは、剣士だ。薬剤師は、資格を取ったらジョブに加えておこう。いいか。君がテイマーだと知る者は少ない。それをほのめかす者がいたら直ぐに教えろ。直接君にアクションを起こす可能性もある。サーペントの事は、ナットス達に口止めした方がいいな」
ロドリゴさんが、一人納得して頷いている。
僕は、今日から剣士になるらしい。
そうそう今回思ったけど、身を守る術はあった方がいいかも。ちょうど剣士になるし、稽古でもつけてもらうかな。
勿論、エジン以外の人に!
この後、街に張る結界の装置が直るまでの間、交代で結界を張る事になったみたい。
で、稽古どころじゃなかった。
それなりに建物などが壊される被害もあった。斧を振り回していたもんね。
亡くなったのは、冒険者ギルド内にいた警護の三人だけだった!
殺したのは、モンスターじゃなく人間だけどね!




