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◆005◆キュイは命の恩人

 僕達は見つめ合う。って、そんなにジッと見られたら流石に怖いんだけど。


 『クテュール。本気で言っているのか? そんな事を言う人間に初めてあった。いや会話をしたのも初めてだが……』


 「えっと。実は帰れない事情があって……」


 『事情か。しかし、もし万が一、我々があなたを奪ったと思われて、この森に奇襲でも掛けられても困るのだが。まあ話を聞いて、考えてみる事もないがな』


 置いてくれるかもしれないって事?

 なんて良いモンスターなんだ!


 よくよく考えれば、僕は二度殺された。いや、一回は未遂だけど。

 夢だと思った十歳の頃の僕は、前世の記憶だ。

 けどあれは、紛れもなく自分だ!

 意地悪しただけだと思うけど、僕は死んでしまった!

 今度は、好きなだけ裁縫をしたいと……でも、前と同じだった!

 そして、また殺されかけた。


 聞こえた声が幻聴でなければ、僕は新しい運命を与えられた事になる。

 本当はあの時、僕は死んでいたんだ!

 願ったから生きたいって。だから違う運命を授けてくれた!


 「僕は、あそこに居た人に殺されかけたんです! そして、キュイに助けられた。だからキュイは、命の恩人。エジンは、同じ村の者だし、戻ったら何されるかわからない。恩返しもしたいし、このまま置いてほしい」


 『なんと! 人間とは本当に殺し合うのだな!』


 そうキュイは、驚いて言った!

 モンスターは殺し合わないって事だよね? 少なくともこの森のモンスターは。


 「まあ、普通はあまりない。今回も何で殺そうとしたのかもわからないし……。ただ僕は、弱いから彼には勝てない。戻っても殺されるだけだと思うんだ」


 『まあ、そういう理由なら居てもかまわないが。親とかいないのか? あの者が、襲うという事はないか?』


 なんと! 僕の親の事まで気に掛けてくれるなんて! なんて優しいんだ!

 モンスターって、本当はいいやつらじゃないか!

 特段父さんを殺されたからって憎んでいたわけじゃないけど、恐ろしい奴らだとは思っていた。

 って、母さんを流石に殺そうとしないだろうけど、このまま僕がいなくなったら心配するだろうし、生活も保険のお金が入らなくなったら困るよね?

 さて、どうしよう。母さんをここに連れて来るのは、無理だろうなぁ……。


 「うーん。困った。僕には、母さんしかいないけど、流石に母さんは、キュイ達とは暮らせないと思うんだよね。でも殺されかけたから村を出るとも言えないし。冒険者になって村を出るという方法はあるけど、たぶん僕じゃなれない」


 『冒険者?』


 「え? 冒険者を知らないの? 主にモンスター退治をする仕事だよ。剣士だったり魔法使いだったり」


 『あぁ、なるほど。そういう事だったのか。襲ってくる人間とそうでないものがいるとは思ったが……』


 モンスターからすると、そういう認識だったんだ。


 『ところで、その冒険者という仕事につく者で、我々の言葉を話せる奴らはいないか? 私は会った事はないが、その者に仲間を奪われたと聞いてな』


 奪われた!? あ! もしかして、テイマーの事!?

 って、良く考えると、僕も話せちゃっているよね? これ重要じゃないか!?

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