◆071◆目印はネックレス
どこにそんな体力があるのか、斧をブンブンと振りまわしてゴブリンは追いかけて来る!
背丈は、僕より低いのに!!
シュ!!
何かが、僕の脇を通り過ぎて行った!
振り向けば、ゴブリンのお腹に矢が突き刺さっている!!
「大丈夫か!!」
遠くからダイドさんが叫ぶ。
助かった!
矢が刺さったゴブリンは、動きを止めた。でも死んではいない。
「ファイヤー!」
今度は、横からリゼタが炎で攻撃だ!
ゴブリンは、膝をつくも僕を見ると立ち上がった!
『茶色の髪……』
「ひぃ……」
何か凄い状態なんだけど!!
体がただれ、矢が刺さった状態で、斧を引きずりながら追いかけて来る!!
これって、絶対夢に出て来るって!
『ガウ……』
ドサッ。
振り向くと、ジーンがいた!
ゴブリンは、倒れて動かない。ジーンがとどめを刺してくれたみたい!
「ジーン!」
僕が叫んで手を広げれば、尻尾振って駆け寄って来る!
僕は、ジーンを抱きしめた。
「ありがとう。ジーン」
『間に合ってよかった』
「犬みていだな!」
ちょっと遠くからエジンが言った。
何て言ったかわからないと思うけど、ジーンがジロッと睨めば、エジンは一歩下がった。
「すみません。ダイドさん。イラーノを守るので手一杯で……」
「いや、ありがとう。イラーノ。怪我人が出た」
「あ、うん……」
イラーノさんは、怯えている様子だ。
よく考えれば、彼は戦う術がない。怖かったに違いない。僕も怖かった……。
「大丈夫だ。怪我人は中央の公園にいる。ゴブリンは、そこには近づけさせていない」
「あの、どんな状況なのですか?」
ナットスさんが聞くと、ダイドさんは険しい顔つきになった。
「数が多い。実践もほとんどない者ばかりで苦戦している。バサーク状態なのは、わかっているのだが……。多分、リーダーのスキルだろうとロドリゴが言っていたが、そのリーダーが見当たらない」
「そいつを倒せば、バサークは解けるのか?」
「それはわからないが、何とかなるんじゃないかと……」
確証はないと、ダイドさんは答えた。
「ねえ、ジーン。ゴブリンのリーダーって探せない?」
『……それって、ごついネックレスをしているやつか?』
「ネックレス?」
「何と言っているんだ?」
僕がジーンに話しかけ、ジーンが答えた様子に、ダイドさんが聞いて来た。
「何か、ごついネックレスをしているのがいるみたい。そいつかとジーンが聞いています」
「ごっついネックレス?」
「それって……枷」
ナットスさんが呟くと、ダイドさんが怖い顔つきで呟いた。
枷って、テイマーの?
「普通のテイマーってそういうので枷をかけるの?」
「いや、そういう訳ではないが、眷属だと言う意味合いと縛りを強くする物だ。自分より相手が強い場合は、枷が外れる場合がある。それを避ける為の物」
僕の質問に、ダイドさんが答えてくれた。
もし、そのネックレスがそういう物ならば、リーダーをテイマーが操っているって事だ。
リーダーを操れば、ゴブリン全体を操れる!?




