◇064◇冒険者ギルドの仕組み
「何故、そうするかわかるか?」
ロドリゴさんが、僕に問うので首を横に振った。僕には、さっぱりわからない。
「男が冒険者になるのが当たり前だ。だが、全員が納得しているわけではない。その、君の様になりたくないという者もいる。その者がもし、魔剣士などと名乗ったらどうなる?」
「どうなるって。どうなるの?」
「魔剣士としての仕事が振られる可能性がある。つまり、危険な仕事が回って来る。それを回避する方法として、剣士と魔法使いのジョブを二つ取得して、剣士をメインとする。剣士なんていっぱいいるからな。変な話、君も剣士を名乗れる」
「え?! 僕が?」
ロドリゴさんが、そうだと頷く。
「皆が、剣の素質があるわけではない。でも冒険者にならなくてはならない。だからナイフが扱えれば、剣士と認めている」
「え……」
それ教えて欲しかった!
父さんは、そんな事言ってなかったし!
あ、でも、ナイフはくれたんだった。そういうつもりだったのかも……。
「また、メインジョブにしていなくてもジョブとして登録してあれば、それを使っていい事になっている。魔法使いをメインにしてなくても魔法を使っていいって事だ」
ロドリゴさんの説明に、そうなんだと僕は頷いた。
そういう仕組みなんだ。
「そういう訳で、アーツもジョブは剣士でナイフを使用していた。つまり戦えない剣士だ。そういう者達は、一人では行動出来ない。だからチームを組む。そして、彼は異国から来た冒険者だった」
「異国……」
「そうだ。一応冒険者は共通という事になってはいるが、データなどは共有されていない。だから表示されるデータが全てだ。後は、鑑定師が鑑定しなければ、わからない」
なるほど。
だったらメインジョブがテイマーでなければ、テイマーだとばれないって事か。
「だがテイマーは、わかりづらい」
「わかりづらいって?」
僕は、ダイドさんの言葉に首を傾げた。
だって、僕はテイマーだと判断されたのだから。
「鑑定師が鑑定したとしてもジョブが表示されるわけではない。だから、眷属がいないと、テイマーだとわからない事もある。それに、剣士としてジョブを取得する者には、特段鑑定は行っていない」
「え? そうなの?」
ダイドさんは、頷く。
「魔法が使えるかもしれないから鑑定してって言う人はいないの?」
「そういう者達は、冒険者になる前にわかるもんなんだ。意識せずに使ってしまう事がしばしばあるからな。だから冒険者になるまでに、コントロールの訓練をする。魔力を持たない者が、剣の練習をするようにな」
つまり魔法の素質があれば、冒険者になる前にわかるって事か。
リゼタもそうだった。




